デジタル
2024/8/26 18:00

Amazon「Echo Show 8」第三世代は音質が格段にアップ。涙ぐましい努力の跡も

Amazonのディスプレイ付きスマートデバイス「Echo Show 8」に第三世代モデルが登場した。第二世代が2021年5月の発売だったので、3年ぶりとなる新作だ。ざっくり言うと、正常進化。だが、音質が格段にアップしていたのと、実は涙ぐましい努力の跡が見える一品になっている。第二世代モデルと比較しながら、レポートしていこう。

 

変更点は微細

↑左が第三世代、右が第二世代

まずは変更点から。今回大きく変わったのは、カメラや物理ボタンの配置だ。第二世代はカメラがディスプレイ右側にあったが、本作では中央に変更されている。カメラ位置がズレることによる、地味にストレスを受けなくて済むようになった。

 

↑カメラの位置。ベゼルの幅は第二世代と変わらず

 

物理ボタンは、左から「ミュートボタン」「物理シャッター」「音量」ボタン。カメラ位置の変更に伴ってボタンの位置も変わっている。第二世代では背面に有線LANに接続するためのマイクロUSB端子が搭載されていたが、第三世代では省略。DCプラグの差し込み口だけになっている。使い勝手が大幅に向上したというよりは、直すべきところを直したといったところだろう。

↑背面はよりシンプルに

 

ほかに外観上の変化としては、ディスプレイが直角に近い角度になり、スピーカー部がボリューミーになった。本体としては高さは9ミリ、奥行きが7ミリほど大きくなっている。

↑下が第三世代、上が第二世代

 

音質すごいイイ。

今回、最大のアップデートは空間オーディオに対応したことだ。空間オーディオはその名の通り、空間全体に音が広がる技術。近年、一般的になったテクノロジーだ。52mmのネオジウムスピーカーを2つ搭載する点は、第二世代と同じだが、聴き比べると音の広がりが全然違うし、音の解像感も異なる。

 

例えば、くるりの「ロックンロール」は冒頭から力強いドラムとベースが特徴的。しかし、第二世代ではそれらがこもって聴こえ、ドラム音とベース音が悪い方向に溶け合ってしまっている。一方、第三世代はそれぞれの音が独立して聴こえて全体的な音も明瞭。本体奥の方向への音の厚みがしっかり感じられる。

↑Adoの「Value」も聴いてみた。第三世代は低音域の解像感が高い。ボーカルの高音などはそこまでの違いはなかった

 

Amazon MusicやSpotify、Apple Musicといった音楽サブスクでの視聴価値が上がるし、プライムビデオやNetflixといったディスプレイがあることを活かした映像体験も充実するはずだ。1つ注意したいのは、空間オーディオフォーマットには対応していない点。Dolby Atmosのようなフォーマットを再生することはできず、あくまでステレオサウンドが立体的に聴こえるということになる。

 

振動が改善された

と、ここまでは通り一遍の紹介だったが、個人的に進化を感じた点を紹介していこう。それが「振動」である。私は第二世代を数か月ほどワークデスクで使っていて、今回第三世代を試す機会を得た。最初に大きく感じたのは振動の少なさである。

 

第二世代では一定の音量以上で聴くと、机が振動してそれがノートPCに伝わり、一度気になってしまうと結構不快。第三世代は一定の振動はあるもののだいぶ抑えられていて、不快感がなくなっている。

 

その秘密はおそらく底面の設計にあるように感じる。第二世代が面で支えているのに対して、第三世代は台形上のゴムに突起があり、点で支えている構造になっている。振動が伝わる面積を低減させつつも、本体自体の安定感は損なわないように工夫されており、これが快適に使える要因になっているのではないかと思う。この地味な改善に、「これからも売っていくんだ」というAmazonの本気さを垣間見ることができる。

↑第三世代の底面。突起で本体を支えているのがわかる

 

↑第二世代の底面。面で支えている

 

この点、実際にどうなのかAmazonに確認したところ「振動に関する底面の設計に関しては、弊社として公開しております情報はございません」と丁寧な回答をいただいた。底面だけというよりは全体的な設計を毎回見直し、総合的に性能、品質を上げているということなのだろう。

 

さて、ワークデスクよりもベッドサイドテーブルに置いたときに、第二世代の振動は気になる。軽量な金属フレームのサイドテーブルをベッド横に置いている家庭も多いと思うが、そんなテーブルではよりはっきりと違いがわかるはずだ。

↑ベッドサイトのデバイスとしても優秀

 

価格はアップしたが…

私はワークデスクにEcho Show 8を置き、家電類をまとめて操作できるようにしている。エアコンを操作したり、照明を操作したり、日常の無駄な動きが減ってより集中できる時間が増えた。ノイズのような行動を減らすのにEcho Showは効果的である。Zigbee、Matter、Threadといったスマートホーム規格に幅広く対応しているため、今後活用シーンは広がっていくだろう。

 

ちなみに、商品ページでは「より高速なプロセッサ搭載でディスプレイの反応を改善」とあるが、個人的にはそこまで劇的とは感じなかった。確かに、速くなったかなぐらいの感覚だ。だが、全体的なスペックもアップしていることはお伝えしておこう。

 

1点だけネックなのが価格。第二世代が1万4980円だったのに対し、第三世代は2万2980円。この価格だけ見てしまうと高額だが、Echo Show 5が1万2980円であることを考えれば納得だし、所有すれば使い道は多く、寝かせてしまうことはないデバイスといえる。