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2016/12/4 19:00

今年のバズワード「IoT」っていったい何? モノ×ネットの新時代的サービスが生活を変える!

最近よく使われている〝バズワード〟という単語。英語でも日本語でも使われ、英語では「専門的な響きを持つ流行語」を意味し、日本語では「意味や定義があいまいな、新しげな概念を表す言葉」というニュアンスになるようだ。

「バズる」という動詞の形でも使われる。ツイッターのつぶやきが一気にリツイートされて拡散されたり、ブログのシェアが爆発的に増えたりと、自分の発言が多くの人々の注目を集める状態を形容する言い方だ。

 

IoTってなに?

そのバズワードのひとつとして、今年さかんに言われたのがIoT=Internet of Things=モノのインターネットだ。たびたび耳にするので言葉自体は知っていたが、実感が伴っていない。だから、これを機に今年のうちにしっかりとらえておきたい。

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IoTとは、PCやスマホといった情報通信機器のみならず、いや、むしろそれ以外のモノに通信機能をもたせてインターネットにつないだり、モノ同士での通信を可能にしたりすることで、モノが自ら認識や制御、あるいは計算や計測といった作業をできるようにすることだ。

 

IoTと日常生活

IoTを軸に据えたサービスは、もう始まっている。

たとえば、店舗に設置するだけで、表の通りを歩いている人や店内で品物を見ているお客さんにスマホ経由で情報を発信できるという店舗集客支援サービス。こちらのサービスには自動翻訳機能もあり、東京オリンピックも見据えた仕掛けが展開されている。

 

限定的なスペースで大活躍することが容易に想像できるのが〝おかわりコースター〟。

こんな場面を想像してください。1杯目の中生を飲み干して周りを見たら、どの店員さんも忙しそう。声をかけても、振り向いてもらえない。そんな時には、おかわりコースターにジョッキ乗せるだけ。店員さんを呼んでテーブルに来てもらってお代わりを注文するまでの段取りが、コースターにジョッキを置くだけで完結するのだ。

 

ペットケアの世界もIoTとは無関係ではいられない。

首輪を利用したウェアラブルディバイスを使って、ご飯の食べ具合をはじめとする体調管理データを集め、まとめて可視化する。そして、飼い主が留守中に外からペットの状況を見られるアプリも開発され、ウェアラブルディバイスと併せて立体的なペットケアサービスが可能となる。

 

ショッピングから居酒屋さん、そしてペット業界におけるさまざまな局面に、IoTが持ち込まれている。日常生活でも、IoT的なものとまったく関係ない側面は徐々に少なくなりつつあり、医療から学習、健康、そして趣味と、用途の可能性は無限だ。

 

さまざまな業種の企業がこれほどまでにIoTに力を入れる理由はなぜか。

 

インターネットとつなげるべき最も大切なもの

『IoT時代のエクスペリエンス・デザイン』(朝岡崇史・著/ファーストプレス・刊)の著者朝岡氏は、「生き残りのために、すべての企業はIoTで武装したハイテク企業へと業態を変革する必要に迫られる」と主張する。

 

ならば、生き残りのための最も大切な要素となるものは何か。それは、ソフトとハードを合わせたテクノロジー面のさらなる充実ではなく、血の通った人間の側にある。

 

そして大きな流れを注意深く見て行くと、企業が立ち向かうべきものの本質は実はデジタルのテクノロジーの進化ではなく、お客さまの気持ちや行動の変化、つまりエクスペリエンスそのものの進化であることがわかる。

『IoT時代のエクスペリエンス・デザイン』より引用

 

世の中のIoT化を進めている原動力は、いわゆるITテクノロジーではなく、エクスペリエンス=体験を生む人の心なのだ。

 

人間研究とIoT環境

ありとあらゆるものがインターネットとつながる時代では、企業とお客さまの接点を作っていく上で、まったく新しい発想が必要になる。最近テレビを見ていて、2020年東京オリンピックの話題になると、「アスリートファースト」という言葉がよく出てくる。

 

朝岡氏はお客さまを第一に考えていく姿勢を「お客さま主語」という言い方で表す。語感としては、アスリートファーストにとても近いと思う。お客さま主語主義がもたらすものは何か。

 

著者は、エクスペリエンスを研究することの究極の意義は、お客さま、企業、それから、お客さまと企業を取り巻く社会が幸せを分かち合う方法を追求することだと考えている。

『IoT時代のエクスペリエンス・デザイン』より引用

 

インターネットとかITに関わるものは無機質だと思われがちだ。しかしその本質であり、それを進化させていくための最も大切な要素は、無機質という言葉の対極に位置する何かなのかもしれない。

 

ちょっと考えました。人工知能もさらなる進化を遂げることは目に見えているから、新しいビジネスとしてIoT経由の告白サービスなんてどうでしょう? あ、もうあるかもね。

(文:宇佐和通)

 

【参考リンク】

・おもてなしBeaconで集客! 2020オリンピックに向けて多言語対応(http://www.aplix.co.jp/app/omotenashi/)
・おかわりコースター(http://usable-iot.com/okawari/)
・Wi-Fi搭載ビーコン端末を利用したペット用クラウドサービス(http://miraiseikatsu.net/2015/06/aplix-pics

 

【参考文献】

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IoT時代のエクスペリエンス・デザイン

著者:朝岡崇史

出版社:ファーストプレス

 

既存のサービス業はもちろんのこと、すべての製造業は新しい形のサービス業へと形を変える。AIによるビッグデータ活用とアナリティクスにより、お客さまの近未来のエクスペリエンスの予測と改善提案が企業のサービスの根幹として提供され続けることになる。いずれにしても変化の激しいマーケットでは市場の競争ルールをその手にしたものだけが生き残るのだ。エクスペリエンスとエクスペリエンスの戦いになる 。

 

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