中国の家電メーカー・TCLは、タイ・バンコク市でアジア太平洋地域全体の新製品発表イベントを開催しました。現在、日本の家電量販店においてTCL製品はテレビくらいしか展開していません。しかしながら、今回のイベントではテレビはもちろん、複数の家電も登場。認知度が高いとはいえないTCLの家電はどのような製品なのか、新製品をレポートしていきます。
今後は家電の販売も強化
TCL グローバルマーケティングセンター ジェネラルマネージャーのアイリーン・スン氏は日本市場について、「テレビ以外の製品においては、2022年後半から日本市場でも、主にAmazonで冷蔵庫の販売を開始しています」といいます。
「今後は洗濯機の販売を強化したいと思っており、より販売チャネルを増やしていきたいと考えています。そしてゆくゆくはエアコンをはじめとする製品を日本市場に投入し、より豊富なカテゴリーを展開していきたいと思っております」(アイリーン・スン氏)
現在はまだどの商品を日本市場に展開するのかは明らかではありませんが、TCLがどのような製品ラインアップをアジア太平洋地域に展開するのでしょうか。
両側面のすき間わずか0.4cmに設置できる「FREE BUILD-IN」冷蔵庫
発表会で最初に担当者がプッシュしていた冷蔵庫が「FREE BUILD-IN」シリーズでした。本体下部から熱を放出する「Base Cooling Technology」と、本体と同じ高さに設置した継ぎ目のない埋め込み式ヒンジドアによって、両側わずか0.4cmのすき間があれば設置できるというもの。なかなか日本の家庭では考えにくいですが、注文住宅で冷蔵庫がぴったりはまるスペースを作りたいという人にはいい選択肢になりそうです。
スチームで除菌&しわ伸ばしを実現するドラム式洗濯機
洗濯機は日本市場では依然として縦型中心ですが、アジア太平洋地域でTCLがプッシュしているのはやはり、ドラム式洗濯機とドラム式洗濯乾燥機です。
ドラム式洗濯機「P12」は抗菌仕様のドラムを採用しているほか、衣類の隅々までスチームを行きわたらせるスチームウォッシュ機能を搭載。スチームによって除菌できるだけでなく、アイロンがけの手間を減らせるのを売りにしています。
ドラム式洗濯乾燥機の「C210 Ecorora」はドラムをモーターで直接駆動する「DDインバーターモーター」を搭載しており、「直接ドラムを回転させることで安定性と静音性、省エネ性、節水効果があります」と担当者は語っていました。
エアコンは力の入ったカテゴリー。空気の質や清潔性にこだわり
アジア太平洋地域に展開する生活家電カテゴリーの中でも最も力が入っていたのがエアコンでした。
TCL エアコンディショナーオペレーションセンター ディレクターのビル・チェン氏は「消費者の興味は基本機能である冷暖房機能から、エアコンから流れてくる空気の質や健康に移っています」と語りました。
「GentleCool」シリーズは冷たい空気が直接肌に当たることを嫌う人向けに、小さな穴がたくさん空いた板に空気を通すことで優しい風にする「GENTLE BREEZEテクノロジー」を採用しています。省エネ性に少なからず影響がありそうですが、TCLはこの技術で特許取得済みとのことです。
そのほか、室内機の熱交換器を凍らせてから溶かして流すことで、熱交換器のフィンに付いた汚れを取り除く「CleanXpress」機能も備えています。これはジョンソンコントロールズ日立空調が2017年に初搭載して注目された機能にとてもよく似た機能です。CleanXpressでは熱交換器を急速冷却で凍結させてから霜取りを行ない、急速に熱して乾燥させて殺菌するとのことです。
そのほか、スマホアプリやAmazon Alexa、Googleアシスタントといった音声アシスタント経由で操作する機能も備えています。
空気清浄から換気までできるエアコンも
上位モデルの「FreshIN」シリーズは、4層のフィルターによる空気清浄機能を備えたエアコンです。
「『BLUE WINGフレッシュエアーシステム』によって取り入れた外気を4層のフィルターを通じて清浄化し、きれいな空気で家庭内の温度を適切に保つシステム。1時間あたり約60立方メートルの空気を取り入れることができ、エアダクトの追加工事は不要です」(ビル・チェン氏)
さらに今後登場する予定の「FreshIN+」シリーズは、1時間あたり約60立方メートルの外気を取りこむだけでなく、約30立方メートルの室内の空気を排出する「ブリージングフレッシュエアーシステム」を搭載するとのこと。つまり換気が可能ということですね。
加えて空気中の総揮発性有機化合物量(TVOC)を検出するセンサーを内蔵し、空気質を本体右側に搭載するディスプレイで可視化するだけでなく、インテリジェントに換気して空気を清浄化する機能も備えているとのことです。
「これからもTCLはより省エネかつインテリジェントで耐久性の高い製品を提供していきたいと思います」とビル・チェン氏は語りました。
今回紹介したモデルのうち、どのモデルが日本市場に展開されるのかは現時点ではわかりませんが、日本メーカーと同じような機能のほか、日本メーカーにはない機能やアプローチもあって興味深いところです。日本市場にも積極的に展開したいとのことなので、今後の動きには要注目ですね。
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