AV
カメラ
2017/7/19 15:00

ニコンの一眼レフ・D7500とD7200を実写比較(後編)――新旧モデルの連写性能/コスパ/買い時は?

後継機が発売されると、旧モデルは注目されなくなりがち。とはいえ、新旧の差が少ない製品も多く、旧モデルが実はお買い得というケースも少なくない。そこで、ニコンの中級機、D7500とD7200を比較。前編では基本スペックや操作性、画質などを比較したが、後編では連写性能や価格などをチェックした。カメラ初心者的視点で吉森信哉さん、プロカメラマンの視点で永山昌克さんの評価を交え、両機を評価する。

 

【関連記事】

ニコンの一眼レフ・D7500とD7200を実写比較(前編)――新旧モデルの基本スペック/操作性/画質は?

 

↑D7500は連写枚数が約8コマ/秒と高速だ。対するD7200は約6コマ/秒。わずか2コマの差だが、実写した印象は数値以上に差を感じた
↑D7500は連写枚数が約8コマ/秒と高速だ。対するD7200は約6コマ/秒。わずか2コマの差だが、実写した印象は数値以上に差を感じた

 

【連写性能比較】連続撮影枚数の多いD7500なら連写し続けられて◎

D7200の約6コマ/秒連写に対し、D7500は約8コマ/秒の連写が可能だ。差は秒2コマで実際に撮り比べても、その違いを実感できる。ただ、撮影上で問題になるのは、やはり連続撮影枚数だ。D7200はRAW(12ビットロスレス圧縮)+JPEGラージ・ファインで27コマであるのに対し、D7500はRAW(同)+JPEGラージ・ファインで74コマまで連写が可能。D7500なら、およそ9秒以上連写し続けることができる計算だ。

 

「約6コマ/秒で不足を感じるシーンはそれほど多くないのですが、D7200を普段使っていて連続撮影枚数がもう少し多ければと思ったことは多かったので、その点でD7500は魅力的です」(吉森)。「乗り物やスポーツシーンなどを撮影する場合は、連写が速いほうが有利ですが、約8コマ/秒で10秒近く連写できれば、新幹線なども慌てずに撮影できると思います。連写がスローダウンすると、やはり焦るので」(永山)。鉄道など連写して撮る被写体がメインのユーザーなら、D7500を選んだほうがよさそうだ。

↑両機とも「RAW+JPEGラージ・ファイン」で★の位置に先頭車両が来た時点で連写開始。先頭車両がフレームアウトする直前のカットを掲載した
↑両機とも「RAW+JPEGラージ・ファイン」で★の位置に先頭車両が来た時点で連写開始。先頭車両がフレームアウトする直前のカットを掲載した

 

↑300mm相当のレンズを使用して撮影。いずれも、UHSスピードクラス10、U1のSDカードで撮影したが、D7200は条件が悪かったのか、12コマ撮影の後にスローダウン。D7500は、先頭車両が完全にフレームアウトした後まで連写することができた。連写に関しては、D7500の圧勝であった
↑300mm相当のレンズを使用して撮影。いずれも、UHSスピードクラス10、U1のSDカードで撮影したが、D7200は条件が悪かったのか、12コマ撮影の後にスローダウン。D7500は、先頭車両が完全にフレームアウトした後まで連写することができた。連写に関しては、D7500の圧勝であった

 

【吉森信哉さんの連写性能の10段階評価】

D7500・9/10

D7200・7/10

連写コマ数だけでなく、連続撮影枚数も差があり、D7500が優秀。ただ、RAW+JPEGという厳しい条件なので、連写を多用しないなら、D7200でもOKだ。

 

【永山昌克さんの連写性能の10段階評価】

D7500・9/10

D7200・6/10

連続撮影枚数によるストレスが少ないだけでもD7500を評価できるが、連写自体も高速で一瞬を逃さず撮れる。さまざまなシーンを撮ることの多い人にはおすすめ。

 

【価格比較】D7500を購入するならD500との価格差も確認したい

D7500発売直後の6月半ば現在のレンズキットの大手量販店価格は、19万8110円。一方のD7200のレンズキットは市中在庫のみのようで、一部の量販店では取り扱いがなくなっているが、12万9384円であった。価格差は7万円弱あり、同じキットレンズが付いていることを考えると、かなりお買い得といえるだろう。ただ、D7500を購入する場合は、もしニッコールレンズを何本か持っているなら、D500の価格も確認しておきたい。実は、同じ6月半ば現在のD500のボディ価格は24万300円。レンズは付属しないものの、数万円の差で最上位機種が購入できるのだ。

 

「D7500は、レンズキットだと20万円近くします。そのため、予算に余裕があるなら、D500も視野に入ります」(永山)。「価格を考えると、現在でもD7200を購入する価値は高いと思います。元々は同社のDXフォーマットのフラッグシップ機だったので、実はD500の前モデルともいえるモデルであり、それだけの風格や仕様を備えたカメラといえます。縦位置グリップなどが用意されている点も、その証の1つです」(吉森)。

ニコン D500(参考価格:23万5590円)。↑DXフォーマットのフラグシップ機。フル サイズのプロ機である、D5の弟分ともい えるモデルで約10コマ/ 秒の連写性能な どプロ機に劣らない基本性能を備えてい るのが魅力
↑ニコン D500(参考価格:23万5590円)。DXフォーマットのフラグシップ機。フルサイズのプロ機である、D5の弟分ともいえるモデルで約10コマ/ 秒の連写性能などプロ機に劣らない基本性能を備えているのが魅力

 

↑マルチパワーバッテリーパックMB-D15(参考価格:3万870円)。D7200には、本体と合わせてバッテリーが2本装着できて縦位置グリップにもなる、バッテリーパックが用意されている。D7500には、こうしたバッテリーパックなどの設定はない
↑マルチパワーバッテリーパックMB-D15(参考価格:3万870円)。D7200には、本体と合わせてバッテリーが2本装着できて縦位置グリップにもなる、バッテリーパックが用意されている。D7500には、こうしたバッテリーパックなどの設定はない

 

【吉森信哉さんのコスパの10段階評価】

D7500・7/10

D7200・9/10

D7500は、D7200との価格差を見てしまうと購入を躊躇してしまう。D7200は2年前の機種ということで新鮮味はないが、十分な性能を持ち、お得感はかなり高い。

 

【永山昌克さんのコスパの10段階評価】

D7500・6/10

D7200・9/10

D7500の価格は、初値としては高くはない。ただ、縦位置グリップが用意されていないなどの仕様を考えると、多少機能で劣っていても、D7200が魅力的に思えてくる。

 

今後1年程度は大きな価格変動はなさそう

D7500に限らず、中級機以上のモデルは価格変動しにくい傾向にあるが、D7000シリーズは人気機種であり、しばらくは数万円単位の大きな価格変動はなさそうだ。とはいえ徐々には価格が下がるので、少し気長に購入しやすい価格になるのを待ってみるのもいいだろう。では、今後どの程度価格変動が見込めるのかを、「価格.com」に掲載のD7200レンズキットの平均価格グラフを参考に予想してみよう。

↑グラフの青い線が価格情報サイト「価格.com」でのD7200の平均価格(赤い線は最安値)だ。初値は16万9980円で半年以上、16万円台をキープ。約一年後でも14万円台を維持していた。その後少しずつ値下がりするも比較的価格低下は緩やかだ
↑グラフの青い線が価格情報サイト「価格.com」でのD7200の平均価格(赤い線は最安値)だ。初値は16万9980円で半年以上、16万円台をキープ。約1年後でも14万円台を維持していた。その後少しずつ値下がりするも比較的価格低下は緩やかだ。(2017年6月13日時点)

 

D7200は、2015年の3月に発売されたが、そのときのレンズキットの初値は16万9980円となっている。ちなみにD7500の価格.comでの初値は、17万8305円なのでD7500はD7200に比べて、やや高めの初登場価格となっている。

 

D7200登場後は、半年以上に渡って16万円台で推移し、15万円台になるのは約8か月後で、1年後でも14万円台を維持している。その後も多少は値下がりしているが、D7500の発表間近まで13万円台であった。そのため、このグラフを見る限り、値下がり率は小幅ながらも、お買い得になりそうなのは、約1年後といえそうだ。値下がり率を計算してみるとおよそ8.5%。これをD7500に当てはめると16万3105円程度となり、1万5000円ほどお得ということになる。

 

ただ1年後の価格ということを考えると、少し待って17万円台前半程度で購入しても、約1年間十分に使いこなすのであれば、損ということにはならなさそうな価格差といえるだろう。

 

【総合評価】プロ仕様の機材が欲しいならD7200もアリ

D7500は、約8コマ/秒の連写やISO51200までの常用感度など、中級機ではこれまで撮れなかった被写体が撮れる機能を持っているといえ、画質面でも画素数は2088万画素だが、階調表現に優れている。「何より連写性能がアップしている点は、動きモノを撮るユーザーにはうれしいと思います。感度も上げられ、かなり速い被写体も写し止められます」(吉森)。「モノコックボディでハンドリングがいいので、長時間の撮影でも疲れにくいと思います。画質面でも階調豊かで扱いやすい画像です」(永山)。

 

一方のD7200は「やはり元DXフラグシップの風格や仕様が魅力です。価格面も含め、まだまだ魅力的です」(吉森)。D7000シリーズの両機は、いすれを選んでも失敗のない、優良なカメラといえそうだ。

 

【吉森信哉さんの総合評価】

D7500・43/50

D7200・40/50

連写に強いので、動きモノ撮影中心なら迷わずD7500がオススメ。低価格で質が高く、十分な機能を持ち、丈夫で長持ちするカメラが欲しいなら、D7200を選ぶのもアリ。

 

【永山昌克さんの総合評価】

D7500・40/50

D7200・37/50

D7500は、高感度に強く動きモノのほか夜景を撮る人にもおすすめ。ただ、金額面でD500の値動きも要チェック。D7200は、今でも安心して使える1台です。

 

【D7500がオススメなのはこんな人】

●動きモノをメインに撮る人
●夜景を手持ちで撮りたい人
●4K動画撮影を楽しみたい人

 

【D7200 がオススメなのはこんな人】

●風景を緻密に撮りたい人
●プロ仕様機材を使いたい人
●安価で丈夫な機材が欲しい人

 

写真・解説/河野弘道 協力/価格.com

20170711_kohno_E

【コチラの記事もオススメ!】

最上位機の半額以下! ニコンのもうひとつのフラッグシップ機「D500」の魅力

人気4モデルを実写比較! 小型高倍率ズームコンデジおすすめ4選【光学30倍以上/300g以下】

同じ「小型高倍率ズームコンデジ」でもコレだけ違う! “光学30倍以上”の人気4モデルを並べて徹底比較