グルメ
ラーメン
2016/11/20 11:00

ミシュランも認めた味! 世界レベルの担担麺が楽しめる大塚「鳴龍」

ラーメン好きなミュージシャンとして知られる、サニーデイ・サービスの田中 貴さん。年間600杯以上を食べ歩く田中さんが、女性にイチオシのお店を紹介するとしたら? そんな発想からはじまった本企画。銀座、渋谷に続く3回目は、大塚の一軒を訪れました。

20161119-i03 (14)

 

類い稀な経歴を持つ店主ならではの“世界一“と断言できる担担麺

都電荒川線の駅があるなど、山手線のなかでは比較的落ちついた街・大塚。昔ながらの純喫茶や洋食屋が並ぶのどかな通りを歩き、小道を入ったところに今回のお店「創作麺工房 鳴龍」はありました。

 

「鳴龍は、この近くにあるスタジオの帰りに寄ったのがきっかけ。最初に食べたのは担担麺でしたが、あまりのおいしさにビックリしちゃって。そこからちょくちょく行くようになったんですが、どのラーメンもめちゃくちゃウマいんですよ」(田中さん)

↑担担麺(800円)。手前にあるのはパクチー盛(100円)ですが、同店の辛い麺にはこれを追加するのもオススメとか
↑担担麺(800円)。手前にあるのはパクチー盛(100円)ですが、同店の辛い麺にはこれを追加するのもオススメとか

 

田中さんがここをオススメする大きな理由は、担担麺を好きな女性は多いはずという点。ただ担担麺に限らず、同店の味の秘訣は骨格となるスープの完成度が抜群に高いからと田中さんは言います。

 

「例えば『醤油拉麺』。鶏と牛骨による動物系スープに牡蠣のエキスを加えた味わいは、重層的な旨みがあふれて止まらないウマさです。麺も、味が異なる担担麺とは別に打った、滑らかな中細タイプを使用。このスープと麺のコンビネーションがまた最高なんですよ」(田中さん)

↑醤油拉麺(750円)。淡麗系を思わせる優美なルックスですが、いただいてみるとどっしりとした旨みに驚かされます
↑醤油拉麺(750円)。淡麗系を思わせる優美なルックスですが、いただいてみるとどっしりとした旨みに驚かされます

 

↑同店の麺は、味わいに合わせて全4種。すべて店内の製麺機で丁寧に打ったものを使用しています
↑同店の麺は、味わいに合わせて全4種。すべて店内の製麺機で丁寧に打ったものを使用しています

 

田中さんは、この醤油拉麺あっての担担麺であるとも。ハイレベルなスープから生み出される担担麺に関しては、もはや”世界一”と断言するその味とは?

 

「店主の齋藤一将さんは、ホテルの高級中華レストランを経て、カリスマ的人気を誇った伝説のラーメン店で腕を振るっていた名手。担担麺の味のベースになる芝麻醤(チーマージャン)は高級店譲りの本格派で、スープと麺は専門店ならではの高い完成度。そんなハイブリッドな一杯は、齋藤さんだから実現可能だと思うんですよ」(田中さん)

↑担担麺にパクチーを投入。女性にはパクチー好きが多いから、というのも田中さんが鳴龍を推す理由のひとつです
↑担担麺にパクチーを投入。女性にはパクチー好きが多いから、というのも田中さんが鳴龍を推す理由のひとつです

 

本格的な中華料理店であってもスープはそこまで凝ったものではないし、自家製麺であることは稀。それを飛び越えるおいしさの鳴龍の一杯に対し、「僕はこれよりおいしい担担麺を食べたことはありません」と田中さん。確かにひと口すすると、芝麻醤の胡麻の甘味と香りは奥深くてリッチ。土台となるスープも、濃厚な風味に負けないふくよかな旨みに富んでいます。そして麺は繊細でいてしなやか。豊かな歯触りが特長的で、スープとの相性が抜群です。

 

メニューは豊富ですべてがハイレベル。だから女性はもちろん万人にオススメ

さらに同店は「塩拉麺(800円)」、「梅塩拉麺(900円)」、「酸辣麺(850円)」などメニューが豊富。つけ麺も「担担つけ麺(880円)」と「醤油つけ麺(800円)」があって、辛いのを苦手とする女性やつけ麺派でも楽しめる、間口の広さが素晴らしいと田中さんは言います。

 

「『担担つけ麺』は麺同士がくっつかないように、また途中で味の変化を楽しめるようにトマトジュースが麺の下に隠れているんです。こういった配慮も、女性が喜ぶポイントだと思うんですよね」(田中さん)

↑担担つけ麺(880円)。つけ汁は通常の担担麺より甘味と酸味を強め、麺は冷水で締めるのを計算してやや長めに茹でられています。つけ麺ならではの清涼感を楽しめる一杯に
↑担担つけ麺(880円)。つけ汁は通常の担担麺より甘味と酸味を強め、麺は冷水で締めるのを計算してやや長めに茹でられています。つけ麺ならではの清涼感を楽しめる一杯に

 

↑担担麺のつけ麺は珍しいとか。特に自家製の細麺で提供している店はかなり希少だそうです
↑担担麺のつけ麺は珍しいとか。特に自家製の細麺で提供している店はかなり希少だそうです

 

実は有名グルメガイドのお墨付き。味だけに収まらない素晴らしさとは?

ラーメンのおいしさはもちろん、居心地に関しても田中さんは大絶賛。明るく清潔感あふれる店内にはボサノバが流れ、まったりとした雰囲気を醸し出しています。

 

「ここには威圧的なムードも、せかせかした空気感も皆無。なので、テーブル席はないんですが、食べるのがゆっくりな女性でも落ち着いてくつろげます。あとはつまみやお酒があるのもポイントですね。ラーメンの前に一杯やったり、ラーメンの後にちょっとつまみながらお酒を嗜んだりと、多彩に楽しめるんですよ」(田中さん)

 

↑白亜の空間に、オープンキッチンを囲むように設けられたカウンター席。さながら美食のステージといえるでしょう
↑白亜の空間に、オープンキッチンを囲むように設けられたカウンター席。さながら美食のステージといえるでしょう

 

そんな店内を見渡すと、優れたレストランにしか飾られることのない名店の証が。そう、鳴龍は『ミシュランガイド 東京2016』のビブグルマン(5000円以下で良質な料理を提供する、リーズナブル店のカテゴリー)掲載店。田中さんは、味のレベルもさることながら、雰囲気やサービスのよさもミシュランのディプロマが物語っていると話します。

 

「齋藤さんはホテルのレストラン出身ですから、ホスピタリティが高いのは当然。しかも、かつて料理長を務めていた香港のラーメンレストランは、ビブグルマンではなくひとつ星を獲得しています。肩書や経歴を重視するわけではありませんが、もし食通の男性から『ラーメンのおいしいお店に女性を誘うなら』という相談を受けたら、僕はまず鳴龍を推しますね」(田中さん)

↑壁にかけられた、ミシュランガイドの証。また、ラーメン専門誌の年間ランキングなどでも常に上位にあるのが鳴龍。そのほか同店監修の担担麵がカップ麺で発売されるなど、その人気は確固たるものです
↑壁にかけられた、ミシュランガイドの証。また、ラーメン専門誌の年間ランキングなどでも常に上位にあるのが鳴龍。そのほか同店監修の担担麵がカップ麺で発売されるなど、その人気は確固たるものです

 

↑盛り付けの美しさや手際のよさもお見事。「だれでもできる容易で派手なパフォーマンスじゃなく、ものすごい高等技術の湯切りをしているのにも注目ですよ」と田中さん
↑盛り付けの美しさや手際のよさもお見事。「だれでもできる容易で派手なパフォーマンスじゃなく、ものすごい高等技術の湯切りをしているのにも注目ですよ」と田中さん

 

本当においしいラーメン店はメジャーな駅でないことが多いという事実

ところで、田中さんは齋藤店主とどのようにして仲良くなったのでしょうか? それを聞くと、なんと日本で初めてミシュランガイドの星を獲得したラーメン店「Japanese Soba Noodles 蔦」との関係が明らかに。

 

「齋藤さんは、隣の駅で近かったことなどから蔦の大西祐貴店主と仲よしだったんです。僕は蔦の前から大西さんと親しかったんで、最初は普通にお客さんとして鳴龍に通ってたんですけど、共通の知人ということですぐに齋藤さんと意気投合したんですよ」(田中さん)

↑終始リラックスモードのふたり。いまでは共通の友人の誕生会をこの場所で開催するほどの親密な関係です
↑終始リラックスモードのふたり。いまでは共通の友人の誕生会をこの場所で開催するほどの親密な関係です

 

鳴龍も蔦も、日本トップクラスのラーメン店。お互い実力の高さやラーメンに懸ける情熱の強さが、齋藤さんと大西さんの関係をより深めたのかもしれません。でも、なぜこんなにハイレベルな店が大塚や巣鴨に? かつての実力派ラーメン店といえば、もっとメジャーな駅に多かった気がするのですが。

 

「乗降数の多い駅は、そのぶん集客もいいですけど家賃が高くなって原価を圧迫しがち。でもおいしいお店は食材に妥協はしないので、思い描く味をほかの店と同じ価格で提供するためには、アクセスのよさは後回しにするんです。あとはインターネットやスマホの普及で、マイナーな駅のお店でもウマければ情報が回りますから」(田中さん)

↑スタッフとして、奥様(写真右)がサポートすることも。温かなチームワークも、同店にあふれる優しい雰囲気を生み出しています
↑スタッフとして、奥様(写真右)がサポートすることも。温かなチームワークも、同店にあふれる優しい雰囲気を生み出しています

 

本当においしければ、ついでではなくてそこの一杯を食べる目的で行くということですね。次はどんな街の女性にオススメなラーメン店をセレクトしてくれるのでしょうか。大いに期待したいと思います!

 

取材・文=中山秀明 撮影=若林良次

 

Shop Data

20161119-i03 (11)

創作麺工房 鳴龍
住所:東京都豊島区南大塚2-34-4 SKY南大塚1F
電話番号:03-6304-1811
営業時間:11:30~15:00、18:00~21:00
定休日:火(月は昼の部のみ)
アクセス:JR山手線「大塚駅」徒歩5分

 

Profile

20161119-i03 (12)

田中 貴

2008年に再結成を果たし、以来ライブを中心にマイペースながらも精力的に活動を続けるサニーデイ・サービスのベーシスト。年間600杯以上を食べ歩くラーメン好きとして知られ、TVや雑誌などでそのマニアぶりを発揮することも多い。バンドとしては2016年8月3日に通算10枚目のアルバム「DANCE TO YOU」を発売。そして10月21日の大阪を皮切りに、「サニーデイ・サービス TOUR 2016」を各地で興行している。ファイナルとなる12月15日の東京公演まで、音と麺の旅は終わらない。

 

【URL】

何気ない日常を、大切な毎日に変えるウェブメディア「@Living(アットリビング)」

http://at-living.press