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2017/6/19 14:15

RAW現像なら写真にとことんこだわれる! ニコンCapture NX-Dの使い方【上級編】

お手軽RAW現像のススメ Part.5 ニコンCapture NX-Dの使い方

 

ニコンの純正RAW現像ソフト「Capture NX-D(以下、NX-D)」の、基本的な現像作業の方法を解説していく本記事。初級編では、明るさと色の補正のやり方を紹介した。上級編では、レンズ補正とノイズ補正のやり方と、NX-Dの注目機能「レタッチブラシ」と「アオリ効果」の使用方法を解説する。

 

レンズ補正とノイズ補正のやり方

レンズ関連の補正機能としてNX-Dは、「倍率色収差」の補正のほか、「軸上色収差」「歪曲収差」「ヴィネット」の各補正に対応する。いずれもエディットパネルの「カメラとレンズの補正」から選択できる。また対応レンズは一部の製品に限られるが、逆光撮影時に生じるフレアを軽減する「PFフレアコントロール」機能もある。そのほか「カメラとレンズの補正」においては、色モアレの低減やイメージダストオフ(センサーゴミの一括補正)、ストロボ撮影写真の赤目補正なども行える。

↑「カメラとレンズの補正」パレット
↑「カメラとレンズの補正」パレット。エディットパネルのアイコンをクリックすれば、操作画面が表示される

 

一方、ノイズ低減機能としては、輝度ノイズとカラーノイズを個別に補正する「ノイズリダクション」を搭載。さらに、被写体の境界部に生じるノイズを抑える「エッジノイズリダクション」や、長時間露光で生じる星を散らしたような輝点ノイズを除去する「アストロノイズリダクション」も用意されている。これらはエディットパネルの「ノイズリダクション」から利用できる。

↑「ノイズリダクション」パレット
↑「ノイズリダクション」パレット

 

レンズの各種収差を補正する

各種レンズ収差補正は、エディットパネルの「カメラとレンズの補正」から行う。「倍率色収差」はチェックを入れるだけで自動的に補正が適用される。「軸上色収差」はチェックを入れたうえでスライダーを動かし、補正の度合いを0~100の範囲で調整する方式。また、周辺光量を補正する「ヴィネットコントロール」については、チェックを入れたうえで、周辺を明るくしたい場合はプラス側に、暗くしたい場合はマイナス側にスライダーを動かす。

 

▼倍率色収差の補正

↑全体写真
↑全体写真

 

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↑「倍率色収差」は、画像周辺部で緑(青)やマゼンタの色ズレとして現れる。「倍率色収差補正」にチェックを入れると、茎のフチや葉の先端などに見られた青い色収差が自動的に補正されて薄くなった(上:元の写真、下:倍率色収差補正ON)
↑「倍率色収差」は、画像周辺部で緑(青)やマゼンタの色ズレとして現れる。「倍率色収差補正」にチェックを入れると、茎のフチや葉の先端などに見られた青い色収差が自動的に補正されて薄くなった(上:元の写真、下:倍率色収差補正ON)

 

▼周辺光量の補正

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↑周辺光量をコントロールするには、まず「ヴィネットコントロール」にチェックを入れる。その後、スライダーを右に動かすと四隅が明るくなる。ここでは、「+60」にセットすると、周辺光量落ちが緩和された。画像を見て、光量の落ち具合を確認しながらスライダーを動かそう(上:元の写真、下:ヴィネットコントロール+60)
↑周辺光量をコントロールするには、まず「ヴィネットコントロール」にチェックを入れる。その後、スライダーを右に動かすと四隅が明るくなる。ここでは、「+60」にセットすると、周辺光量落ちが緩和された。画像を見て、光量の落ち具合を確認しながらスライダーを動かそう(上:元の写真、下:ヴィネットコントロール+60)

 

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↑ヴィネットコントロールでは、周辺の光量を意図的に落として暗くすることもできる。特定の被写体を目立たせたいときに有効な手段だ。ここでは、「ヴィネットコントロール」にチェックを入れた後、スライダーを左に動かして「-50」にセット。周辺が暗く落ちて、主題のボートを際立たせることができた(上:元の写真、下:ヴィネットコントロール-50)
↑ヴィネットコントロールでは、周辺の光量を意図的に落として暗くすることもできる。特定の被写体を目立たせたいときに有効な手段だ。ここでは、「ヴィネットコントロール」にチェックを入れた後、スライダーを左に動かして「-50」にセット。周辺が暗く落ちて、主題のボートを際立たせることができた(上:元の写真、下:ヴィネットコントロール-50)

 

歪曲収差を補正する「自動ゆがみ補正」は、チェックを入れたうえでプルダウンメニューから「自動」を選択するだけで、画像に記録されたレンズ情報に基づいた最適な歪曲補正が自動的に行われる。また、対応する魚眼レンズで撮影したRAW画像には、「フィッシュアイ補正」も適用可能。フィッシュアイ補正は、魚眼レンズ特有の丸いゆがみを完全に除去し、超広角レンズで撮影した画像のように変換する機能だ。

 

▼歪曲収差の補正

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↑タル型や糸巻き型に直線がゆがんで写るのが「歪曲収差」の特徴。「自動ゆがみ補正」にチェックを入れると、歪曲が見られた画面下の赤い線がまっすぐになった(左:元の写真、右:自動ゆがみ補正ON)
↑タル型や糸巻き型に直線がゆがんで写るのが「歪曲収差」の特徴。「自動ゆがみ補正」にチェックを入れると、歪曲が見られた画面下の赤い線がまっすぐになった(左:元の写真、右:自動ゆがみ補正ON)

 

▼フィッシュアイ補正

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↑「カメラとレンズの補正」内のいちばん下にある「フィッシュアイ補正」にチェックを入れると、魚眼レンズ特有の大きなゆがみがきれいに補正される。なお、非対応の魚眼レンズで撮影した画像の補正はできない(左:元の写真、右:フィッシュアイ補正ON)
↑「カメラとレンズの補正」内のいちばん下にある「フィッシュアイ補正」にチェックを入れると、魚眼レンズ特有の大きなゆがみがきれいに補正される。なお、非対応の魚眼レンズで撮影した画像の補正はできない(左:元の写真、右:フィッシュアイ補正ON)

 

ノイズリダクションを適用する

高感度撮影によって生じたノイズは「ノイズリダクション」機能で目立たないように補正できる。この機能を使う際は、ノイズの状態を適切に確認できるように画像を拡大表示にしておこう。その後、エディットパネルの「ノイズリダクション」をクリックして、その調整パレットを表示する。パレット内の「輝度:適用量」のスライダーを右にドラッグすることでグレーのざらつきである輝度ノイズを低減でき、「カラー:適用量」のスライダーを右にドラッグすることで色付きのノイズであるカラーノイズを低減できる。

 

その際に注意したいのは、適用量を高く設定しすぎると、画像が滑らかになりすぎて解像感が損なわれること。その場合は、輝度とカラーの適用量下にある「シャープネス」のスライダーをそれぞれ上げることで、解像感を高めることが可能だ。ただし、シャープネスの上げすぎには注意。拡大表示画面を見ながら、最適なシャープ感を探ろう。

↑ISO51200で撮影した画像を拡大表示した。超高感度のため、輝度ノイズ、カラーノイズともに非常に激しい
↑ISO51200で撮影した画像を拡大表示した。超高感度のため、輝度ノイズ、カラーノイズともに非常に激しい

 

↑ノイズリダクションを「輝度:50」「カラー:50」に設定。両ノイズともに緩和できた
↑ノイズリダクションを「輝度:50」「カラー:50」に設定。両ノイズともに緩和できた

 

↑さらに、「輝度:90」「カラー:50」に設定。画像が滑らかになりすぎて、解像感が損なわれてしまった。シャープネスを上げたり、輝度ノイズの適用量を下げたりしよう
↑さらに、「輝度:90」「カラー:50」に設定。画像が滑らかになりすぎて、解像感が損なわれてしまった。シャープネスを上げたり、輝度ノイズの適用量を下げたりしよう

 

Capture NX-Dの注目機能1「レタッチブラシ」

Capture NX-Dには、小さなゴミやホコリを除去する機能として「レタッチブラシ」というツールが備わっている。ゴミやホコリ周辺の近似する領域が自動的にコピーされ、それがクリックした地点になじむようにスタンプされる。ゴミやホコリだけでなく、人肌を美しく整える用途にも役立つ機能だ。

 

使い方は、まずゴミの状態を確認するために表示倍率を大きくしたうえで、ツールバーから「レタッチブラシ」のアイコンをクリックし、「自動レタッチブラシ」パレットを表示する。そして、消したいゴミの大きさに合わせてブラシサイズを調整してから、ゴミの上をクリック、またはドラッグする。すると、自動的にゴミが除去される。きれいにゴミが消えない場合は、位置やブラシサイズを変更してから、もう一度クリックしてみるといいだろう。

↑元の写真。顔のホクロが目立つのでレタッチブラシを使って消していく。まずは、ツールバーから「レタッチブラシ」をクリック
↑元の写真。顔のホクロが目立つのでレタッチブラシを使って消していく。まずは、ツールバーから「レタッチブラシ」をクリック

 

↑消したい箇所の上にブラシのカーソールを置き、「自動レタッチブラシ」パレットでブラシサイズを調整する
↑消したい箇所の上にブラシのカーソールを置き、「自動レタッチブラシ」パレットでブラシサイズを調整する

 

↑クリックするだけで、そこにあったホクロが消えた
↑クリックするだけで、そこにあったホクロが消えた

 

NX-Dの注目機能2「アオリ効果」

エディットバネルの「傾き補正とアオリ効果」では、画像の傾きや、垂直と水平方向の遠近感を補正できる。エディットバネル内の「傾き補正とアオリ効果」を選択すると前述の各種機能を利用できる調整パレットが表示される。

↑「傾き補正とアオリ効果」のアイコンをクリックすると、調整パレットが表示される
↑「傾き補正とアオリ効果」のアイコンをクリックすると、調整パレットが表示される

 

その中のひとつである「傾き補正」のスライダーでは、右に動かすと時計回りに、左に動かすと反時計回りに画像が回転する。同様のことは、画面上段のツールバーにある「傾き補正ツール」でも可能。こちらを選択した場合は、写真上の傾きのある直線に沿ってドラッグすることで、自動的に傾きを補正できる。

 

さらに「アオリ効果」では、遠近感による被写体のゆがみを「垂直方向」と「水平方向」のそれぞれを±20の範囲で補正できる。調整の際は、グリッド(縦横線)を表示しておくと垂直や水平の目安がわかりやすい。

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↑下から見上げて撮影したため、建物が上に向かってすぼまって写ってしまった。そこで、アオリ効果を「垂直方向:+15.2」に設定。遠近感が補正され、正面から撮影したような正確な形になった(上:元の写真、下:垂直方向+15.2)
↑下から見上げて撮影したため、建物が上に向かってすぼまって写ってしまった。そこで、アオリ効果を「垂直方向:+15.2」に設定。遠近感が補正され、正面から撮影したような正確な形になった(上:元の写真、下:垂直方向+15.2)