TVS REGZAは2025年1月に米ラスベガスで開催された「CES 2025」で出展したAI技術「レグザ インテリジェンス」を搭載する薄型テレビ4シリーズ10モデルを発表しました。ラインナップと実売予想価格(税込)は以下の通りです。
■タイムシフトマシン搭載 4K有機ELレグザ「X9900Rシリーズ」 5月23日発売予定
・65Z9900R(65V型)……63万8000円
・55X9900R(55V型)……48万4000円
■タイムシフトマシン搭載 4K Mini LED液晶レグザ「Z970Rシリーズ」 5月23日発売予定
・85Z970R(85V型)……88万円
・75Z970R(75V型)……66万円
・65Z970R(65V型)……49万5000円
■4K Mini LED液晶レグザ「Z770Rシリーズ」 4月18日発売予定
・75Z770R(75V型)……39万6000円
・65Z770R(65V型)……30万8000円
・55Z770R(55V型)……25万3000円
■4K液晶レグザ「Z670Rシリーズ」 4月18日発売予定
・50Z670R(50V型)……19万8000円
・43Z670R(43V型)……16万5000円


AIによってコンテンツ提案や高画質化を行う
2025年モデルのレグザシリーズが新搭載した「レグザ インテリジェンス」は、生成AIの技術とセンシング技術などを組み合わせた機能です。自然な会話でコンテンツを検索したりテレビを操作したりできる「AIボイスナビゲーター」と、ユーザーが見たいコンテンツをAIが提案してくれる「AIリコメンド」、映像のシーンをAIが分析して画質を最適化する「AIシーン高画質PRO」、人の声と環境音をAIが分離して聞きやすくしてくれる「AI快適リスニング」の4機能を備えています。
発表会に登壇したTVS REGZA取締役副社長の石橋泰博氏は、「レグザはテレビの新しい価値創造を目指して、2025年から新しいコンセプトを立ち上げます」と語りました。
「YouTubeをはじめとしてコンテンツの数が爆発的に拡大しているため、皆様はパソコンやスマホ、リモコンを使って能動的なスタイルでコンテンツを視聴しているのではないかと思います。しかし本来、テレビはリラックスしてコンテンツに没入して見るものだと考えています。そこで本来のテレビ視聴スタイル回帰を目指して『レグザ インテリジェンス』というコンセプトを立ち上げました」(石橋副社長)


「AIボイスナビゲーター」はレグザ インテリジェンスの中核となる機能で、音声認識とGoogleが提供する生成AI「Gemini」によって自然な会話によるコンテンツ検索ができるというものです。こちらは、2025年夏のソフトウエアアップデートで搭載される予定です。


AIとの会話から、ユーザーが見たいコンテンツを分析して提案するのが「AIリコメンド」機能です。
「生成AIは情報が出てきたときに学習して皆さんに提供する仕組みのため、最新のコンテンツ情報は生成AIの弱点となっています。レグザは元々『みるコレ』というプラットフォームを持っていますので、みるコレのキュレーション情報と生成AIの情報、さらに、視聴履歴や思考を分析した情報を統合することで、新しいコンテンツを提案します」(石橋副社長)


AIがシーンを判別する「AIシーン高画質PRO」にライブシーンを追加

映像がどのようなシーンなのかをAIが判別し、それに合わせて画質を最適化する「AIシーン高画質PRO」は2024年モデルの「X9900Nシリーズ」と「Z970Nシリーズ」から搭載していますが、2025年モデルでは対応シーンが拡大。「夜景」「花火・星空」「リング競技」「ゴルフ・サッカー」「映画」「アニメ」に加えて、新たに「音楽ライブ」に対応しました。AIシーン高画質PROの機能は上位モデルの「X9900Rシリーズ」と「Z970Rシリーズ」の2シリーズが搭載しています。


より臨場感を得ながらスポーツ中継などを楽しみたいという人に向いているのが「AI快適リスニング」です。
コンテンツに含まれている音声をAIで「人の声」と「環境音」に分離し、ユーザーの好みに合わせて音のバランスを調整できるのが魅力です。ニュースのセリフを聞き取りやすくしたり、スポーツ中継の実況音声を下げて歓声を強調することで臨場感を高めたりすることが可能です。



生成AIの活用によって快適性を高めたレグザの新モデルは、リモコン片手に膨大な情報の中から見たい番組を探す――そんな日常に疲れてしまった人にとって頼れる存在になるはず。AIがシーンを判別して自動で高画質化してくれる点も含め、テレビ本来の「リラックスして楽しむ」というスタイルに回帰できる点、ユーザーにとって大きな魅力となるでしょう。
「X9900Rシリーズ」と「Z970Rシリーズ」は画質もさらに向上
4K有機ELレグザ「X9900Rシリーズ」と4K Mini LED液晶レグザ「Z970Rシリーズ」はどちらも外付けHDDを接続することで地上デジタル放送を最大6チャンネル常時録画できる「タイムシフトマシン機能」を搭載しているほか、新パネルの採用によって画質も向上しました。
X9900Rシリーズは有機ELの発光層を赤・青・緑からなる4層にした新開発の「高輝度広色域 RGB 4スタック有機ELパネル」を採用しました。

「有機ELの発光層を4層にすることで従来の1.3倍の明るさ、さらに色純度を高めたことで色域が約1.1倍に広がっています。さらに、新開発のARコートを使ったことで外光の映り込みを約30%軽減しています。明るく引き締まった映像をお楽しみいただけると思います」(石橋副社長)
Mini LED液晶レグザのZ970Rシリーズは「高輝度ファインミニLEDパネル」を採用しました。
「エリア分割数は約1.4倍になり、きめ細かいエリアコントロールによってさらなる高コントラストを実現しました。ピーク輝度に関しては従来比約1.2倍を実現しています」(石橋副社長)

映像の新しい楽しみ方を提案する4Kプロジェクター2モデルを発表
今回は有機ELテレビと液晶テレビだけでなく、映像コンテンツの新しい楽しみ方を提案する4Kレーザープロジェクター「レグザレーザープロジェクター」ブランドとして「RLC-V7R MAX」(実売予想価格37万4000円・税込)と「RLC-V7R」(同29万7000円)の2モデルも発表されました。
どちらも光源に日亜化学工業製のRGB 3色レーザー光源を採用するDLP方式のプロジェクターで、RLC-V7R MAXは最大輝度約3000ルーメン(RLC-V7Rは約2000ルーメン)、BT.2020面積比約110%の広色域かつ約98%のカバー率を実現しています。2モデルともHDR10、HLG、Dolby Vision規格に対応(RLC-V7R MAXはHDR10+にも対応)しています。なお、RLC-V7R MAXはサブウーファーを搭載し、バーチャル3Dサラウンド技術「DTS Virtual:X」にも対応しています。


縦横に角度を調整できるジンバル構造を採用するほか、自動台形補正機能や自動フォーカス機能、自動障害物回避機能などを備えることで気軽に設置して壁面や天井などに投写できるようになっています。Google TVも搭載しており、YouTubeやNetflixなどの映像コンテンツも気軽に楽しめます。


石橋副社長はレグザレーザープロジェクターシリーズを市場に投入する狙いについて次のように語りました。
「テレビが1台しかない家庭が増えています。テレビと違ってプロジェクターは設置場所の自由度が非常に高いので、リビングルームやそれ以外の場所での2台目の大画面映像デバイスの市場創造を目指したいと考えております」(石橋副社長)
最近はLED光源を採用するモバイルプロジェクターなども人気になっていますが、レグザレーザープロジェクターはそうしたエントリーモデルに比べて圧倒的に輝度が高いのが魅力です。設置して角度を調整すると瞬時に台形補正を行うため、設置のしやすさも実感しました。上位モデルのRLC-V7R MAXは40万円近い実売価格になるものの、150インチクラスの大画面を楽しめるのであれば、決して高い買い物ではないかもしれません。