脱炭素社会を目指して、世界各国が省エネルギー政策を打ち出しています。その中には省エネ家電への買い替えの促進があり、日本の環境省も古い家電を使い続けるのはもったいないと訴えています。ありがたいことに、買い替えによって電気代をどれくらい節約できるのかを伝えてくれているのですが、消費者にとってはもう一つ肝心な問題があります。買い替えにはいくらかかるのか?
最近、その点を明らかにしたのが、米国のある消費者団体です。同国ではバイデン政権が気候変動対策に注力しており、米国民に家電製品をエコなものに「アップグレード」するように促しています。
では、同政権がつくった家電を巡る一連の規制は、家計の支出にどれほど影響を与えるのか? 米消費者保護団体の「The Alliance For Consumers(AFC)」が分析を行い、10月下旬にその結果をX(旧ツイッター)に公開しました(以下)。この投稿は大反響を呼びましたが、ずばり買い替え費用が家計をかなり圧迫するとAFCは指摘しています。
Welcome to Biden’s Dream House, where the American dream just got significantly more expensive…
Join us on a tour and see the green “upgrades” that the Biden Administration wants to bring (by mandate) to a home near you, very soon. pic.twitter.com/7cg7yMRCXZ
— Alliance For Consumers (@for_consumers) October 26, 2023
「バイデンのドリームハウス」と名付けられたこの調査結果は、バイデン政権の規制を「アメリカンドリームをもっと高くするだけだ」と批判しています。このドリームハウスを見学させてもらうと、具体的な出費の増加が分かります。一部を抜粋しましょう。
・給湯器:2800ドル増
・食洗機:225ドル増
・ガスレンジ:800〜3250ドル増
・エアコン:1100ドル増
・洗濯機:200ドル増
一家庭において家電の費用は合わせて9166ドル(約140万円※)も高くなります。
※1ドル=約151円で換算(2023年11月9日現在)
新しい家電で省エネ性能が増しているからといって、古い家電より効果が弱いことはよくあるともAFCは指摘。そうだとすれば、バイデン政権の規制はこのように解釈できるそうです。
もっとたくさんお金を払え。メリットは少ないが、心配することはない。君たちのために私たちが気候変動の面倒を見てあげよう(そもそも君たちがエコな選択をするとは信用していない)。だから気候変動は我々に任せろ。その費用だけ払ってくれ。
「バイデン政権はただ規制をいじっているだけではなく、実際には既に市場に出回っている家電製品の発売を止めるようなことをしている。気候変動の影響を受けてこのような判断が下されているが、私たちの生活を変えてやるという思惑もある」とAFCのエグゼクティブディレクターは述べています。自由を大切にする米国人にとって政府は大きくなり過ぎているのかもしれません。
省エネ家電への買い替えは結構ですが、地球の前に生活が破綻してしまわないように、一般家庭は家計をきちんと管理しておくべきかもしれません。
【出典】
FOX. Consumer group exposes costs of Biden admin’s war on home appliances. October 30 2023