大塚製薬は、米国発の栄養モニタリングサービス「Vivoo(ビブー)」を、ビボセンス社と共同で9月2日から日本での販売を開始。大塚製薬の公式通販「オオツカ・プラスワン」で購入できます。
特徴は、なんといっても手軽さ。専用の試験紙(ストリップ)に尿をかけ、90秒待ち、変色したボックス部分をアプリでスキャンすれば、(1)水分レベル(2)食塩摂取量(3)肉・野菜のバランス(4)ビタミンC(5)骨の健康にかかわるミネラル(6)酸化ストレス の6項目を測定できます。
各測定項目については、10点満点のスコアで評価され、ユーザー全体の平均スコア(男女別)との比較ができるほか、過不足やバランスがバーチャート上で可視化されます。その6つの測定項目の結果と生活習慣の情報をもとに、総合スコアが産出される仕組みです。
8月26日に行われたメディア発表会では、測定項目や使い方などの紹介がなされたほか、大塚製薬の井上眞代表取締役社長や、Vivooを開発したVivosens(ビボセンス)のミライ・タイフンCEOが登壇し、Vivooの日本での展開に期待を寄せました。
Vivooは2020年に米国内でサービスを開始して以来、100カ国以上で25万人に利用されています。発表会で説明に立った、大塚製薬のニュートラシューティカルズ事業部・金澤慎太郎さんによると、Vivooの最大の魅力は「その場ですぐ結果がわかる」こと。結果が届くまで数日かからず、トイレで全てが完結します。
従来の輸送型の測定サービスだと、尿を提出して結果が届く頃には1~2週間が経ってしまい、何が原因でこういう数値になったのか、直前にどういう食生活をしていたかを思い出せないことがあります。その点Vivooは、過去数日間(1日~3日)の食生活がテスト結果に反映されます。例えば、塩分摂取量が普段より高く出たときに、
「そういえば昨日は、夕食のラーメンをスープまで飲み干してしまったな」
という具合に、自分が何を食べたかを思い出しながら結果を見られるので、具体的な食生活の見直しにつながりやすいといいます。
また結果に応じて、アプリ上には日本スポーツ栄養協会が監修のアドバイスが提供されます。例えば、不足している栄養素を補う提案をしてくれたり、作ってみたくなる簡単レシピを教えてくれたりするそう。
自分の栄養状態をスコアとして見える化し、推移を追っていくことで、変化に気づけるようにもなります。おすすめの使い方は、週に1回、同じタイミングでテストを行い、週ごとの結果を比較すること。特に、起床後最初もしくは2回目のトイレのタイミングがよいそうです。生理中でも問題なく使えますが、赤血球を多く含んでいる「出始めの尿」は避け、中間尿を用いるようにしてほしいとのこと。なお、飲酒後にテストを受けると結果に影響を与える可能性が高いので、ご注意を。
便利なサービスですが、測定プロセスには課題も。尿をかけたストリップの色をスマートフォンのカメラで識別する際、影や照明の色味などの諸条件によって、結果にわずかな誤差が生じるケースがあるとのこと。とはいえ、正しい計測結果を出せる確率は現時点で87%。さらに、±1段階のズレを許容する場合は、正答率は99%以上になるそうです。
さらに、この「色判定」の精度は日々向上していく見込みです。尿サンプルを用いて、全く異なる環境・照明・角度で試験を実施していることに加え、日々ユーザーから送られる画像データを蓄積し、AIに機械学習させているのだとか。
日本でも起きている、世界的な課題「栄養不良の二重負荷」
「三食とっているし、栄養状態が悪い自覚もない」。日本ではこういう人は少なくないかもしれませんが、井上社長は「栄養不良の二重負荷」という問題に、日本をはじめとする多くの国が直面していると語ります。低栄養(やせ、発育阻害、貧血)と、過栄養(過体重、肥満など)とが、家庭あるいは人生の中で併存する状態です。「中年期には過栄養だった人が、高齢者になるとフレイル(虚弱)になる」例などが挙げられますね。
このような課題を踏まえ、「Vivooは食生活を見直すきっかけとなるサービス」と井上社長。生活者とデジタル技術の活用によってつながり、健康リスクを見える化し、生涯にわたる健康サポートを提供していくことに意欲を見せていました。
なお、Vivooの購入方法には都度購入と定期お届け便があり、価格(税込)は下記の通りとなっています。
- 都度購入
4本入り 2600円、8本入り 5200円、12本入り 7800円(1本あたり 650円) - 定期お届け便
8本入り 4420円、12本入り 6240円(1本あたり 520円~553円)
日々の自分の栄養状態を把握し、結果を受けて行動を変え、改善を積み重ねていった先にこそ、本当の「健康」があるのかも。とはいえ、いきなり定期利用するのはハードルが高い場合は、都度購入でお試ししてみるのもアリですね。