GetNavi webの人気カテゴリーのひとつである「グルメ」系コンテンツ。100種類飲み比べし放題のお店がオープンしたり、ブルボンのルマンドがアイスとして発売されたり、2016年はグルメネタが尽きない1年だったと思います。そこで本稿では、「2016年総まとめ」ということで、グルメ系コンテンツを執筆しているフードアナリスト・中山秀明さんに、2016年に寄稿した記事のなかから印象に残っているものを選んでもらいました。
<その1>
【バンズは約10㎝/パティは9㎝】ビッグマックの1.3倍デカい「グランド ビッグマック」のデカさを計測してきた
ジャンボサイズのハンバーガーといえば、マクドナルドのビッグマックが有名。1971年、日本にマクドナルドが誕生してからの超ロングセラーであり、ジャンボバーガーの先駆けともいえる同商品ですが、それを超えるサイズの新商品「グランド ビッグマック」が4月6日から全国で発売されました。
【記事ダイジェスト】
まずはグランド ビッグマックの詳細から。単品の価格は520円で、バリューセットは790円です。3段のバンズと2枚のビーフパティという仕様は通常のビッグマックを受け継ぎながら、サイズは1.3倍超えという大きさ。
そして実食! 味は長年愛され続ける秘伝のオリジナルソースのほか、レタスやオニオンなど計7つの素材によって“デカイけど食べ飽きないおいしさ”に仕上げられています。ビーフパティがよりジューシーに感じられ、またバンズも大きくなっているので生地のふわふわ感も絶大。ただデカいだけではありませんでした。
こっそりサイズもチェックしたところ、バンズもパティも直径10cm前後と、ロングサイズのタバコの長さと同じぐらい。やはりかなりのデカさです。また、この商品と合わせて「グランドフライ」に「グランドコーク」という、Lサイズを超えた大きさのポテトとコカ・コーラも発売。それぞれポテトはMサイズの1.7倍、コカ・コーラはMサイズの2倍でした。
【この記事を選んだ理由は?】
「ここ数年低迷していた日本マクドナルドが、2016年についに復権。その起爆剤が『グランド ビッグマック』だと思っています。発表会にカサノバ社長自身がPRに来ていたのですが、想いが伝わって印象的でした。マクドナルドは『ポケモンGO』とのコラボや復活メニューなど話題が尽きず、最近は因縁のチキンマックナゲットを使ったキャンペーンを実施中。やはり2017年も注目です」(中山)
<その2>
【ラーメン王・石神氏が語る】家系ラーメン急増の理由は「日本人の食生活の変化」と「調理技術の進化」にあり
ここ数年、都内を中心に「○○家」を掲げるラーメン屋が目立つと感じませんか? その多くが赤い看板で、なかには“横浜ラーメン”や“濃厚豚骨”といったのぼりもちらほら。これは通称“家系”と呼ばれる、横浜がルーツのラーメンです。しかし様々なジャンルがあるなかで、なぜ家系が目立って急増しているのでしょうか。ここではラーメン評論家の石神秀幸さんにインタビュー。家系急増の謎を解き明かすべく、多角的に分析してもらいました。
【記事ダイジェスト】
石神さんは、「日本人は洋食化とともに、肉をより多く食べるようになりました。これによって、豚や鶏をはじめとする動物系のエキスや油を好むようになり、ラーメンのスープも濃厚なものが求められるようになったのです。このパンチのあるスープに、日本人になじみの深い醤油を加えたものの代表が家系ですね」と分析してくれました。
つまりは、「変化しつつある日本人の嗜好に強くマッチしていたから」というのが大きな理由のひとつ。しかし、ほかにも濃厚なスープの醤油ラーメンはあります。そのひとつが「背脂チャッチャ系」ですが、家系に比べるとそこまで拡大はしていません。この理由にも、家系の特徴が表れていると石神さんは指摘します。
「背脂チャッチャ系は、その名の通りスープの上に豚の背脂を振りかけてこってり味わわせるタイプ。一方、家系も鶏油が表面に膜を張っていますが、そもそもスープのなかに動物系のエキスが溶け込んでいます。この乳化がとろみを生み出し、より味覚を刺激するのだと思います」(石神さん)
【この記事を選んだ理由は?】
「2016年は、とにかく至るところに『○○家』を掲げるラーメン屋が出店しました。ですが、実際に食べてみると本来の家系にはほど遠いものばかりで、家系の元祖である『吉村家』の足元に及ばないラーメンがほとんど。この構図は2017年もつづくと予想できますが、最終的には“本物のお店しか残らないのでは?”と思っています」(中山)
<その3>
世界一の日本酒を決めるガチバトルに潜入!! 「利き酒のやり方」「日本酒を楽しむコツ」も聞いちゃいました!
スター杜氏の活躍や個性派銘柄の登場などで注目を集めている日本酒。実は、そんな日本酒のナンバーワンを決める品評会が、毎年開催されているのをご存じでしょうか? それが「SAKE COMPETITION」です。GetNavi webでは、先行して行われた決審会の取材に成功。その様子をレポートしました。
【記事ダイジェスト】
なんと、今回のノミネート数は昨対比約140%となる1462本。海外の酒蔵が初の参加を果たしており(海外からの参加蔵:21蔵)、事実上の世界一おいしい日本酒が決まることになります。その審査は厳正そのもの。「純米」「純米吟醸」などの特定名称によって分けられたそれぞれの酒の銘柄を完全に隠した状態で並べて試飲をし、まず予審で1/3に選別。そして決審で頂点を決めるというものです。
審査部門は「吟醸部門」、「純米酒部門」、「純米吟醸部門」、「純米大吟醸部門」の4つに加え、今回から特定名称(種類)にかかわらず、高価格に設定されているものを「Super Premium部門」として新たに導入しました。
審査委員は、全国から集結した日本酒業界の精鋭。県の指導者や彼らに推薦された蔵元、日本酒業界で活躍される有識者などで構成されています。「Super Premium部門」では、これらの審査委員に加え、“食”とのマリアージュを知り尽くしたその道のプロがジャッジしました。
【この記事を選んだ理由は?】
「昨今の日本酒ブームにより、以前より日本酒を扱うお店が増えたり、レアな銘柄を扱うようになったりと、着実に日本酒の裾野は広がっています。また、日本酒の飲み放題や飲み比べができる店も増えているので、この先はより手ごろな価格で、色々な銘柄が試せるようになるでしょう。2017年の日本酒は要チェックです!」(中山)
<その4>
コレが未来の焼鳥屋! “劇場型”の三鷹「山もと」は酒の品揃えにも哲学あり!!
大衆居酒屋から専門の高級店まで全国各地、また屋台にコンビニと様々なお店で売られていることからも、国民食といえる焼鳥。“日本一予約が取れない焼鳥店”として有名な目黒の「鳥しき」が「プロフェッショナル 仕事の流儀」で紹介されるなど、匠の技が注目される料理でもあります。ここでは、あくまでも正統派(豚や牛はなし)の焼鳥店でありながら、お酒のラインナップが焼鳥店の域を超えている注目の一軒を紹介しました。2015年の9月、三鷹にオープンした「焼鳥 山もと」というお店です。
【記事ダイジェスト】
「あくまでも僕の理想は世界一おいしい焼鳥を提供すること」と話す店主の山本さん。冒頭で触れた鳥しきをはじめ、時間をつくっては一流と崇められる名店を食べ歩き、日々研鑽を重ねています。焼鳥についての話を聞くなかでわかったことは、部位の大きさ、串の打ち方、焼き方などで味が変わるという奥の深さ。
山本さんは試行錯誤を重ねるなか、鳥しきのルーツでもある「鳥よし」のスタイルに行き着いたとか。その一例が、肉は厚くて串は短め。強火の炭に近づけて焼き上げることで、中はきわめてやわらかくジューシー、周りはカリッと香ばしく仕上げる手法です。ただ、手を火傷しやすく、また焦げないように常時気を配る繊細さが必要とか。
そして、おいしさへの探求心は空間づくりにも。あえてテーブル席はつくらず、目の前で焼くことで音や香りなど五感で旨さを伝える設計に。それが15席のカウンターです。また、できたてを味わってもらうため、一本一本焼けた串から出す方法で提供。もちろん、串の盛り合わせは用意されていません。このスタイルを、勝手にですが筆者は“劇場型”と名付けました。そして劇場型は、今後もっと増えていくと確信しています。
【この記事を選んだ理由は?】
「今年は居酒屋チェーンによる”ポスト鳥貴族店のオープンラッシュ”が過熱しましたが、僕は依然として焼鳥に注目しています。酉年ということもありますが、高級路線も今後増えていくはず。それを強く確信させてくれたのが『山もと』。この取材がきっかけで、予約が取れない『鳥しき』さんなどが加入している『焼鳥達人の会』の催しに参加したのですが、”SUSHIのように世界にYAKITORIを”という取り組みが興味深かったですね」(中山)
<その5>
未来の回転寿司の姿を見た! かっぱ寿司の新型店舗はなんとも上品だった!!
全国的に有名な回転寿司チェーン「かっぱ寿司」。そんな同チェーンが、数年前から少しずつ進化を遂げているのをご存知でしょうか? 特急レーンやタッチパネルの導入、最近ではweb予約をスタートさせるなど便利なシステムが盛り込まれてきましたが、2016年10月に大きく一新。なかでも、さらに生まれ変わるべくリブランドされた店舗があります。それが東京都の三鷹店です!
【記事ダイジェスト】
10月に“新生かっぱ寿司スタート”として発表された施策ですが、大きな目玉は「特ネタ」、「旬ネタ」として提供する月替わりの新メニューカテゴリー。なかでも、特ネタは回転寿司ならではの自由な発想で生み出される創作寿司ですが、これが想像以上のスゴさなのです。
10月、11月は「全国お祭り寿司」として、日本の「お祭り」をモチーフにした斬新な寿司が登場。11月は第2弾ということで新たな5種類が現在販売されました。サクのまま豪快に、カリっと香ばしく揚げたまぐろは女踊りの網み笠を表現した「徳島阿波おどり寿司」(410円)や、神輿を型どったシャリに甘めの味付けのうなぎを混ぜ込み、大量のうなぎを乗せた「神田祭寿司」(410円)など、どれも度肝を抜かれる寿司ばかりでした。
各社独自の戦略を打ち出して激戦が繰り広げられる回転寿司業界ですが、今回の「新生かっぱ寿司」は個人的にはかなりの衝撃。機械によるシステムだけでなく雰囲気や設え、驚きのメニューなどで五感を刺激してくれるその心意気に、未来の回転寿司の姿が垣間見れました。特ネタと旬ネタは毎月精力的に展開していくそうなので、これからの飛躍にも期待大です!
【この記事を選んだ理由は?】
「かつての業界No.1が数年間で第4位にまで後退するなど、業界自体が激動なのが回転寿司。お店で僕が特に注目しているのが、そのオールドチャンピオン『かっぱ寿司』です。理由は、この記事にあるようなリブランディング。しかも同社は、2017年も初頭から大間のマグロを提供するフェアを開催するなど、イケイケモード全開で目が離せません。今後も驚くような寿司ネタが登場するはずですし、とても楽しみにしています」(中山)