3月末~4月に話題となったChatGPT関連のトピックをお届けします。
国会や省庁でも活用されるほど影響力が高まったChatGPT
OpenAIが提供する「ChatGPT」が世界的なブームを巻き起こしています。3月29日には、国会での総理大臣への質問にChatGPTを活用する議員が現れました。
1⃣中谷一馬議員
話題の生成AIであるChatGPTに、あなたが日本の衆議院議員だとしたら、新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案に関して、岸田文雄総理大臣へ国会でどんなことを質問すべきだと考えていますかと問うたところ、パネルのような返答がありました。 https://t.co/ZcZ1gah9S4 pic.twitter.com/lmVPSawwpq— 立憲民主党 国会情報+災害対策 (@cdp_kokkai) March 29, 2023
ChatGPTは、生成系AIの一種であるGPTシリーズを用いた対話型サービス。これまでの自動応答チャットでは難しかった、質問の意図を汲んで柔軟な回答を返すことが可能です。インターネット上にある膨大な文章を元に訓練されたAIアルゴリズムを用いることで、幅広い専門分野の質問に対応してくれます。ただし、一部の質問に対して正しい答えを示さないなど、欠点もあります。
ChatGPTは文章の体裁を整えたり、手紙文のようなメッセージを書いたりすることが得意なことから、オフィス作業の補助ツールとして導入する組織が増えています。農林水産省は4月18日、毎年更新しているマニュアルの編集作業の補助としてChatGPTを用いる方針を明らかにしました。同日、横須賀市は市役所の業務でChatGPTを活用する方針を全国の自治体として初めて発表。ChatGPTで下書きしたというニュースリリースで発信しました。
また、独占パートナーとしてOpen AIを実質的に支配しているMicrosoftは、検索サービスBingにOpen AIの技術を取り入れ、対話型の検索エンジンを提供しています。3月にはWebブラウザー「Edge」へチャット機能を実装しました。また、「Microsoft 365 Copilot」として、WordやExcelで使えるチャット機能の導入も発表しています。
この対話型のアシスタントサービスの仕組みを、企業の社内向け情報の検索などに活用する動きも広がっており、パナソニックや、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループなどが試験的な導入を開始しています。
ChatGPTの利用は全世界的に拡大しています。ロイターが報道したUBSによる調査によると、ChatGPTはTikTokの4倍のスピードで成長し、1億ユーザーに到達したといいます。
プライバシーや不正行為が起こりえるなどの懸念も
一方で、ChatGPTにはプライバシー保護などの観点で懸念の声もあり、イタリア政府は3月末にイタリア国内からのChatGPTの利用を禁止する措置を取りました(4月29日に解除)。EU議会では、AIと人権保護のあり方について長年議論が続けられてきましたが、ChatGPTについても適切な利用のための規制などが議論される状況にあるのかもしれません。
また、大学ではChatGPTを使った不正行為も課題となっています。東京大学は「生成系AI(ChatGPT, BingAI, Bard, Midjourney, Stable Diffusion等)について」という文章を公開しています。生成AIを使ううえでの注意点や、社会にもたらす影響、AIとの適切な向き合い方について端的にまとめられているため、生成系AIに興味がある方は、一読されることをおすすめします。