2023年1月の東京オートサロン2023で実車が初公開され、大きな注目を浴びたのが三菱の新型軽自動車「デリカミニ」です。正式発売は5月25日を予定していますが、3月上旬にはなんと7000台もの事前受注を獲得。三菱の広報担当者も「ここまで人気を呼ぶとは思っていなかった」というほど、予想以上の反響を集めているのです。
それほど人気を集めた新型デリカミニとはどんなモデルなのでしょうか。4月6日に明らかになった価格を含め、その詳細レポートをお届けしたいと思います。
■今回紹介するクルマ
三菱/デリカミニ
価格:180万4000円〜223万8500円(税込)
オフロード4WDミニバン「デリカ」の世界観を軽自動車で実現
デリカミニを一言で言い表せば、高い人気を獲得している三菱のミニバン「デリカ」の世界観を軽自動車で展開するものとなります。
そもそもデリカは1960年代後半に商用車としてデビューしたのが始まりです。その後、1979年に登場した2代目「デリカ・スターワゴン」で本格的オフロード4WDシステムを搭載したミニバンとして定着。その伝統は現行の「デリカD:5」にまで引き継がれ、いまではオフロード4WDミニバンとして不動の地位を獲得しています。その“デリカ”で培ったイメージを軽自動車に再現したのが、新たに登場したデリカミニというわけです。
東京オートサロンで初めてデリカミニの姿を見たとき、完成度の高さに思わず惹きつけられた記憶があります。デザインの表現にも限界がありそうな軽自動車というサイズながら、デリカの世界観が見事に再現されていたからです。
その特徴のひとつが最近の三菱車の共通アイコンである、ダイナミックシールドと呼ばれるフロントフェイスを採用していることです。半円形のLEDポジションランプ付きヘッドランプを組み合わせることで、フロント周りはデリカD:5との共通性を見事にキャッチアップ。加えて、フロントバンパーとリアガーニッシュには立体的な「DELICA」ロゴを浮かび上がらせたほか、光沢のあるブラックホイールアーチ、前後バンパー下にプロテクト感のあるスキッドプレートを組み合わせます。これらによってデリカならではの力強いミニバンを表現することに成功したのです。
4WD車は専用ショックアブソーバーで足回りをチューニング
ただ、これだけだと「従来のekクロススペースとはデザインが違うだけ?」と思われてしまいそうですが、そこはしっかりとデリカミニとして新たな進化を遂げていました。
足回りは上位グレードに装備した165/60R15サイズの大径タイヤに加え、4WDにはデリカミニ専用チューニングを施したショックアブソーバーを装備。開発者によれば、これが路面をしっかりと捉えながら車内へ振動を伝えにくくするのに効果を発揮し、砂利道などの未舗装路での走行で高い安定性と快適性をもたらしているということです。
また、室内装備としてステアリングヒーターも上位グレードに新装備されました。寒冷地でのスタートはとかく触れるものすべてが冷たいもの。そんなとき、ドライバーの手をこの機能が優しく温めてくれるのです。デリカミニらしい使われ方を想定してしっかりとここをサポートしています。
一方、安全装備は基本的にekクロススペースから踏襲されました。滑りやすい路面での発進をサポートするグリップコントロールや、急な下り坂などを安心して走行できるヒルディセントコントロールを標準装備。さらに高速道路での同一車線運転支援機能として、“マイパイロット”をはじめ車線維持支援機能を搭載するなど、ロングドライブでの疲労軽減に対してもしっかりアシストしてくれるというわけです。
また、サポカーSワイドに対応する運転支援機能“三菱 e-Assist”の搭載や、メーカーオプションで光軸自動調整機構付アダプティブLEDヘッドライトも用意されていることも見逃せません。
グレードは「T」と「G」の2タイプ。2WD/4WDも選べる
インテリアも、アウトドアでも使いやすく機能的かつ快適な造りにしています。ダッシュボードはブラックを基調としながらも、中央にアイボリーのアクセントを加えることでワイド感を強調。シートはアウトドアでの使用や、小さな子どもがいる家庭での利用を想定して通気性を考慮したシート生地を採用し、座面や背もたれの中央部に立体的なエンボス加工を施すことで疲れにくさと座り心地の良さを両立させています。
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グレード体系は大きくインタークーラー付きターボエンジンの「T」と、自然吸気エンジンの「G」の2つで、それぞれに装備を充実した上級グレードの「T Premium」、「G Premium」を用意し、全グレードで2WDか4WDを選ぶことが可能となっています。
4月6日に明らかになった価格は以下の通りです。
【T Premium】3気筒ターボ付ハイブリッド/CVT
2WD/207万4600円 4WD/223万8500円
【T】3気筒ターボ付ハイブリッド/CVT
2WD/188万1000円 4WD/209万2200円
【G Premium】3気筒ハイブリッド/CVT
2WD/198万5500円 4WD/214万9400円
【G】3気筒ハイブリッド/CVT
2WD/180万4000円 4WD/201万5200円
デリカらしさを際立たせるオプションパッケージも充実
デリカの一員として、デリカミニではアウトドアでの使用やカスタムでの楽しみ方もディーラーオプションパッケージとして提案しています。それが「アクティブトーンスタイル」と「ワイルドアドベンチャースタイル」です。
アクティブトーンスタイルは、都会での走行に似合うスタイリッシュさを強調するデザインとなっています。フロントマスクのダイナミックシールドとフロントバンパー&テールゲートガーニッシュをグロスブラックとし、フロントバンパーとテールゲートの“DELICA”エンブレムをホワイトレターに変更した「エクステリアパッケージA」はセット価格が7万5570円。“DOHC 12 VALVE”“INTERCOOLER TURBO”のサイドデカールは左右4点セットで3万3440円。ブラックのマッドフラップ(4万9940円)はデリカならではの世界観にマッチさせる格好とアイテムと言えます。※価格はいずれも取付工賃別
ワイルドアドベンチャースタイルは、冒険心をくすぐるカスタマイズアイテムです。フロントマスクのダイナミックシールドとフロントバンパー&テールゲートガーニッシュがシルバーとなり、フロントバンパーとテールゲートの“DELICA”エンブレムをブラックとする「エクステリアパッケージB」はセット価格が7万5570円。フロントアンダー、サイド/リアのアンダースキッドプレート風「デカールシール」を3点セットにした「デカールパッケージ」が6万75400円。さらに「タフネスパッケージ」では、三菱ファンにはたまらないレッドマッドフラップ、アルミホイールデカールなど4点をセット(7万1940円)にしました。※価格はいずれも取付工賃別
SPEC【G /G Premium(2WD)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1800mm[3395×1475×1830mm]●車両重量:970kg /990kg[1030kg /1050kg]●総排気量:659cc●パワーユニット:直列3気筒DOHC+交流同期電動機●エンジン最高出力:52PS/6400rpm●エンジン最大トルク:60N・m/3600rpm●モーター最高出力:2.7PS/1200rpm●モーター最大トルク:40N・m/100rpm●WLTCモード燃費:20.9km/L[19.0km/L]
※[]内は4WDの数値
SPEC【T /T Premium(2WD)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1800mm[3395×1475×1830mm]●車両重量:980kg /1000kg[1040kg /1060kg]●総排気量:659cc●パワーユニット:直列3気筒DOHC+交流同期電動機●エンジン最高出力:64PS/5600rpm●エンジン最大トルク:100N・m/2400〜4000rpm●モーター最高出力:2.7PS/1200rpm●モーター最大トルク:40N・m/100rpm●WLTCモード燃費:19.2km/L[17.5km/L]
※[]内は4WDの数値
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写真/松川 忍