AV
カメラ
2017/9/25 17:00

【脱・メシマズ写真】スマホで撮る“ごはん写真”の5つの正解

レストランの料理やカフェのスイーツ、自分で作った食事を美味しそうに撮りたい。しかし、スマホで何も考えずに撮影すると、実際の見た目とはまるで違う味気ない“メシマズ写真”になってしまう。この原因はスマホにあるのではなく、撮影者の技術がいまひとつなのである。スマホでも美味しそうに撮れる5つのコツを紹介しよう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

【料理撮影のコツ-1】正確にピントを合わせる

スマホは面倒な設定をしなくても、簡単にシャープな写真が撮れるイメージがあるが、しっかりとピントを合わせないと、スマホでもピンボケしてしまう。明るさや色合いは後から加工すればいくらでも変えられるが、ピンボケばかりは救えない。主役がぼけてしまっては失敗なので、まずはメインの料理にしっかりとピントを合わせることを意識しよう。

 

ピントは画面にタッチした部分で合わせられる。パスタではパセリなどが乗った部分、ショートケーキではトップのイチゴなど、料理のなかで主役がはっきりしているものはそこに合わせるのがベター。これといった主役がなければ、画面中央の手前側あたりに合わせると自然に見えるほか、アップめのフレーミングなら奥行きも引き出せる。料理にカメラを向けたら、きちんと主役にタッチしてピントを合わせ、シャッターを切ろう。

↑この料理の場合、手前のパプリカが目立つのでそこをタッチ。ピントを合わせる枠が表示される。その際、枠だけを見ずに、画面上でもしっかりピントが合っているかをチェックすること。合わせた後は、スマホを前後に動かさずにシャッターを切る
↑この料理の場合、手前のパプリカが目立つのでそこをタッチ。ピントを合わせる枠が表示される。その際、枠だけを見ずに、画面上でもしっかりピントが合っているかをチェックすること。合わせた後は、スマホを前後に動かさずにシャッターを切る

 

ピントを合わせる際にスマホが動いてしまうと手ブレが起きて、写真がぶれてしまう。これもよくある失敗だ。さらに、薄暗いレストランなどでは自然とシャッター速度が遅くなるので、より手ブレしやすくなる。手ブレしないようにしっかり構えて撮ることが大切だ。

 

【料理撮影のコツ-2】明るく写す

カメラは明るすぎたり、暗すぎたりという失敗を避けるため、自動で白と黒の中間の明るさ(グレーの濃度)に合わせようとする。逆光で撮ったり、明るい色(白い皿など)が画面に多く入ったりすると、見た目よりも暗く写ってしまうのだ。料理が暗いとまずそうに見えるので、明るさを調整しよう。

 

写真映えするカフェ飯やスイーツなどは、見た目よりも少し明るいくらいのほうが美味しそうに見える。ただし、ディナーなどで場所の雰囲気を生かしたいなら、暗めにするのがおすすめ。写真の明るさは、料理や室内の照明の雰囲気に合わせて選ぶとよい。迷ったときは、明るさを変えて何枚か撮っておくのも手だ。

↑左の写真は、明るさを調整せずに撮影。全体が沈んだ感じで、料理の色もくすんで見える。明るさのスライダーを動かして、明るく調整したのが右の写真。写真が明るくなることでくすみが抜け、赤、黄、緑の色の食材が鮮やかに写って美味しそうに見える
↑左の写真は、明るさを調整せずに撮影。全体が沈んだ感じで、料理の色もくすんで見える。明るさのスライダーを動かして、明るく調整したのが右の写真。写真が明るくなることでくすみが抜け、赤、黄、緑の色の食材が鮮やかに写って美味しそうに見える

 

↑iPhoneでは、画面をタッチするとピントの枠の横に明るさを変えるスライダーが現れる。これを上下に動かすと明るさが変えられる
↑iPhoneでは、画面をタッチするとピントの枠の横に明るさを変えるスライダーが現れる。これを上下に動かすと明るさが変えられる

 

【料理撮影のコツ-3】外光の入る窓辺で撮る

写真は光が重要だといわれている。光のちょっとした違いに気づいて工夫すれば、スマホでも料理を美味しそうに撮れる。

 

撮影スタジオでプロカメラマンが料理を撮影しているシーンを見たことがあるだろうか。大掛かりなセットを組んで、複数の照明でライティングをしている。これは多くの場合、自然光を真似た光を、室内で安定的に作り出すために行っている。料理を写す理想の光は、窓から差し込むやわらかい自然光。日中の窓辺なら、きれいな光で撮ることができるのだ。

 

窓辺を選んだら、次は光線状態と強弱を考えよう。料理撮影には「逆光」と「やわらかな光」が適している。料理の後ろから光が差し込む逆光は、手前に陰ができつつ写真は暗くなるので、明るさの調整が欠かせない。その際、露出補正を行って最も暗い場所を明るくするように調整すれば、背景はより明るく写る。人の視線は明るいところに行きやすいので、自然と画面の奥に目が行くことで奥行きが生まれて、料理写真に立体感が出てくる。

↑室内照明下で撮影すると、光が全体に回ってフラットになるため、立体感に乏しくなる。色もどことなく冴えない。また、蛍光灯、電球といった照明の種類によって色合いは変化する。窓辺の順光(窓を背にする状態)で撮影すると、窓から差し込む自然光によって立体感が出て、色もきれいに出る。しかし、手前からの光によって画面上部が暗くなり、若干重たい印象だ
↑室内照明下で撮影すると、光が全体に回ってフラットになるため、立体感に乏しくなる。色もどことなく冴えない。また、蛍光灯、電球といった照明の種類によって色合いは変化する。窓辺の順光(窓を背にする状態)で撮影すると、窓から差し込む自然光によって立体感が出て、色もきれいに出る。しかし、手前からの光によって画面上部が暗くなり、若干重たい印象だ

 

↑逆光では画面の手前側が暗くなるが、明るさを調整すれば問題ない。むしろ背景が明るくなって奥行きが出るし、やわらかな光の場合は爽やかな雰囲気も引き出された(左)。同じ逆光でも光が直接当たる場所では影がきつくなる(右)。明るさを調整しても影が残るし、明るくしすぎるとハイライト部が真っ白になってしまう
↑逆光では画面の手前側が暗くなるが、明るさを調整すれば問題ない。むしろ背景が明るくなって奥行きが出るし、やわらかな光の場合は爽やかな雰囲気も引き出された(左)。同じ逆光でも光が直接当たる場所では影がきつくなる(右)。明るさを調整しても影が残るし、明るくしすぎるとハイライト部が真っ白になってしまう

 

やわらかな光とは、薄曇りのときのような拡散した光のこと。直射日光が当たる場所では影が強く出ることで食材の質感が損なわれ、画面も影によってうるさくなりがちだ。なお、室内照明を使って撮ると、トーンが滑らかになるものの、フラットすぎて立体感に乏しい写りになる。程よい立体感はありつつも、きつい影ができないのが窓辺の自然光の良さなのである。

 

窓辺でも光が強ければ、レースのカーテンで遮光したり、光が直接当たらない部屋の奥まで入ったりすればOK。逆に光が弱ければ、窓の近くに寄って撮ろう。日中のレストランやカフェでは窓辺のテーブルを選んで、窓と向かい合うような席に座るのがベストだ。

 

【料理撮影のコツ-4】斜め上からのアングルで狙う

アングルとは、被写体に対する撮影角度のこと。料理写真の場合、主に真横、斜め上、真上にわけられる。料理を撮るアングルは斜め上からが基本で、全体を写しつつも、奥行きを出すことで立体感を引き出せる。

 

もちろん料理によってベストなアングルは異なる。ハンバーガーなら真横から見ると食材の重なりがよくわかるし、ソースのかかったパンケーキなど平面的な料理は、真上から撮るほうがその魅力を伝えやすい。料理の顔(正面)がどこなのかを考えてアングルを決めるといいだろう。

 

アングルの違いはボケ具合にも影響する。ピントを合わせた被写体から背景が離れるほど背景はぼけて写るので、真横や斜め上から狙うとスマホでもボケを作り出しやすい。一方で真上から見下ろす場合は、料理と背景との距離が近いのでぼけにくい。

 

また、背景に写るものが変わってくる点にも気をつけよう。真横や斜め上からの場合は背景が写り込んでくるので、室内の余計なものが入らないように画面の隅々まで確認すること。真上からでは、皿やテーブル、テーブルクロスが背景になるので、それらの絵柄が料理の邪魔にならないように狙いたい。

↑斜めから狙うと奥行きが出るので、背景をぼかしやすい。主役がはっきりと写るだけでなく、料理に立体感も出てくる
↑斜めから狙うと奥行きが出るので、背景をぼかしやすい。主役がはっきりと写るだけでなく、料理に立体感も出てくる

 

↑真上から写す場合は、奥行きが出ないので平面的に写りやすい。シンプルなフレーミングで料理を引き立たせるのがコツだ。ここでは主役のカップは全体を入れつつ、脇役の一部をカットしたり、端に寄せたりすることで、主役を目立たせている
↑真上から写す場合は、奥行きが出ないので平面的に写りやすい。シンプルなフレーミングで料理を引き立たせるのがコツだ。ここでは主役のカップは全体を入れつつ、脇役の一部をカットしたり、端に寄せたりすることで、主役を目立たせている

 

【料理撮影のコツ-5】ズーミングはほどほどに

そして、スマホに搭載されているレンズは、広い範囲が写せる広角レンズがほとんど。遠近感が強調されて、画面の端が歪んで写りやすいという特徴がある。一部分がアップになるデジタルズームを使うと、歪みは少なく、遠近感も弱くなり、被写体の前後が圧縮されたように写る。

 

ただしデジタルズームは、ズーミングするほど画質が落ちる。WEB上で小さく扱うぶんには問題ないが、大きく見せるならズーミングはほどほどに抑えておきたい。使用するサイズを考えてズーミングを活用しよう。

 

下の写真は、ズーミングなしと最大にズーミングした状態で撮り比べた。画面内の料理の大きさが同じくらいになるよう、ズーミングなしでは料理に近づき、ズーミング時は離れて撮影している。すると、背景の写る範囲、背景の被写体の大きさ、さらに遠近感の出方に違いが見られた。ズーミングすると画質が粗くなっている点も見逃せない。

↑斜めから狙うと奥行きが出るので、背景をぼかしやすい。主役がはっきりと写るだけでなく、料理に立体感も出てくる

 

↑部分拡大したカット(左:ズーミングなし、右:めいっぱいズーミング)
↑部分拡大したカット(左:ズーミングなし、右:めいっぱいズーミング)

 

これら5つのコツをマスターすれば、SNSの「いいね!」もきっと増えるはず。目指せ、脱・メシマズ写真!