一眼レフなどのレンズ交換式カメラの醍醐味は、使用レンズによって写真表現が大きく変わることだ。とはいえ、どんなレンズが最適かつ高性能なのかがカメラ本体に比べてわかりにくく、レンズ選びはなかなか難しい。もちろん、使用するカメラのマウントによって使えるレンズは限られるし、どんな種類(広角、望遠、マクロ、高倍率ズームなど)のレンズが必要かも、撮影する被写体や撮りたいイメージによって大きく変わってくる。
さらに、交換レンズにはカメラメーカー純正品だけでなく、レンズメーカーの製品も数多く存在している。そこで今回は、10万円以下のレンズに絞って、筆者が“優秀だけどお買い得”と感じている10本をノミネート。特に優秀な5本については、実際に使用した感想をもとに順位付けした。本稿では、第4位と第3位のレンズを発表!
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■第5位はあの高倍率ズーム! 10万円以下の安くてイイ交換レンズベスト5【ノミネート&第5位】
![↑10万円以下の交換レンズの第4位と第3位を発表! いずれも小型で写りのいいレンズがランクイン](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/07/20170730_kohno_024.jpg)
【第4位】シグマ 30mm F1.4 DC DN|Contemporary
光学性能とコンパクトさの両立を目指した、F1.4の明るさを持つミラーレス用大口径標準レンズ。ミラーレス機の小型ボディにもマッチして、重量バランスも◎。低価格ながら極めて高い画質が得られる。
![↑●対応フォーマット/APS-C、4/3型 ●対応マウント/ソニーE、マイクロフォーサーズ ●レンズ構成/7群9枚 ●最短撮影距離/0.30m ●最大撮影倍率/約0.14倍 ●フィルター径/52㎜ ●大きさ/64.8× 73.3㎜ ●重さ/265g ●参考価格/3万7250円](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/07/20170730_kohno2_007.jpg)
【機能・性能】高画質モデルに匹敵する描写を実現
シグマの交換レンズ群は、Contemporary、Art、Sports、という3つのプロダクトラインに集約されている。本製品は、高い光学性能とコンパクトさを両立するContemporaryラインに属する、ミラーレス用大口径標準レンズ。両面非球面の非球面レンズや高屈折率高分散ガラスなどを効果的に使用し、周辺光量低下や倍率色収差を補正している。歪曲収差はカメラ側の画像補正機能に任せ、レンズ性能をシャープネス向上に集中したのも特徴。これらにより、幅広い撮影シーンに対応するContemporaryラインでありながら、最高画質を追求するArtラインに匹敵する高画質を実現している。
![↑MFリングはスムーズな動きで、付属のレンズフードには、表面に滑り止めの溝やラバーが施されている。操作性は抜群だ](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/07/20170730_kohno_004.jpg)
![↑前面外枠の製品名(焦点距離や開放F 値 など)は非塗装の仕様。上品な印象となり、被写体への文字の写り込みも防げる](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/07/20170730_kohno_005.jpg)
【実写】単焦点らしい高画質が手軽に得られる
単焦点標準レンズを選ぶ場合、開放値がF1.7やF1.8の製品も悪くないが、F1.4の製品ならより大きなボケ効果が得られる。しかし、気になるのは価格で、パナソニックなどの製品は5万円以上になる。これでも今回の選択基準は満たすが、本製品なら3万円台。しかも、Artラインの製品並の描写が期待できる。APS-CのEマウントとマイクロフォーサーズ対応で、後者に用いるには少し大柄な印象。だが、ホールド感やMF時の操作性などは良好だ。何より、絞り開放からシャープで安定した像や、クセの少ない上質なボケ描写は、単焦点標準の醍醐味を感じさせてくれる。
![↑標準レンズだと、人の目に近い自然な被写体描写や遠近感が得られる。そこで、少し離れた場所から洋風建築物を撮影。絞りを適度に絞ることで、適度な被写界深度と抜群にシャープな描写も得られた。目立った収差もなく、使いやすいレンズだ。60mm相当 絞り優先オート(F5.6 1/400秒) ISO200 WB: オート](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/07/20170730_kohno_006.jpg)
![↑50mm相当前後の画角は、目の前の被写体を観察しながら撮るのにも適している。ここでは、温室内のランの中から、容易に近づける紫色の花に注目した。F1.4開放の大きくて美しい背景ボケが、この花の存在感を高め てくれている。60mm相当 絞り優先オー ト(F1.4 1/640秒) ISO200 WB:オート](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/07/20170730_kohno_007.jpg)
【第3位】タムロン 10~24mm F3.5-4.5 DiⅡ VC HLD
APS-C専用の広角ズームで、超広角域から標準に近い広角域までをカバー。待望の手ブレ補正機構「VC」を搭載し、従来モデル以上の高画質設計となった。すっきりした外観で、操作性も優れる。
![↑●対応フォーマット/APS-C ●対応マウント/キヤノンEF、ニコンF ●レンズ構成/11群16枚 ● 最短撮影距離/0.24m ●最大撮影倍率/約0.19倍 ●フィルター径/77㎜ ●大きさ/83.6×84.6㎜ ●重さ/440g ●参考価格/5万8940円](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/07/20170730_kohno2_001.jpg)
【機能・性能】広角ズームながら手ブレ補正を搭載
従来製品(SP AF10~24mm F3.5-4.5 Di II LD アスフェリカル)同様の画角をカバーする広角ズーム。本機は製品名に「SP」の称号は付いていないが、これは新しいSPシリーズの定義のひとつ「金属外装を採用」という条件を満たしていないためで、光学性能は従来モデルから大幅に向上。LDレンズ1枚、XLDレンズ1枚など、特殊レンズを適切に配置して光学系のサイズ増大を抑えつつ、収差を補正している。BBARコーティングの採用や鏡筒内設計の工夫で、高い逆光耐性も実現している。手ブレ補正機構「VC」を備え、駆動力と安定性に優れる新しいAFモーター「HLD」も初搭載された。
![↑レンズのサイズからすると、やや幅広 に感じられるAF・MF切替スイッチとVCスイッチ。そのぶん、視認性や操作感は良好だ](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/07/20170730_kohno_008.jpg)
![↑手ブレ補正機構「VC」搭載の影響か、少し鏡筒が太めに感じられる。ミドルクラス機に装着した際の堂々とした姿が印象的](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/07/20170730_kohno_009.jpg)
【実写】四隅まで像が乱れず逆光にも強い
APS-C一眼レフ用広角ズームをチェックしてみると、キヤノンには2製品、ニコンには3製品あるが、ズーム域の狭さ、開放F値の暗さ、手ブレ補正非搭載と、どの製品にも何らかの不満がある。それだけに、本製品の充実ぶりが際立つ。特筆すべきは、やはり手ブレ補正機能「VC」の搭載。この機能によって、手持ち撮影領域が拡大した。また、描写性能の優秀さにも感心する。このクラスの製品だと、超広角域の周辺部に像の流れや色にじみが生じることが多い。だが、本製品だとそれが目立たないのだ。さらに、画面内に太陽を入れても予想以上にクリアな描写が得られた。
![↑ツツジの花に囲まれる噴水。その上空に目をやると、雲の切れ間から眩しい太陽。その地面と空の両方を写し込むには、超広角の画角が不可欠だった。強烈な逆光の条件だが、ゴーストやフレアの目立たない描写に満足! 15mm相当 絞り優先オート(F11 1/250秒) +0.3補正 ISO100 WB:オート](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/07/20170730_kohno2_002.jpg)
![↑表札と背後の建物内の両方をシャープに魅せるためF11まで絞る。画質面を考慮してあまり高感度に設定しないので、シャッター速度は遅くなる。だが、手ブレ補正機構のおかげで、手持ちで十分にシャープな描写が得られた。18mm相当 絞り優先オート(F11 1/5秒) -0.7補正 ISO400 WB:オート](https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/07/20170730_kohno_010.jpg)
(次回に続く)