え!12kgなのにこのサイズ、高性能なのに10万円台半ば!?ハイセンスが日本向けに本気で開発したドラム式洗濯乾燥機「D120LX」を家電のプロがチェック!

ink_pen 2025/12/9
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え!12kgなのにこのサイズ、高性能なのに10万円台半ば!?ハイセンスが日本向けに本気で開発したドラム式洗濯乾燥機「D120LX」を家電のプロがチェック!
田中真紀子
たなかまきこ
田中真紀子

白物家電、美容家電を得意とするフリーライター。雑誌、ウェブなどで執筆を手掛けており、検証およびレビュー記事では、ユーザー目線を大切にした主婦ならではの感性に定評がある。ベビー用品、生活雑貨、医療など、暮らしにまつわる記事も多数。

2025年春から日本での白物家電事業を本格化し、日本向けに開発した家電を続々と投入しているハイセンス。すでに壁にピッタリ設置できる450L冷蔵庫「HR-DCH450」、低価格ながら熱交換機洗浄機能を搭載したエアコン「Sシリーズ」が発売され、注目を集めています。

そんなハイセンスからこの秋、第3弾となる洗濯容量12kgの大容量ドラム式洗濯乾燥機「HWF-D120LX-W 」が登場。これまた「ドラム式が欲しかったけれど、設置スペースや価格で諦めていた」という人におすすめしたい魅力が満載です。家電コラムニストの筆者が細かくチェックしましたので、さっそくご紹介しましょう!

ハイセンス ドラム式洗濯乾燥機「HWF-D120LX-W 」

洗濯・脱水容量/乾燥容量12kg/6kg
標準使用水量(洗濯)72L
標準使用水量(洗濯〜乾燥)60L
水量自動(負荷12kgで28L)
標準コース運転 目安時間(洗濯)約29分
標準コース運転 目安時間(洗濯〜乾燥)約124分
定格消費電力(50Hz/60Hz)(洗濯時)400W /(乾燥時)550W
消費電力量(50Hz/60Hz)(洗濯時)40Wh /(洗濯〜乾燥)1085Wh
湯沸かし用電熱装置615W
運転音(洗い/脱水/乾燥)約37dB/約46dB/約46dB
ナイトコース運転音(洗い/脱水/乾燥)約37dB/約46dB/約43dB
外形寸法幅598mm×奥行630mm×高さ1007mm
本体幅598mm
設置可能防水パン(奥行内寸法)500mm以上
設置可能防水パン(幅内寸法)590mm以上
排水方向左右、真下
本体質量約87kg

大容量なのに60×60の防水パンに置ける!

↑奥行きが薄く、すっきりしたデザインなので、ランドリー空間がスタイリッシュに 。

ドラム式洗濯乾燥機は家事の負担を軽減してくれる存在ですが、いざ導入したいと思っても、いくつかのハードルがあり、諦めたという声をとてもよく聞きます。

特に多いのが、「本体が大きくて洗濯機置き場に入らなかった」というもの。多くの住宅では洗濯機置き場が決まっており、縦型洗濯機を前提とした60×60cmの防水パンが設置されているパターンが多く見られます。しかしこのスペースだと、大容量のドラム式は入らないことがあるのです。

かろうじて本体の脚は乗ったとしても、洗濯槽がななめに設置されている「ななめドラム」は奥行きが長く、前面が防水パンから大きく飛び出てしまうことも。その結果、「設置はできたけど扉が全開できなかった」というケースもあるようです。

本製品は、そんな日本特有の事情に着目し、ドラムを“ななめ”ではなく“水平”に配置することで薄型・コンパクト化を実現。日本の住宅でもっとも一般的とされる60×60cmの防水パンにもすっきり収まる本体サイズを達成しました。

↑60×60cmの防水パンに乗せてみたところ、前面もはみ出さずこの通りスッキリ収まる。
↑日本の住宅環境に合わせて本体をデザイン。狭い空間にも設置可能。

一口に薄型・コンパクトにするといっても、これがなかなか大変なこと。そもそも洗濯容量12kgの大容量だと洗濯槽も大きいため、必然的に本体は大きくなります。さらに乾燥方式に採用しているヒートポンプユニットも大型化しがちですが、内部配置を徹底的に見直すことで、薄型・コンパクト化に成功しています。

↑熱交換器は本体上部に、コンプレッサーは本体下部に配置するなど、スペースを効率的に活用し、薄型・コンパクトを実現している。

12kg容量なら一度に大量に洗えるので、ファミリー世帯はもちろん、少人数世帯なら2~3日に1回のまとめ洗いが可能。さらにシーツや毛布などの大物が気軽に洗えるのも大きなメリットです。

↑洗濯容量12kg(乾燥容量は6kg)と大容量なので、数日分の洗濯物をまとめて洗える。

水平ドラムが頑固な汚れもしっかり落とす

設置の悩みをクリアしたうえで、洗濯機に求められる基本性能といえば、やはり洗浄力。本機はその洗浄力向上に、水平ドラムが重要な役割を果たしています。

そもそもドラム式洗濯乾燥機の洗浄方式は、ドラム槽を回転させて洗濯物を底から持ち上げ、上から下に落ちるときの力を利用した「たたき洗い」。水平ドラムの場合、ななめドラムに比べて洗濯物をより高い位置から落とせるため、より力強いたたき洗いが可能になり、高い洗浄力が期待できます。

↑ドラム槽を水平に配置すると、ななめに比べて高い位置まで洗濯物が持ち上げられる。
↑温水は、20℃・30℃・40℃・60℃と4段階で設定できるので、用途に合わせて使い分けを。

温水洗浄の温度別使用例

水温おすすめの用途・詳細容量
約20℃全てのお洗濯に寒い日などに水温を上げて、しっかり洗いたいとき12kgまで
約30℃おしゃれ着に少し温かい水温で汚れをしっかり落としたいとき12kgまで
約40℃毛布・普段着に皮脂汚れや油汚れなどをしっかり落としたいとき12kgまで
約60℃白物に主に白い衣類や肌着、シーツなどを、しっかりと洗いたいとき12kgまで
※60℃除菌コースは2kgまで

一方で、ランジェリーやホームクリーニング可能なスーツなど、型崩れを抑えて洗いたい衣類もありますよね。そんな衣類には“ゆらゆら洗い”するコースを用意。ドラムを回転させず、ゆりかごのようにゆらゆらと揺らしながら、手洗いのように優しく洗う同社独自の洗浄方式です。“ゆらゆら洗い”は衣類の伸びも抑えてくれるので、ニットやTシャツなど、首まわりが伸びやすい衣類の型崩れも防いでくれるそうですよ。

↑通常の洗濯では「たたき洗い」を、デリケートな衣類には「ゆらゆら洗い」を、槽洗浄では「遠心洗い」と、3種類の洗濯方法を採用 。

省エネでふんわり乾かすヒートポンプ乾燥

さらに本製品の大きな魅力が、ヒートポンプ式乾燥をこの価格帯で搭載している点です。ドラム式洗濯乾燥機の乾燥方式には、ヒーター式とヒートポンプ式がありますが、価格が手頃なドラム式の多くが採用しているのが、実はヒーター式。構造がシンプルなため本体サイズを比較的コンパクトに抑えられる反面、高温の温風で衣類を乾かすため、衣類が縮みやすく、電気代が高くなります。

一方、ヒートポンプ式はドラム内の湿気を取り除き、空気中の熱を集めて作り出した温風で乾燥させています。ヒーターを使わないため電気代が大幅に抑えられるほか、65℃前後の低温風のためヒーター式に比べて衣類が傷みにくいなど、大きなメリットがあります。

しかしヒートポンプユニットは大型化しやすく、ヒーター式に比べると値段が高くなりがち。近年は30万円前後という製品も珍しくなくなっています。ヒートポンプ式が欲しいけれど高すぎて買えない、でもヒーター式はランニングコストがかかる……。

これこそが、冒頭に述べたドラム式を購入する際の2つめのハードルです。その点、本製品はヒートポンプ式ながらも、本体価格は10万円台半ば(実勢価格16万8000円)とおよそ半額!つまり「ヒートポンプ式ドラムは高い」というハードルも見事にクリアしてくれています。

ヒートポンプ式とヒーター式のメリット、デメリット

タオルが天日干しよりふっくら!

価格が手頃でも多機能で、操作パネルにも、温水洗浄をはじめ多彩なコースが並びますが、特に気に入ったのが「タオルコース」。タオルは天日で干すと繊維が硬くなりがちなため、ドラム式で乾燥させたほうがふっくら仕上がります。本製品では特にこだわった専用コースを用意。 タオル洗浄に適した温水洗浄と注水すすぎを行うことで、洗剤残りを抑えてすっきり洗い上げます。

実際、その仕上がりを天日干ししたタオルと比べてみましたが、違いは一目瞭然!ふっくら感が全然違い、ふんわり優しい肌触りに仕上がりました。

↑天日干しと「タオルコース」の洗濯乾燥では、仕上がりにこんなに違いが!ふっくらしていて、思わず顔を埋めたくなる。

操作パネル上のプリセットコースに加え、8種類の「ダウンロードコース」なるものも用意されています。ハイセンスの専用アプリ「ConnectLife」から「二度洗い」「泥汚れ」「部屋干し」「ベビー衣類」などを選んで本体に送信すれば、コースを追加できるのです。前述の“ゆらゆら洗い”をしてくれる「ランジェリー」や「洗えるスーツ」もダウンロードコースの1つ。

↑ハイセンスの専用アプリ「ConnectLife」は、アプリに対応した洗濯機のほか、エアコンや冷蔵庫の設定・操作が可能。

実はこちらにも、タオルの風合いにこだわった「タオルリセット」コースが用意されています。タオルを使い続けていたら、徐々に繊維が固くゴワゴワしてきた、という経験をされた方もいると思いますが、原因はご存じでしょうか。筆者は、洗濯を繰り返して繊維がヘタっているのかと思っていましたが、同社によると、柔軟剤や皮脂が蓄積していった結果、ゴワゴワになってしまうそうなのです。

「タオルリセット」は、タオルを洗うたびではなく、ゴワゴワが気になり始めたら使うとよいというコース。温水洗いや市販の酸素系漂白剤を併用し、蓄積汚れをしっかり取り除くことで、購入時の風合いに近づけることができるといいます。ふだんは「タオルコース」で洗いながら、ごわつきが気になったら「タオルリセット」コースを使えば、ふんわりした風合いが長続きしそうですね。

↑「ダウンロードコース」を選ぶと、さまざまなコースが出てくるので、選んだら本体に送信するだけ。
↑家族構成、生活スタイルに合わせて新しいコースを入れたい。新たなコースも随時追加予定。

洗濯コース一覧

洗濯洗濯~乾燥
標準12kgまで6kgまで
おいそぎ2kgまで1kgまで
つけおき2kgまで2kgまで
香プラス12kgまで6kgまで
手動柔軟剤12kgまで6kgまで
ナイト12kgまで4kgまで
おしゃれ着2kgまで
自分流12kgまで6kgまで
タオル2kgまで2kgまで
除菌60°C2kgまで2kgまで

独自の「10分間槽洗浄 」できれいをキープ!

洗濯機は自動で洗濯をしてくれる便利なものですが、同時にお手入れも欠かせません。洗濯槽のカビ対策はもちろん、乾燥機能付きの洗濯機には、乾燥時のホコリを取り除く「乾燥フィルター」が搭載されていますので、こちらのお手入れも必要になります。これらを怠ると内部にカビが発生して洗濯物に汚れや臭いがついたり、乾燥性能が落ちたり、場合によっては寿命を早めてしまうことになりかねません。

本製品には、すすぎの際に洗濯槽を高速回転させ、内側と外側の汚れを洗い流す「自動槽洗浄」に加え、手が届かない熱交換器の表面についた細かい糸くずも水流で洗浄する「自動熱交換器洗浄」機能、さらにカビの原因となる水分をしっかり乾燥する「自動槽乾燥」機能まで搭載しています。

↑「自動槽洗浄」のイメージ。洗濯をするたびに、洗濯槽の内側、外側を洗浄してくれる。
↑「自動熱交換器洗浄」のイメージ。「自動おそうじ」は洗濯のたびに行ってくれるので、ユーザーの操作は不要。
↑フィルターを手前に引くと、内側に張り付いたホコリがこそげ取られ、塊になるので、つまんで捨てるだけ。
↑排水フィルターも、溜まった糸くずが落としやすい設計になっている。

さらに“きれい”が続く、同社独自のうれしい機能も!前述の自動槽洗浄は、洗濯のたびに行われるもので、実は多くの他社製品にも搭載されています。でも実は、これだけではお手入れは不十分。というのも、洗濯工程ではすすぎの最後に柔軟剤が投入されるため、自動槽洗浄をしても柔軟剤は残りやすく、これがカビやニオイの原因になることがあるのです。

そこで本製品には、自動槽洗浄のほかに、手動で行う「10分間槽洗浄」コースも搭載。洗濯槽の内側と外側に水を流して洗うことで、汚れやホコリが溜まるのを防いでくれるのです。見えない部分に溜まる汚れも、定期的なメンテナンスで最小限に抑えられるのはありがたいですね。

↑洗濯槽の内部を拝見!槽洗浄では、洗濯槽の内側と外側の間を勢いよく水が流れ、溜まった汚れをすっきり洗ってくれる。

もちろん「液体洗剤・柔軟剤自動投入機能」も搭載しています。以前は、洗剤投入の手間などたいしたことはないと思っていましたが、一度使い始めると便利すぎて元には戻れません。自分で投入していたときは、洗剤を取り出し、正確に計量し、投入し、元に戻し、今度は柔軟剤を取り出し……と、なんと面倒だったことでしょう。

↑液体洗剤は700mL、柔軟剤は600mL入る。

ちなみに洗剤や柔軟剤は銘柄ごとに投入量が決まっているため、自動投入量を設定する必要がありますが、専用アプリ「ConnectLife」を使えば、銘柄を選択するだけで投入量の設定が簡単。リストにない銘柄の場合は、手動で設定すればOKです。

これだけ高機能で10万円台半ばの価格はすごい!

以上、D120LXの特徴を詳しくチェックしてみましたが、これまで数々のドラム式洗濯乾燥機を取材し、何種類も使ってきた筆者から見ても、これが10万円台半ばで買えるというのは驚きでした。

もちろん30万円のドラム式は多機能で、高いなりの理由があるのも事実です。でも本製品は、洗浄力や乾燥性能、さらに日常的なメンテナンス性という、ドラム式にもっとも重要な性能は徹底的に追求したうえで、大容量かつ設置性の高さも実現。それでいて、この値段が実現できているのは、ただただすごいと感じました。

また万一の修理の際も、ハイセンスは日本に300を超える修理拠点を備えており、スピーディーに対応してくれるのも安心。今までドラム式が欲しいけれど、値段と大きさで諦めていた人に、一度検討していただきたい製品です。

撮影/湯浅立志(Y2)