旧年の労をねぎらい、新年を祝う年末年始。この日ばかりは、いつもとはちょっと違う贅沢なお酒で乾杯したいですよね。そこで今回は、日本酒の目利きに依頼し、4合(720ml)で1万円以上の最高級の大吟醸をご紹介。日本酒界の巨人として知られる「はせがわ酒店」の麻布十番店のマネージャー、安藤大輔さんにお願いし、オススメの銘柄を5種類セレクトしてもらいました! 紹介する5種類のうち4種類が約2万円。1合に換算すると約5000円とかなりお高めですが、そのぶん味は折り紙つき。新年の自慢の種にもなることですし、「年末年始だから!」を免罪符に、清水の舞台から飛び降りてはいかがですか?
その1
圧倒的に華やかな香りはぜひ肉と合わせたい
福島県
写楽 純米大吟醸 極上二割二分
(しゃらく じゅんまいだいぎんじょう ごくじょうにわりにぶ)
720mℓ 2万1600円
「兵庫県産特A地区山田錦を使い、同銘柄で初めて22%磨きで醸した純米大吟醸。『獺祭の23%を超える精米歩合まで山田錦を極限まで磨いてみよう!』というチャレンジから生まれた一本です。写楽らしい凝縮感のある味わいで、お米の甘みをキレイに引き出し、上品な余韻を感じさせます。圧倒的に華やかな香りがあるだけに、魚よりはお肉と合わせたいところ。濃厚で香り高いデミグラスソースを使ったシチューやハンバーグなど、スペシャルなお料理とともに楽しんでください」(安藤さん)
その2
各国首脳の懐刀をうならせた気品ある大吟醸
静岡県
磯自慢 大吟醸 28 Nobilmente
(いそじまん だいぎんじょう にじゅうはち ノビルメンテ)
720mℓ 2万円
「Vintage(ビンテージ)、 Adajio(アダージョ)に続く2016年初リリースのプレミアム銘柄。『高貴な、上品な、気品のある』などの意味を持つ音楽用語、Nobilmente(ノビルメンテ) を体現するような気品のある大吟醸です。兵庫県の特A地区、東条秋津の山田錦を28%まで精米したお米を麹米、掛米(※)ともに100%贅沢に使用。2016年5月、伊勢志摩で開催された先進7か国首脳会議(伊勢志摩サミット)に先立つ、G7シェルパ(首脳の個人代表=首脳の補佐役)の会合の夕食会において乾杯酒として振る舞われ、各国の代表から高い評価を得ました。マグロや金目鯛、サワラなど旬なお魚のお寿司と合わせてどうぞ」(安藤さん)
※掛米(かけまい)…もろみ(発酵中の液体)を増やす目的で使われるお米。酒造に使うお米の約7割を占め、蒸してからもろみに投入されます。通常のお酒では、掛米に安価な一般米を使うこともありますが、高級酒では掛米に特別なお米が使われる場合があります。
その3
穏やかな香りの食中酒で牡蠣との相性はバツグン
宮城県
墨廼江 純米大吟醸 侘 -WABI- 直汲斗瓶取り
(すみのえ じゅんまいだいぎんじょう わび じかぐみとびんどり)
720mℓ 1万800円
「兵庫県特A地区杜町三草産の特上山田錦を使用。丁寧に仕込まれたもろみを無加圧で搾り、直汲み(※)、斗瓶囲い(※)した希少酒です。純米大吟醸といえば華やかな香りのものが多いなか、本品は宮城酵母を使って、穏やかな香りに仕上げており、食中酒として楽しめます。トレンドであるガス感を残しながら、絶妙な熟成感も感じられる素晴らしいバランス。牡蠣の名産地、石巻のお酒だけに、プリッと身のしまった牡蠣と合わせると至福です!」(安藤さん)
※直汲み……搾ったお酒をタンクに貯蔵することなく、そのまま瓶詰めすること。酸化を防ぎ、フレッシュな風味が保てます。
※斗瓶囲い……一斗(10升)入りの瓶にお酒を詰めて熟成させる方法。杜氏や醸造責任者が自信のある部分を選抜し、少量で管理するために用いることが多いです。
その4
「千夜の眠り」が極上の飲み心地を生んだ
高知県
美丈夫 夢許 TIME 純米大吟醸
(びじょうふ ゆめばかり タイム じゅんまいだいぎんじょう)
720mℓ 1万9440円
「兵庫県東条産の特A地区山田錦を30%まで磨いた美丈夫の最高峰。低温に保たれた蔵内で、特別に千夜以上“待つ”(熟成する)ことを許された純米大吟醸です。優しく柔らかな口あたりと滑らかな喉ごしは千夜眠り続けたお酒ならではのもの。時が育んだ奥深い味わいが楽しめます。お料理を合わせるなら、お酒と同じく、素材にこだわり手間ひまかけたもの、特に甘みや旨みがあり、やや脂身と余韻のある味わいのものがオススメ。石鯛の昆布じめ、甘鯛と季節野菜の炊き合わせなどと合わせてみてはいかがでしょうか」(安藤さん)
その5
驚異の8%精米を実現し全てを兼ね揃えた最高の酒質に
山形県
楯野川 純米大吟醸 極限
(たてのかわ じゅんまいだいぎんじょう きょくげん)
720mℓ 2万1600円
「8%まで磨いた(お米の92%を削った)山田錦で醸し、3年の氷温熟成を経た数量限定の希少な純米大吟醸です。鑑評会に出品するお酒でも30%精米が一般的で、酒米の中でも『心白の大きい山田錦は破砕してしまい磨けない』というのが業界の定説でした。しかし、本品は17日間という気の遠くなるような時間をかけ、丁寧に精米することで、定説を覆す驚異の8%精米を実現。これにより、香り・繊細さ・膨らみ・余韻、全てを兼ね揃えた最高の酒質に仕上げました。口に含んだ瞬間、果実のような香りと味わいが広がり、清らな水を思わせる透明感が楽しめます。ぜひ温野菜、ハマグリの酒蒸し、白身魚のお刺身など、繊細な味のお料理と合わせてみてください!」(安藤さん)
決して間違いのない品質は、自分へのごほうびや帰省の手土産、大切な人へのお歳暮にもぴったりですね。おいしい日本酒をかたわらに、豊かな年末年始をお過ごしください。
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