小学6年生でファッション雑誌『ニコラ』(新潮社)の専属モデルオーディショングランプリを受賞し、『Seventeen』(集英社)を経て、現在『non-no』(集英社)の専属モデルを務める久間田琳加さん。“りんくま”の愛称で、同世代から圧倒的な人気を誇る22歳だ。2023年にはHiHi Jetsの井上瑞稀さんとW主演を務めた映画『おとななじみ』で、コミカルな演技が話題となった。
一転、9月1日(金)に公開する、汐見夏衛氏の同名恋愛小説を実写映画化した『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』では、常に本心を覆い隠し周囲の空気を読む優等生役を演じる久間田さん。役作りから、W主演を務めるJO1白岩瑠姫さんとの現場エピソード、念願だった酒井麻衣監督への思いまでたっぷりと語った。
【久間田琳加さん撮り下ろし写真】
「絵が上手い青磁に強い憧れもありました」
──原作の小説を初めて読んだ時、どのような感想を抱かれましたか?
久間田 キュンとするポイントもあり甘酸っぱい気持ちになりつつ、やはり青磁が気になる存在になりました。青磁は自由奔放な性格で、人を引っ張っていくところがとても魅力的なキャラクターです。好き嫌いの感情を抜きにして、目で追ってしまう人だと思います。しかも私は絵を描くことがスーパー下手なので、絵がうまい青磁に強い憧れもありました。一方で、マスクを手放せない丹羽茜役を演じることが不安でした。
──『おとななじみ』に続く主演映画となる本作ですが、今回演じられた茜は、マスクで本心を隠している優等生の女の子でした。
久間田 『おとななじみ』はラブコメだったので、「どうやって笑いのポイントを作れるか」という脳になっていましたが、今回はマスクで顔半分が見えないことによる大変さといいますか……鏡の前で「どのような表情に見えるのか」を練習しました。ただ、実は茜はどこか自分に近いような気がして、気持ちは投影しやすかったです。
──茜のどの部分に共感したのでしょう?
久間田 私も茜と同じで、思ったことをすぐ、しかも直接言えるようなタイプではないですね。だから「茜でありつつ、半分は自分のままでいられたらいいな」と思っていました。
──反対に、久間田さんが茜と似ていないと思われる点は?
久間田 私に比べて茜は、きょうだいの面倒見がいい。私は兄が一人いるだけなので、末っ子タイプなんですよ。だから親戚で集まったときなどに小さい子がいると、びっくりしちゃうんです。
──茜には妹がいますが、その点どのように役作りをしたのでしょう?
久間田 それが子役さんの方から距離を縮めてくださったこともあり(笑)。現場で心配はなかったです。
JO1白岩さんは「青磁と同じ、自由奔放な方だと思いました(笑)」
──ドラマ『美しい彼』(MBS)など、映像美が特徴的な酒井監督にはどのような印象を抱かれましたか?
久間田 実は、酒井監督が演出されたドラマ『明日、私は誰かのカノジョ』(MBS)を原作ファンとして見たときに、キャラクター1人ひとりに愛を感じられたんです。それで「いつか酒井監督が撮られる作品に出てみたい」と思っていました。酒井監督がどんな方なのか知りたくて、ずっとSNSもチェックさせていただいていました(笑)。
──酒井監督の作品への出演は、念願だったのですね。
久間田 はい。実際にお会いして話したら、青磁と茜に対する思いが人一倍強い方で安心しました。『明日カノ』を見て、私が感じたことに間違いはなかったと。自分の思いを伝えるのが下手な茜は伏し目がちになることが多いので、酒井監督には目線の演技も指導していただきました。
──青磁役を演じた、白岩さんの印象はいかがでしょう?
久間田 白岩さんとは撮影前のリハーサルで何度かお会いしたのですが、お互いに台本を読み込むことでいっぱいいっぱいになってしまって、全然お話しする時間がなかったんです。クランクインして数日経って、「アオハライド」(集英社)など好きな少女マンガの話題などで、少しずつ話せるようになりました。
──久間田さんも白岩さんも、少女マンガがお好きなのですね。
久間田 そうなんです。あと白岩さんはお弁当を食べずに、お菓子ばかり食べていて。白岩さんご本人は「違う」と言っていましたが、私は青磁と同じ自由奔放な方だなと思いました(笑)。クラスメイトと一緒の現場でも、常に真ん中にいるムードメーカーでしたし、本番と休憩中のギャップがなく、ずっと青磁のままでいるようで。白岩さん自身を真っすぐ“青磁”として見ることができて、とても助けられました。
──舞台が高校ということで、青磁をはじめとするクラスメイトとの関わりも多かったかと思います。印象に残った撮影エピソードはありましたか?
久間田 撮影は真冬で、とても寒かったのですが、日没後や日の出前にマジックアワーを狙ったカットがあり、その数分を狙ってチーム一丸となって頑張ったことは、良い思い出になりました。それから学校の屋上で、青磁とペンキをかけ合うシーン。とてもダイナミックですし、演じている私たちも現場で楽しんでいました。モニターチェックのときから、ものすごくきれいで「これをスクリーンで観たらどうなるんだろう」とワクワクしていました。
──青春の一風景ですね。実際に完成した作品を観たときの感想も聞かせてください。
久間田 想像どおりきれいなシーンばかりで、朝方に茜が帰宅した後、携帯をいじっているときに窓の外の色が変わっていくシーンも印象的でした。このシーンは初日に撮影したのですが、私は携帯を見ているので、どんな状況になっているのか分からなかったんです。
──久間田さん自身も、見るまで分からなかったと。
久間田 はい。酒井監督の世界観やこだわりを感じ、念願だった酒井監督と一緒に仕事ができたことを、より強く実感できたシーンでした。あとは白岩さんが絵画を練習されているところを見ていなかったので、青磁が絵を描くシーンは、その上手さにビックリしましたし、スクリーンで観ることで、より素敵なシーンになっていました。
22歳、今後は「親近感を持たれる俳優さんになりたい」
──映画やドラマの出演作が続く久間田さん。この変化を、自身はどのように捉えられているのでしょう?
久間田 私は俳優業を始めたのが遅かったこともあり、日々“学べ学べ”の精神で、今もずっと走り続けています。いろんな現場を体験させていただいて、とても楽しいですし、やりがいを感じています。
──現在は制服を着た、学生役が多いですよね。
久間田 はい。以前、先輩方から「この仕事をしていると、高校を卒業してからの方が制服を着るよ!」と言われていたのですが、本当にそうなっています。学生時代は「今すぐにでも制服を脱ぎたい」と思うくらい大人になりたかったのですが、今となっては制服を尊い存在に感じています(笑)。
──ファッション誌で制服を着る機会も少なくなったとか。
久間田 ファッション誌のモデルでは、実際に学校を卒業してしまうと、制服のページをもらえなくなってしまうんです。だからこそ制服を着られるのは、俳優業ならではだと思っています。今22歳なので、あと3年は制服を着られたらいいなぁ……でも2年ぐらいで、学生役のお話が来なくなったらどうしよう(笑)。
──(笑)。学生役も作品によってさまざまで、役柄の幅も広がっているかと思いますが、今後挑戦してみたい役はありますか?
久間田 今後はたくさん共感してもらえる役を演じ、親近感を持たれる俳優さんになりたいです。見る方に元気を与えられたらいいですね! また今回は酒井監督とご一緒させていただき、思えば願いは叶うんだと思ったので、そんな思いも持ち続けていきたいです。
──最後にGetNavi webということで、いつも現場に持っていくような、お気に入りのアイテムについて教えてください。
久間田 今の私に欠かせないのはカフェラテとチョコレート! 特にコンビニのコーヒーマシンで作るアイスラテが大好きです。もともとコーヒーは好きですが、同映画の撮影中に、カフェラテとチョコレートの組み合わせが最強だと気づいてしまいました。かなり集中力が高まりますよ!
映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』
9月1日(金)より全国ロードショー
【映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』よりシーン写真】
(STAFF&CAST)
出演:白岩瑠姫(JO1)、久間田琳加
箭内夢菜、吉田ウーロン太、今井隆文/上杉柊平、鶴田真由
監督:酒井麻衣
原作:汐見夏衛「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」(スターツ出版 刊)
脚本:イ・ナウォン、酒井麻衣
音楽:横山克、濱田菜月 主題歌:JO1「Gradation」(LAPONE Entertainment)
製作:『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント、アスミック・エース
配給:アスミック・エース
(STORY)
周囲の空気ばかり読んでしまう優等生の茜(久間田)と、自由奔放で絵を描くことを愛する銀髪のクラスメイト・青磁(白岩)。茜は何もかもが自分とは正反対の青磁のことを苦手に思っていたが、青磁が描く絵とまっすぐな性格に惹かれ、2人は少しずつ距離を縮めていく。やがて、そんな2人の過去が重なり合い、これまで誰にも言えなかった思いが溢れ出す。
©2023『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会
撮影/中田智章 取材・文/くれい響 ヘアメイク/Mien(Lila) スタイリスト/Toriyama悦代(One8tokyo)