パナソニック照明の象徴的な存在「MODIFY」はこうして誕生。徹底した見直しと細部の作り込みを解き明かす

ink_pen 2026/3/27
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パナソニック照明の象徴的な存在「MODIFY」はこうして誕生。徹底した見直しと細部の作り込みを解き明かす
畑野壮太
はたのそうた
畑野壮太

元ゲットナビ編集部員のフリーライター。"体験を分かりやすく言語化する"を信条に、アイテム、イベントなど、オールジャンルに取材を行う。また、自身のアイテムレビューサイト「reviewfun」も運営している。

提供:パナソニックEW

照明はどの家にもある身近な存在だ。しかし、「照明にはどんな種類があるのか」などと聞かれると、答えられる人は意外と少ないだろう。

そんな照明の製品カテゴリで「シンボル」となる存在を目指して開発されたのが、パナソニックEWのインテリア照明シリーズ「MODIFY(モディファイ)」である。

真球、半球、円錐台と、MODIFYは親しみやすいシンプルな形をベースに、技術の進化にあわせた改良を重ねてきた。2009年の登場から20年近く、ロングセラーシリーズとして、多くの空間で使われ続けている。

2026年6月21日、そのMODIFYが時代のニーズに応えるかたちで、ラインナップを拡充する。そこで本稿では、MODIFYの背後にあるものづくりの思想と、その進化の過程をレポートする。

なお、記事の最後にはMODIFYの魅力を体感できるイベント情報も記載しているので、興味があればチェックしていただきたい。

↑真球、半球、円錐台の形でデザインされたインテリア照明のMODIFY。

パナソニックの照明で象徴となるものを目指した

MODIFYの原点にあったのは、パナソニックとデザイナー・深澤直人氏との協働だった。深澤氏は、時代を象徴するような製品を多く世に送り出してきた、プロダクトデザインのトップランナー。パナソニックでも、キッチンやバスルーム、ドライヤーなど、さまざまな製品の開発に関わってきた。

そうした関係のなかで持ち上がったのが「深澤氏と照明をつくろう」というプロジェクトだった。当初は、シーリングライトやスタンドライトなど、具体的な製品案も検討されていた。しかし深澤氏から「いきなりデザインするアイテムを決めるのではなく、照明そのものについて考えるところから始めたい」という提案があったという。

それを受け、照明というプロダクトの役割や市場、技術の可能性などをあらためて議論するところからプロジェクトが始まった。ディスカッションを重ねること約1年。そのなかで見えてきたのが「パナソニックの灯りといえばこれ」といえる象徴的な照明をつくろう、という方向性だった。

そこでMODIFYのデザインには「真球」「半球」「円錐台」という、なじみのある形状を採用。いずれも照明の歴史のなかで繰り返し用いられてきたフォルムであり、空間のテイストを問わず、自然に溶け込める。誰が見てもしっくりきやすいシンプルな形をベースにすることで、長く使われ続ける照明を目指した。

「改良・修正」を意味するMODIFYと名付けたのは、既存の照明の「破綻」している部分を整えようという意図が込められている。MODIFYは、何をどう改良・修正したのか。次は、ものづくりの内実に迫ろう。

4要素の徹底と細部の見直しで照明の完成度を格段に引き上げた

パナソニックEWのデザイナーであり、MODIFYの開発プロジェクトで深澤氏と社内チームの橋渡し役を担った吉川豪さんによれば「本プロジェクトでは4つの要素が徹底された」という。それが、「余計なものがないこと」「質感が高いこと」「まぶしくないこと」「安心できること」だ。

照明器具は、光源だけでなく器具の構造によっても光の見え方が大きく左右される。MODIFYの開発プロジェクトでは、構造が光の美しさを毀損しないよう、上記の4要素をはじめとする細かな部分を徹底的に見直していった。

たとえば真球の照明では、一般的な製品は上部に光らないフタのような部材が付くため、完全な球体に見えにくい。だがMODIFYでは上部のフタを光らすことにこだわり、凹凸や隙間を極力減らし、コードも細くなっているから、まるで球体が宙に浮いているような印象を生み出す。

↑上部のフタまで明るく、まさに真球全体が光っているように見える。

また真球照明の内部には、通常は金属部品が用いられる。だが金属を使うと、上方向に向かう光がさえぎられてしまって影が発生し、真球全体が光っているように見えなくなる。そこでMODIFYは、透明な樹脂部品を採用し、カバー全体が均一に光る設計とした。新たな金型が必要になるなどコストはかかるが、光の美しさを優先した結果だという。

↑真球タイプの内部に使われている、透明な樹脂部品。

半球や円錐台にもこだわりが詰まっている。下面には乳白パネルを採用し、まぶしさを抑えながらやわらかな光を広げる構造とした。このパネルを固定する部分にも金具を使わない設計を採用し、影の発生を防いでいる。

↑半球照明を分解。乳白色のパネルを固定する部分に金属パーツを使わないことで、影が落ちるのを防いでいる。中央下の円形の部品が、下面を覆う乳白色パネルだ。
↑半球を吊り下げたときの乳白パネル。半球にぴったりパネルが合致するのではなく、わずかに隙間を作っているのもこだわりのひとつだという。

塗装の工程にも工夫がある。たとえば黒いシェードの製品では、樹脂を成型したあと、一度全体をマットホワイトで塗装し、その後内側をマスキングして外側だけを黒く塗っている。

一般的には樹脂成型段階で着色することが多いが、成型後に塗装をすることで、工程は増えるが、良質な外観と、美しい光を両立するためのこだわりだ。

このようにMODIFYは、既存の照明の細部を「改良・修正」することで、完成度を高めてきた。時代の進歩とともに光源はLEDに変化して高機能化が進んだが、形状は維持し続けている。

その姿勢が功を奏し、MODIFYは登場から20年近く経ったいまでも、高い人気を博している。吉川さんは「近年の照明業界内でも、これほど寿命の長い製品は極めて珍しい」と語る。

では、そんなMODIFYは住宅でどのような使われ方をしているのか。ここからは写真を中心に見ていこう。

【MODIFYを使ったインテリア事例をギャラリーでチェック】

インテリアのこだわりに応えた製品の拡充

形を守りながら進化を重ねてきたMODIFYは2026年6月21日、ラインナップを大きく拡充する。追加されるのは128品番。これにより、通常品ベースで合計186品番となる。今回の拡充の柱は、カラーとツヤの追加、そして一部モデルにおけるサイズの追加と光源の高機能化だ。

その背景にあるのが、インテリア空間のトレンドの変化である。吉川さんによれば「近年は特に中高級価格帯の住宅を中心に、内装の素材感や空間演出に対するこだわりが強まっている」という。これまでのMODIFYは、黒と白というシンプルな色に絞って展開してきたが、お客様から内装の多様化への対応の要望が高まってきた。

そこで、半球にアイボリーグレーとアルミニウムグレーの2色を追加。また、従来色・新色ともに、これまで展開していたつや消しに加え、つやありのバージョンも新たに投入する。これにより、幅広いインテリアテイストに対応できるようになる。

↑左がアルミニウムグレー(つやあり)、右がアイボリーグレー(つや消し)。白と黒の中間色で、インテリアのなかに自然と溶け込むカラーリングだ。

真球にも変化がある。新たな「乳白つやあり」は、消灯時に窓から入り込む太陽の自然光を反射し、昼間でも空間に彩りを添える。

またオーダー品として、つやありのアンバー色仕上げも用意される。アンバーガラスを塗装によって再現したもので、吹きガラス特有の色ムラも見事に表現されている。

なおMODIFY発売当初から、この真球照明の素材にはガラスではなく樹脂が使われている。その理由は災害時の安心を考慮しているからだ。MODIFY開発当時は震災が多発しており、防災意識が高まっていたことから、重く、割れやすいガラスではなく、樹脂素材のニーズが高まっていたという。

↑実物の吹きガラスの色ムラを樹脂塗装で再現。空間に特有の温もりを醸し出す。この灯りのもとで過ごす時間は、より優雅なものとなりそうだ。

サイズ展開の面では、半球と円錐台にSサイズが登場。ブラケットも新たにラインナップされた。特にブラケットの追加は、ライフスタイルの変化を強く反映したものだ。

コロナ禍以降、在宅勤務の増加とともに、リビングの一角にワークスペースを設けるケースが増えた。通常はデスクライトなどを使用するが、狭い机上を有効に使うために壁付けの照明を提案している。これなら机上がすっきりする。

↑リビングの一角にブラケットタイプの照明を設置した例。

なお、半球と円錐台のSサイズは、交換型ランプ「LEDフラットランプ」に対応する。LEDフラットランプは、器具設置後もランプ交換によって明るさや光色を変えられるうえ、幅広い調色が可能なものなど、多彩な光源がラインナップされている。なかにはPCの画面に表示される文字を見やすくするランプもあり、ユーザーが目的に合わせて選ぶことができる。ワークスペースにはうってつけだ。

↑LEDフラットランプ(右)は、誰でも簡単に着脱が可能。SサイズにLEDフラットランプを搭載することで、ユーザーのライフスタイルに合わせてフラットランプが選択できる。

こうした拡充は、単に住宅市場だけを見据えたものではない。MODIFYはもともと住宅での採用が中心だったが、近年では非住宅分野からの注目も高まっている。吉川さんによれば「温かみのある空間にしたい病院の待合室や宿泊施設、ウェルビーイングに着目したオフィスなどでの採用が増えるのではないか」とのことだ。

この変化は、進みゆく時代がMODIFYの価値を押し上げているともいえる。深澤氏が「時代がMODIFYに追いついてきた」と語るのも、そうした実感ゆえだろう。

MODIFYの世界観を体感できるイベント「MODIFY In Lights」

今回のラインナップ拡充に先駆けて、MODIFYの世界観を体感できるインスタレーションイベント「MODIFY In Lights」が開催される。日程は2026年4月9日から11日までの3日間で、場所は東京・青山「LA COLLEZIONE UNO」だ。

このイベントでは、新たに追加されたモデルを含むMODIFYシリーズを、実際の空間で体験できる。照明は、カタログや写真だけでは、その魅力を伝えきるのが難しいプロダクトだ。吉川さんも「MODIFYの魅力を知っていただくには、実物を見てもらうのが一番いい」と語る。光が空間にどのような表情を与えるのか、体感できることの意義は大きい。

インスタレーションの監修は、MODIFYのデザインを担った深澤氏が手掛けている。新商品を中心に迫力ある展示になるため、美術館さながらの空間演出とともに味わえる。

既存の照明器具を丁寧に見つめ直し、細部の改良を積み重ねたMODIFYは、形状を変えることなく、技術の進歩やライフスタイルの変化にあわせた進化を続けている。そして今年6月のラインナップ拡充により、設置の柔軟性が大いに増す。MODIFYが生み出す空間の価値は、さらに高まっていきそうだ。

【MODIFY In Lights 開催概要】

・日時
4月9日(木)  10:00-19:30(最終入場 19:00)
4月10日(金) 10:00-15:00(最終入場 14:30)
4月11日(土) 10:00-17:00(最終入場 16:30)

・場所
青山 表参道 LA COLLEZIONE UNO ラ コレッツィオーネ ウノ
〒107-0062 東京都港区南青山6-1-3 1階
表参道駅(東京メトロ銀座線・千代田線・半蔵門線)より徒歩4分

・料金
無料

詳細はWebサイトをご覧ください