2022年の冬に高騰したズワイガニ。2023年もまた価格が上がって、高級食材がますますピンチになるかもしれません。数十億匹ものズワイガニが姿を消しているというアラスカの海で、一体何が起きているのでしょうか?
アラスカの海でズワイガニが激減していることが明らかになったのは、2021年のことでした。米国海洋大気庁の生物学者は、調査データを見て「ぶっ飛ぶほど驚いた」と表現。「調査結果が間違いであり、翌年にはもっと多くなると祈っていた」と言うほど、ズワイガニの数が明らかに減っていたのです。
しかし、その次の年もその数は回復することなく、初めてズワイガニ漁を禁止する措置が取られ、残念ながら2023年も2年連続でズワイガニ漁の禁止が先日、決まりました。
なぜ大量のズワイガニが海からいなくなったのか? 漁師の中には「乱獲が原因?」という声もあったようですが、この理由が科学者たちの研究で明らかになってきたのです。
それは、海水温の上昇。私たちもここ数年は特に、「気候変動で地球が異常に暑くなっている」ことを実感しているはず。アラスカに近い北極周辺では、他の地域よりも4倍の速さで気温が上昇していることが指摘されているのです。
ズワイガニは水温が2℃以下の地域で多く生息しており、12℃までなら活動できると言われています。しかし、近年の海水温の上昇によって、カニの代謝に異変が起こり、必要な食べ物の量が増えたそう。ところが、ベーリング海は海水温の上昇で食べ物を見つけることが難しくなり、「ズワイガニが餓死した可能性が高い」と科学者は考えているのです。
数十億匹ものズワイガニが消えたというアラスカ沖。アラスカの海は、日本や世界中の海につながっていて、これはアラスカだけの話ではないはずです。日本周辺や他国の海にも、いずれ同じような影響を及ぼすのかもしれません。
【主な参考記事】
CNN. Billions of crabs went missing around Alaska. Scientists now know what happened to them. October 19 2023