ソニーから発売されたばかりの完全ワイヤレスイヤホン、「WF-C710N」がアツい!
注目すべきは、人気の先代「WF-C700N」からさらに進化した使い勝手&ノイズキャンセリング性能。エントリークラスのモデルとしては、かなりハイスペックな仕上がりになっています。
気になるサウンドとあわせて、実機をチェックしていきましょう。

この記事でわかること
独自開発の小型5mmドライバー搭載。DSEEで音質をカバー
まずはWF-C710Nの基本スペックから。音質面では、独自開発の小型5mmドライバーを搭載しています。対応BluetoothコーデックはAAC/SBCのみと最新モデルとしては物足りなさがありますが、そこは独自アップスケーリング技術「DSEE」でカバーしています。

価格的にはもっと安価に高音質コーデックをサポートするモデルがあるなかで、LDAC非対応なのは残念。一方で、様々な圧縮音源をCD音質相当に補完するDSEEは、YouTubeなどを気軽に視聴するには優れた機能です。カジュアルに使用するには十分と言えるでしょう。
バッテリーは、イヤホン単体で最大約8.5時間、充電ケース併用で最大約30時間の連続再生が可能(ともにノイズキャンセリングオン時)。同クラスのモデルと比べても優れたスタミナを誇ります。
カラバリのグラスブルーがインパクト強し
カラーバリエーションはホワイト、ブラック、ピンク、グラスブルーの4色展開です。なかでもグラスブルーは、ソニーの完全ワイヤレスイヤホンでは初となるスケルトンデザイン。PlayStationのスケルトンコントローラーやメモリーカードを思い出させるような良い意味での“トイ感”もあり、ガジェット好きの心をくすぐります。

タッチ式操作は感度も十分
使い勝手の進化面としては、物理ボタン式からタッチ操作式に変更されたのが大きなポイント。物理ボタン式は確実な操作性が得られる反面、ボタンを押すとイヤホン本体も耳に押し込まれるというデメリットがあります。タッチ操作式はその反対で、軽く触れるだけで操作できますが、反応の不確実さが課題に。その点、WF-C710Nはタッチセンサーの感度が良く、軽いタッチで反応してくれます。

充電ケースとイヤホンを固定するマグネット強度が調整され、充電ケースのフタが大きく開くようになったので、イヤホンの出し入れがスムーズに行えるようになりました。一方で、フタが途中(45度くらい)で引っかかり、スッと開閉できないのはやや気になりました。

そのほか、イヤホンを外すと再生停止する装着検出機能や、2台の機器に同時接続できるマルチポイント機能など、現在の完全ワイヤレスイヤホンに求められる基本機能はだいたい備えていると言っていいでしょう。
ノイキャン&外音取り込みはエントリーレベル超え
本機の最大の進化点は、ノイズキャンセリング&外音取り込み性能。デュアルマイク構成により、従来モデルよりも精度が大きく向上しています。
その触れ込みどおり、ノイズキャンセリングの効きはなかなかのものです。体感上では雑音を半減してくれており、特に駅構内での「ゴオオオオ……」というような低音や、ティーカップがソーサーに触れるキンキン音などを強めにカット。人の声はある程度聴こえるようにしている印象です。超強力というほどではありませんが、音楽を流しながら使えば雑音はほぼ気にならなくなります。
また、ノイズキャンセリングが音質に与える影響が極めて少ないのもポイントであるように思います。ほんのわずかに低音が持ち上がるように感じますが、意識しなければ気にならない程度です。

外音取り込み機能は20段階でレベル調整が可能で、人の声を中心に拾うボイスフォーカスにも対応。マイクで取り込んでいる音らしい不自然さは多少ありますが、この機能はしっかりと外音を取り込むことに意味があるので、その点において優秀といえます。小ボリュームでの音楽再生中なら、電車のアナウンスを聞き取ることもできました。
そして、ノイズキャンセリングと同様に、音質への影響がほぼないことも特徴です。これならどちらの機能も、積極的に使っていくことができるでしょう。さらに「アダプティブサウンドコントロール」機能を利用すれば、身体を動かしていないときはノイズキャンセリング、移動しているときは外音取り込みをオンにするなど、行動にあわせて自動でモードを切り替えることもできます。

ボーカルもののポップスと高相性なチューニング
それでは、サウンドをチェックしてみましょう。
全体としては、音楽を楽しく聴かせてくれる優等生サウンド、といったバランスです。質感は結構ウォームで、まろやかな聴き心地。中低域に厚みがあり、ボーカルが目立ちます。重低音がブンブンしているわけではありませんが、ゴリッとしたベースのアタック感は十分。エレキギターも力強く、線の細さを感じさせません。特にボーカルもののポップスと相性が良いのではないでしょうか。

・米津玄師「Plazma」
キラキラした電子音と鍵盤、うねるようなベースがとにかくパワフル。重心の低いサウンドとテンポの良さがあいまって、グイグイと引っ張られるようなグルーブ感があります。
・Mrs.GREEN APPLE「ライラック」
イントロのギターソロ一音一音に厚みが感じられます。そこに楽器隊が加わり、迫力ある音の大波になって耳に押し寄せてくるかのよう。それでいてボーカルが埋もれず、輪郭を保ってハッキリと聴こえるのが本機の良いところですね。
・tuki.「晩餐歌」
表現力あるボーカルが力強さを感じさせるサウンドで再現され、ラスサビへの盛り上がりが一層強調されます。明るいアイドルポップやロックチューンはもちろん、しっとりとしたバラード調の曲も楽しめるチューニングになっています。
ここまでWF-C710Nのノーマル状態でのサウンド傾向をレポートしましたが、独自アプリ「Sony | Sound Connect」からイコライザー機能を利用すれば、多彩なプリセットやマニュアル調整で好みの音を追求できます。また音楽を聴きながら直感的にイコライジングできる「ファインド・ユア・イコライザー」機能なら、自分で調整するのは難しいという方でも簡単にオリジナルの設定ができるのもポイントです。

結論。カジュアルに使える高バランスな一台
昨今のエントリーモデルは、ハイエンド機のような高解像度なフラットバランス志向に寄る傾向も見られますが、音がスカスカだったりして満足できないケースも少なくありません。そのなかで、WF-C710Nは2万円以下の価格帯で実現できるバランスを追い求めたような印象を受けます。
最新機能全部乗せとはいきませんが、それでも十分過ぎる多機能を備え、使いやすく、楽しく音楽を聴くことができる。WF-C710Nは、完全ワイヤレスイヤホンをカジュアルに日常使いしたい方にはかなりオススメのモデルです。
ソニー
完全ワイヤレスイヤホン「WF-C710N」
市場想定価格:1万8000円前後(税込)