佐藤隆太さん、岡田義徳さん、塚本高史さんが演じる、ジャンボ、まっつん、ミッキーの3人が、ただただファミレスでゆるい会話を繰り広げていく「THE3名様Ω」が初の連続ドラマ化され、FODで配信中。シリーズスタートから19年が経ち、互いに俳優としてのキャリアを重ねたことで「よりクリエイティブになった」と話します。劇中同様、取材中も3人ならではのゆる〜い空気が漂っていました。
【佐藤隆太さん&岡田義徳さん&塚本高史さん撮り下ろし写真】
倍ぐらいの年齢になったけど、精神年齢は変わっていない
──スタートから19年ですが、ファミレスでこんなに長い間しゃべることになるとは想像していましたか?
佐藤 そんな先のことまでは想像していませんでした。ただもうすぐ20年ですが、休止期間が12年あるんですよね。それが「もう1回、このタイミングじゃないか」ってところでみんなで動き出して、しかも1回限りの復活に留まらず、続けていけることが幸せだなと感じています。なんかこう、若かった頃以上に僕らも楽しくやれているので、こういう戻って来られる場所があるってすごくぜいたくで幸せなことですよね。
──19年経ってお互い変わったなと思うところと、全然変わらないなって思うところはありますか。
塚本 基本は変わらないですね。みんな40歳超えて(笑)。
岡田 倍ぐらいの年齢になってるわけだもんね。
塚本 そう、倍ぐらいの歳になったけど、精神年齢は変わっていないですね。ただ40を超えて、本来「THE3名様」はこういうふうにやりたかったんだよということが、もっといい環境でできているなと感じています。それは時を経て、僕らが経験を積んできたことがデカいっすね。やりたい内容を吟味しながらクリエイティブにできるようになりました。
岡田 今、オレが言おうと思ったことを……!(笑)
塚本 じゃあ、お願いします。
岡田 まっつんがこの言葉を使うのは似合わないかもしれないけど、すごくクリエイティブにやれていると思います。「より面白いことを」っていうのを純粋に楽しみながらクリエイトできている気がしますね。
ちょっとドキュメンタリーチックではあります
──オマケの映像で回した50円玉に爪楊枝を刺そうとするじゃないですか。あれはアドリブなんですよね。
塚本 アドリブですね。何でもいいから撮っておけば使えるよねって、現場で思い付いて撮っただけなんですよ。
佐藤 もちろんこのタイミングで刺してくださいって言われてできることではないですからね(笑)。その場でこれをやったら面白いんじゃないかってアイデアを出して、「じゃあ撮りましょう」ってなるんです。だからあれはちょっとドキュメンタリーチックではありますね。
岡田 その場でカメラワークも考えてくれて。
佐藤 これは他の作品では絶対ありえないですよね。「こんなのが面白いんじゃない?」って、その場の3人のノリで1つのエピソードを作っちゃうって。
岡田 ノリでやってることって、普通はメイキング画像みたいになると思うんですよ。それをちゃんと作品の中に落とし込んでくれるのは、この現場ならではなんじゃないかな。
──ファミレスで緩い会話をしつつ、たまに皆さん笑いを堪えているようななんとも言えない表情をされますよね。そういうときも台本にはないセリフを言ってらっしゃるのかなって思ったんですけど。
塚本 そうですね。この3人は、細かいト書きや文字では表現できないような表情をすることが多々あるんですよ。でもそれをあえて狙っているわけでもないし、誰かがそうするように仕向けているわけでもなくて。自然なリアクションだったりするんですけど、それも一応、芝居やキャラの一環として出てくるものではあるんですよね。
佐藤 これが難しいんですよね。本来は笑うのを我慢しなくてもいいと思っているんですよ。だって学生時代に何が楽しかったかっていうと、他の人が聞いたら笑えなくても、仲間としゃべるだけでゲラゲラ笑えたじゃないですか。「THE3名様」の3人もそういうのが楽しくて話しているわけだから。むしろ3人がそろって全然笑わないって状況はおかしいですもんね。
岡田 そう、おかしいのよ(笑)。
塚本 リアルな状況で考えればね(笑)。
佐藤 だから本来は我慢しなくていいはずなんだけど、作品になったときにあまりにも身内ノリっぽくなるのはよくないですよね。視聴者の方を置いていきたくないし、寒くなるのも嫌だから、基本的には笑うのを我慢しているんですよ。でもたまに思います、別に我慢しなくていいんじゃないかって。なので、堪え切れないときは笑います。そうじゃないと、じゃあ何でこいつらは3人で集まってるんだって話になるから。そのあたりはいいバランスでできたらいいなって思ってます。
──個人的には岡田さん演じるまっつんが前歯の虫歯を我慢する回が好きでした。
塚本 あの回も面白いよね。まっつんがちょっとかわいいんだよね。
佐藤 オレがすごくかわいいなと思ったのが、薬を6時間空けて飲んでくださいっていうのを守ってるところ(笑)。まっつんはけっこう真面目なんだなって。
塚本 何だろうな、2年前の映画からなんだけどまっつんってテンパると手が震えるんだよね(笑)。「いいから落ち着けって!」ってツッコむキャラになった。あれヤバイよね。
岡田 あれ、なんでなの?
塚本 知らないって!(笑) あなたが作り出したキャラなんだから!
岡田 オレが作り出したのね(笑)。
佐藤 薬を空けるときに「おい、落ち着いた方がいいんじゃないか」って普通は言わないよね(笑)。「ラスいちでしょ」とか。
塚本 周りにいるオレらが説明してるんだよね(笑)。
まこちん先生の世界観全開のお話も今後やってみたい
──前作の映画から脚本に石原まこちんさんが参加されています。
岡田 今回、まこちん先生は自分が書いている世界観より、みんなに分かりやすい世界を描いたっておっしゃってたよね。
塚本 そうだね。だからセリフ量が多くて、説明ゼリフも増えたのが申し訳ないっておっしゃってました。でも言わないと伝わらないものもあるし、説明しないと分からない部分もあるので、そこは気にしないでくださいってお伝えしました。
岡田 だからね、まこちん先生の世界観全開のお話も今後やってみたいんです。訳わからなくてもいいから1回やってみたいと思ってます。
──3人の衣装も気になっているんですが、皆さんアイデアを出したりされるんですか?
佐藤 「THE3名様」シリーズをずっと担当してくださっている方がいてお任せです。すごく楽しんで参加してくださっているんですよ。この間も撮影中に話したんですが、ずっとやっていきたいと言ってくれますし、他の作品ではありえないリースの仕方をするので楽しいっておっしゃっていました。
──まっつんのTシャツに何が書いてあるかも当日まで分からないんですか。
岡田 いや、それは事前に選びます。
佐藤 衣装合わせはありますからね。
岡田 選んでおきますけど、その日のテンションというか、1回やってみてこれは違うなと思ったら変えることもありますね。
塚本 まっつんのTシャツのチョイスは、その話のメッセージを含んでいるんですよ。ジャンボが推し活する回は、オレの友達で何遊んでんだ! みたいなことを言うんですけど、Tシャツには「知らんけど」って書いてある(笑)。あと歯が痛い回も「無敵」って書いてある。そんなメッセージ性があるんです。
岡田 お話に関連性をつけるものもあれば、あえて関連性をつけないときもあります。
──ジャンボはTシャツのイメージが強かったけど、最近ファンシーな服も着ますよね。
佐藤 最近ファンシー系が多いです。
岡田 そうだよね、クマちゃんとかね。
佐藤 知らないうちにそういう系になっていましたね。
塚本 かわいいキャラになっているんだ(笑)。DVDシリーズをやっていた頃は、ジャンボも結構強めのキャラだったんですが、どんどんどんどん丸くなってきて、それに合わせて衣装を選んでくれているんじゃないでしょうか(笑)。
この年齢になってきたからこそ、日々の運動は必要
──8月には映画の公開も決まっていますね。
佐藤 多分、面白いです。
塚本 いや、面白いよ!(笑) 配信から関連性のある作りになっているので、配信ドラマから余すところなく見てほしいですね。
佐藤 そうだね、全部ひっくるめて見てもらったら一番楽しめるよね。
──ここからは皆さんがハマっているものだったり、趣味のお話を聞かせください。
佐藤 僕はずっと変わらないんですよね。着る服、聴く音楽、好きなものが全然変わらなくて。つい買ってしまうものはスニーカーですね。スニーカーを買うのが止まらないです。
──つい買ってしまうときのポイントは何でしょうか。
佐藤 シンプルにかっこいいと思うものですよね。ここ数年、世間が異常なほどのスニーカーブームで、急に全然買えなくなってしまって、「なんだよ……」と思っていたんです。でも最近、普通に戻ってホッとしているところです(笑)。
──プレミアシューズだと、値段も高騰していましたよね。
佐藤 そういうのはあまり興味がないんです。まあ好きなものは好きですけど……、最近の偏った価格の高騰はよく分からないなって思っていました。
岡田 隆ちゃんのいいところってそこだよね。プレミアのものをプレ値で買って、「持ってます」みたいなことを言わない。そういうことじゃなくて、本当に好きな人の買い方をしているのが僕は好きですね。
佐藤 めちゃくちゃ惚れ込んだものがレアですごい値段だよってなれば、どこまでも追っかけたりはしますけど。でも別にプレミアだからって欲しいって基準ではないです。
──では塚本さんは?
塚本 ギターですかね。プライベートでバンドをやっているので。
佐藤 ギターが好きになるきっかけは何だったの?
塚本 hide。
佐藤 やっぱりそうなんだ。存在に憧れてみたいな?
塚本 そうだね。だからhideがベースをやっていたとしたら、多分ベースを始めていただろうし。X JAPANというよりhideに衝撃を受けたんだよね。hideのビジュアルに衝撃を受けて、「この人、誰なの?」ってところから始まって、X JAPANというバンドでギターをやっている人なんだよって知って、同じギターが欲しいってことで、中2か中3の誕生日に父親にhideモデルを買ってもらいました。
佐藤 最初の1本はhideモデル?
塚本 そう! 小さいアンプが付いて、入門編みたいなものをオヤジに買ってもらったのが最初です。
岡田 それでギター始める人ってやっぱりいるんだね? Ibanezとかあったよね。
塚本 TARGET by FERNANDESだった(笑)。
岡田 オレもまたドラムを始めたのよ。夜な夜な1人でスタジオに行って、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンとかやってる。
塚本 いいね、かっこいい!
岡田 ストレス解消にドラムをやってますね(笑)。
──ということは岡田さんの夢中になるものはドラムですね。
岡田 それに伴って、体力がなくなったから最近めっちゃ走ってます。ジムでダッシュしてますよ。
──ジムのウェアのこだわりとかないですか。
岡田 全然ないです(笑)。Tシャツ短パンでやっています、酸素の薄いジムというか、高地トレーニングっていうんですが、30分ぐらい走って帰ってくるだけです。だけど、その30分間でけっこう疲れるんですよ。30秒走って30秒休むっていうのを10本から12本セットで、ほとんど毎日やってます。
──体力が上がった実感はあります?
岡田 体力は上がったと思いますね。疲れなくなりました。息が切れて、セリフが言えないときがあって、それが嫌でジムに行き始めたんですけど、それもなくなりました。
佐藤 この年齢になってきたからこそ、日々の運動は必要だよね。やらなきゃなって思います。
塚本 プライベートでは40オーバーのおっさんですからね。若そうに見えて初老だよ!(笑)
岡田 ジャンボが推し活する回あったじゃん。オレ、隆ちゃんが見せていたスマホの画面が見られなかったからね、老眼で!(笑)
──やっぱり皆さんには、老後もファミレスで話していてほしいですね。
佐藤 うん、いたいです!
THE3名様Ω
5月24日(金)20時よりFODにて配信中
毎週(金)2話ずつ配信(全8話) ※過去作もFODで全話配信中
8月30日(金)より劇場版新作も公開
(STAFF&CAST)
原作:「THE3名様Ω」石原まこちん
脚本:石原まこちん
演出:森谷雄(アットムービー)、小山亮太(アットムービー)
出演:佐藤隆太、岡田義徳、塚本高史、小林大介、桃月なしこ、安藤玉恵ほか
「THE3名様Ω」オフィシャルサイト:https://www.fujitv.co.jp/the3youngmen-omega/
撮影/中田智章 取材・文/佐久間裕子 ヘアメイク/白石義人(ima.)(佐藤)、SHUTARO(Vitamins)(岡田)、YASU(塚本)スタイリスト/勝見宜人(Koa Hole inc.)(佐藤)、山田陵太(岡田)、上井大輔(demdem inc.)(塚本)衣装協力/BRÚ NA BÓINNE、SOPH.