360度カメラやアクションカメラでおなじみのInsta360シリーズから、従来のラインナップにはなかった新製品「Insta360 Flow」(以下Flow)が登場しました。Insta360シリーズと言えば手ブレ補正機能に定評がありますが、Flowはその技術をさらにブラッシュアップしたスマホ用の三軸電動ジンバルです。
製品は通常版とクリエイターキットの2タイプで、サミット・ホワイトとストーングレイの2色展開。今回試用したのはクリエイターキットのサミット・ホワイトです。
タッチ操作やズームリングも搭載、操作性がよく考えられたコントローラー
ジンバル本体は約369gと軽量で、しかも折りたたみ式なのでコンパクト。ジンバルを装着するための専用スマホホルダーは、マグネット吸着式で装着時の位置合わせも容易です。スマホを装着したらジンバルのアームをクルッと回転させるだけで起動し、専用アプリとも1タップで接続してすぐに撮影ができます。
ジンバルやカメラの操作は手元の「スマートホイール」と呼ばれるコントローラーに集中しており、録画開始停止、インアウトカメラの切り替えなどはボタン操作。中央のジョイスティックでパン/チルト移動でき、各種ジンバル動作モードはホイールをスワイプ操作で順逆方向に切り替えできます。
またスマートホイール外側のリングを回転させると、カメラのズーミングまで制御できてしまいます。これらの操作が集約されたコントローラー部は、よく考えられたデザインです。
ジンバルの動作モードはF(フォロー)、PF(パンフォロー)、FPV(一人称視点)、L(ロック)のほかに、AUTOを用意。意図して撮影したい中級者以上の方であれば高度に各モードを使いこなせると思いますが、単に手ブレを抑えたいだけならAUTOで撮影しても大きな問題はないでしょう。電動ジンバルのハードウェアだけでなく、専用アプリのソフトウェア側でも手ブレを補正しているようなので、初心者でもスムーズな映像を手軽に撮影できます。
また持ち手部分を延長して握りやすくできるほか、さらに引き伸ばすとミニ三脚を展開でき、テーブルや地面に固定した撮影もできます。加えて、本体も自撮り棒のように長く伸ばして角度調節もできるので、無理のない体制で安定した撮影ができるでしょう。
作例として動画を撮影してみました。最初はAUTOモードやカメラの向きを固定したロックモードで撮影。手ブレをほとんど感じさせないため、映画のような長回し映像もきれいに記録できます。また、オリジナルの映像を撮影後自由に速度を変えられるタイムシフト撮影や、カメラを動かしながら撮るモーションタイムラプス撮影も手軽にできます。
ほかにはない精度のAI自動追尾機能で被写体を逃さない
スマートホイールの裏側に位置するトリガーを1回引くと、画面中央にある被写体を認識して自動追尾をしてくれます。このような追尾機能は他社製品にも搭載されていますが、FlowではAIを用いてより精度の高い追尾を実現しているのが特徴です。
被写体が隠れてしまっても再び画角に入ればすぐに追尾を再開してくれますし、被写体の向きが変わってしまっても大丈夫。この追従性は従来品よりもかなり優れています。また自動追尾はスローモーションやズーム撮影時にも有効です。
スマホアプリを使えば表現の幅が広がる
スマホの専用アプリを使えばさらに多彩な表現が可能となります。パノラマモードではワンタップで各種パノラマ撮影を自動で実行してくれて、360度パノラマ写真を元に動画を作ってSNSに投稿するのも簡単です。
さらに、さまざまなシーンテンプレートの手順に沿って撮影するだけでカッコイイ動画を作れたり、AIがハイライトシーンを選んで自動編集してくれたりする機能まであります。もちろんSNS向けの縦動画にも対応しています。
なお、クリエイターキットにはLEDライトも付属。本体のUSBポートに接続すれば暗所や逆光時の自撮りなどで威力を発揮してくれるでしょう。またUSBポートはスマホの充電にも使えるので、長時間の撮影でも安心できます。
いまはスマホの手ブレ補正もかなり優秀ですが、Flowを使えば、子どもやペットを追いかけたり、激しいスポーツを間近で記録したりする際に、水平を維持してくれるので映像が安定します。また暗い場所でもハードウェアでしっかりブレを抑えてくれるという利点もあります。
また、単に手ブレ補正性能が優秀なだけでなく、AI技術を用いた追尾機能や自動編集など、高品質な映像を手軽に撮影することもできるFlow。ブログやSNSの動画投稿、Vlog撮影やライブ配信、ダンスやスポーツなどの動きのある被写体を撮影するのに重宝するでしょう。
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