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2023/6/19 10:30

【FCCLが取り組むSDGs】価値観が多様な時代にも“人に寄り添う”メイドインジャパンだからできるものづくりを

2030年までの達成目標が掲げられたSDGs。日本でも各企業が達成に向けて、さまざまな取り組みを行っています。今回は、FMVやクアデルノなどPC・タブレットの開発・製造、販売を手掛ける富士通クライアントコンピューティング株式会社(以下、FCCL)の取り組みをご紹介します。

FCCLは2016年に富士通の100%子会社として事業を分社化。2018年にはレノボ・ジャパン合同会社と富士通とのジョイントベンチャーとなりました。約689gの14.0型ワイド 世界最軽量モバイルノートPC「FMV LIFEBOOK UH-X/H1」(※1)をはじめとしたメイドインジャパンだからできるPCの開発・製造、販売しています。

 

FCCLの代表取締役社長である大隈健史さんと執行役員常務の広末庸治さんに、サステナブルな取り組みやこれからのFCCLについて取材しました。

(※1)14.0型ワイド液晶搭載ノートPCとして世界最軽量。2023年1月24日現在、FCCL調べ。

 

一台のPCができるまでに約1年! エシカル視点で行うPC製造とは?

__はじめに御社の創業経緯と事業内容について教えてください。

 

大隈「当社は2016年に富士通株式会社の100%子会社として、富士通のPC部門が独立する形で設立され、2018年にはPC出荷台数世界No.1(※2)のレノボと富士通のジョイントベンチャーとして新たなスタートを切りました。事業内容としては、ノートPCやタブレットなどあらゆるクライアントコンピューティングに関わる製品の製造から販売までを手がけています」

(※2)2023年Q1、Canalys調べ。

 

↑富士通クライアントコンピューティング株式会社 代表取締役社長 大隈 健史 千葉県出身。早稲田大学大学院理工学研究科を卒業後、McKinsey&Companyで日本支社・フランクフルト支社に在籍し、8年間コンサルティングに従事。その後、Lenovo Groupに転じ、香港・東京・シンガポールにて、9年間にわたりアジア・日本における法人向け販売・マーケティングの要職を歴任。2021年4月より富士通クライアントコンピューティングの代表取締役社長に就任

 

__クライアントコンピューティングとはどのような意味なのでしょうか?

 

大隈「私たちは『クライアントコンピューティング』という言葉を、お客さまに寄り添って情報処理や処理能力を提供することと考えています。私たちが取り扱う主な製品はPCですが、今後PCのありかたはどんどん変わっていくでしょう。お客さまに求められているコンピューティングを日々進化させながら、価値ある商品を創出し続ける、それが使命だと思っています」

 

__初歩的な質問になってしまうのですが、一台のPCが市場に出るまでの流れを教えていただけますか?

 

大隈「すべては商品企画から始まります。商品のコンセプトが決まり次第、調達(部品の仕入れ)がスタートします。その後、試作機を作って検討を重ね、調達した部品を工場に集め製造し、市場へと流通させます。製品によってそのスピードはまちまちですが、平均すると一台のPCが店頭に並ぶまで1年ほどかかりますね」

 

__1年も……なんだか毎日使うPCが愛おしく感じます。

 

大隈「そう言っていただけると私たちもうれしいです(笑)。PCは、いわばスケールビジネス。売れば売るだけ売り上げになりますが、社会的な面を考えると『安く仕入れて安く売る』ことが必ずしも正解ではないと私たちは考えています。大切なのは、その製品が安全・安心であり、ユーザーの皆様が安心して使えるということ。そのためにはどんな部品を使うのか、調達の段階から環境に配慮した部品を選ぶことが求められます。弊社では、さまざまなサプライヤーさんと協業し、その企業がどんな状況下で製造しているかを把握する“グリーン調達”に取り組んでいます。お客様に安心してPCを使っていただくためにも、当社の製品を信頼していただけるためにも徹底した確認を行っているのです」

 

会社にとって「当たり前の責任」を果たすことが、社会貢献になる

__グリーン調達は私たちが安心してPCを使うために必要なものだったのですね。持続可能な社会の実現のために、PCを利用する一個人としてできることには、どんなことがあるのでしょうか?

 

広末「FCCLのPCをご購入いただいた方でしたら、ぜひPCリサイクルをご活用ください。使わなくなったFCCLのPCを当社が無料回収し、再資源化する取り組みです。回収後には、まずPCに残っている情報を破棄するため、HDDなどを粉砕・溶解しデータ処理します。その後、金や銅といった再資源化可能な部品を取り出し、金属やプラスチックなどもペレット化し再利用しています。これは、自社工場だけでできるものではなく、外部の企業と連携しながら実施している取り組みです」

 

↑富士通クライアントコンピューティング株式会社 執行役員常務 広末 庸治 神奈川県出身。東京電機大学工学部Ⅰ部電子工学科を卒業。1999年より富士通で13年間パソコン・ディスプレイなどの企画・開発に携わる。その後、ドイツのFujitsu Technology Solutions GmbHに赴任し、4年間にわたりデスクトップパソコン製品開発の現地責任者として従事。2017年より富士通クライアントコンピューティングに転じ、2022年より執行役員常務/CTOに就任

 

__製品を作るだけでなく、使わなくなったPCの再資源化もメーカーさんが実施しているとは知りませんでした。どのようなリサイクル素材を活用しているのでしょうか?

 

大隈「1999年から当社製品にはボディの一部に再生プラスチックを採用しています。さらに、2022年に発売したFMV『CHシリーズ』では、海洋廃棄物から再生したプラスチックを製品の一部に採用しました。またPC以外の部分では、梱包時に用いるプラスチックの緩衝材を紙素材に切り替える取り組みも行っています。PCは、ある意味存在しているだけで環境負荷をかけてしまう製品でもあります。しかし、現代の私たちの生活には欠かせません。だからこそ、社会とのバランスをとりながら環境保全に対する課題感を持って取り組んでいきたいです」

 

__存在しているだけで環境負荷をかけているというのは、あらゆる製造業にも言えると思います。何か消費者として取り組めることはないのでしょうか?

 

広末「破棄やリサイクルだけでなく、修理をすることで1日でも長くPCを使い続けることかと思います。当社の製品は、他社製品に比べユーザーの皆様に長く使っていただけているデータも出ています。これは、国内製造にこだわっているからこそ。修理拠点も多く設けることができ、お客さまの色々なニーズに柔軟に対応しています」

 

会議における紙資料の無駄を省くために生まれた「クアデルノ」

__電子ペーパー「クアデルノ」は、個人のペーパーレス化にもぴったりな商品ですよね。どのようなきっかけで生まれた製品なのでしょうか?

↑QUADERNO A5 (Gen. 2)/FMVDP51 4万9800円(税込/富士通 WEB MARTの価格) https://www.fmworld.net/digital-paper/top.html

 

広末「当初はビジネスパーソン向けに開発した製品だったんです。弊社では紙の文化が根強く、資料を印刷、配布し、機密事項が書かれたものはすべて回収してシュレッダーにかける……、この流れが一般的でした。これは準備も会議後にも多くの手間が発生します。同じような課題を抱えた企業も多かったので、『ペーパーレス』で会議の無駄を省きたい思いから企画しました。またPCやクラウド上でもノート管理をすることで、紙のメモ帳のように物理的に失くすリスクも避けられます。サステナブルな上に、ユーザーメリットもある製品としてアップデートを続けています」

 

__法人向けツールとして開発が始まったんですね。現在は、個人向けツールとしても人気ですし、『文房具総選挙2022』でも人気を集めた商品でした。

実は文房具総選挙2022「最も欲しい文房具」第1位!「クアデルノ」がもうひとつの“No.1”に輝けた理由

 

大隈「いざ発売してみると学生の受験勉強に使っていただける機会も多いとわかりました。それならば学習面の機能をアップデートしようと、今年新たに暗記機能を追加。学生の試験勉強や、ビジネスパーソンの資格の勉強にも活用できるよう、機能を強化しています。製品自体を新しくするのではなく、ユーザーの声を踏まえてファームアップさせられるのも、『クアデルノ』の一つの特長でしょう」

 

寄り添われる人にとって、好ましい寄り添い方を

 

__御社のサイトでは「人に寄り添う」がキーワードとしてよく出てきています。改めてFCCLさんが掲げる「人に寄り添う」に込められた意味を教えてください。

 

大隈「この言葉は、私が社長に就任する以前から大切にされていたものです。PCを使っていない人も使っている人も、また子供から高齢者まで、どんな人にも寄り添いデジタルの裾野を広げていきたいと考えています。例えば、PC操作に不慣れな方には『ふくまろ』のような柔らかいキャラクターを使ったアシスト機能でより便利な生活ができるように、学生さんであればオンライン会議で使える『Umore(ユーモア)』という顔補正サービスで忙しい日常に寄り添います。もちろん、ハイスペックなPCが欲しい、デザインが素敵なPCが欲しい、環境にやさしいPCが欲しいなど、どんな方にとってもあまねく寄り添えることを目指しています」

 

価値観がどんどん多様化している時代なので、お客さまのニーズに合わせてデジタルの裾野を広げるということですね。今後はどのようなことに取り組んでいきたいと考えていますか?

 

大隈「FCCLは、富士通とレノボのジョイントベンチャーとしてビジネスを加速させるために、日本に根ざし、企画から生産、サポートまで一貫した国内ブランドであるという誇りとプライドを持って進めていきたいです。SDGsの取り組みについても、HP上で工場でのCO2や水資源の使用量の公表を始めました。今まで“当たり前”と思って公表していなかったことも、どんどん発信して取り組みを見える化していきたいですね」

 

製品を1日でも長く使う。消費者として取り組めるSDGsは、とても身近なことなのかもしれませんね。FCCLはメイドインジャパンだからこそ、1日でも長く使えるサポート体制もばっちり! 今あるPCを大切に使い続けようと感じた取材でした。人だけでなく、環境にも寄り添っているFCCL。今後もGetNavi webで情報を発信していきます。

 

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