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2017/10/26 13:00

「Google Home」との違いは“音質”! ソニーのAIスピーカーはオーディオ寄りのアプローチで攻める

ソニーから、初のGoogleアシスタントを搭載するAIスピーカー「LF-S50G」が12月9日に発売されます。価格はオープンですが、想定売価は2万5000円前後になる見込みです。

↑Googleアシスタントを搭載したソニーのAIスピーカー「LF-S50G」
↑Googleアシスタントを搭載したソニーのAIスピーカー「LF-S50G」

 

先日ソニーモバイルがAIアシスタントを搭載するコミュニケーションロボット「Xperia Hello!」を発表したばかりですが、今回発表された製品は音楽を聴くためのワイヤレススピーカーが基本になります。AIアシスタントもXperia Hello!はソニー独自の「Neural Network Console」をベースに開発されていますが、LF-S50GではGoogleアシスタントを搭載しました。

↑発売予定日は11月18日。ソニーストアの価格は149,880円(税別)
↑Xperia Hello!

 

本体のサイズはGoogle Homeよりも少し大きいですが、ファブリック製のグリルに光沢仕上げのベースなど、見た目にはよりシンプルにスピーカーらしく感じられるデザインになっています。カラーバリエーションはホワイト/ブラック/ブルーの3色。

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AIスピーカーとしての頭脳の部分にはGoogleアシスタントを搭載しているので、音楽ストリーミング再生、天気に占い、交通情報の検索といったAIまわりの機能はGoogle Homeスピーカーと同じになります。セットアップにはグーグルのHomeアプリを使用。ダイレクトにストリーミングが受けられる音楽サービスはSpotifyとGoogle Play Musicの2つ。外部機器についてはHDMI端末のクロームキャストやソニーのAndroid TVを搭載するブラビア、Chromecast built-in機能を搭載するオーディオ機器と連携できます。Actions on Google対応のサービスにも開始後から対応できるようです。

↑Chromecast built-inの機能に対応するオーディオ製品にコンテンツをストリーミングできるだけでなく、Works with the Googleアシスタントのサービスに対応する製品はシンプルな音楽再生も音声コマンドで操作できる
↑Chromecast built-inの機能に対応するオーディオ製品にコンテンツをストリーミングできるだけでなく、Works with the Googleアシスタントのサービスに対応する製品はシンプルな音楽再生も音声コマンドで操作できる

 

LF-S50GがGoogle Homeスピーカーと大きな違いとして打ち出しているポイントのひとつは「音質」。長年、スピーカーやオーディオ製品を手がけてきたソニーならではのノウハウがコンパクトな本体に詰まっています。

↑グリルカバーは簡単に取り外せる
↑グリルカバーは簡単に取り外せる

 

最も特徴的なのは、スピーカーを中心に360度方向へバランスよく広がる音響デザインです。AIスピーカーがどの方向からでも音声コマンドを入力できるのと同じように、本機で再生されたサウンドが部屋中どこにいても気持ち良く聴けるように設計されています。

 

内部には上下向かい合わせに2つのスピーカーを配置。間に音を拡散するためのディフューザーを置いて、スリットの部分から360度方向へ均一に音を広げます。実際にスピーカーの周囲をぐるっと回りながら音を聴いてみると、どこからでもこもりのないクリアな音が聴けます。ボーカルの明瞭感、ドラムスのリズムや肉付きの良いベースのアタックの鋭さを特徴としているようです。音場も広く快調感がきめ細かいので、BGM的に音楽を聴いてもひと味違う音の“濃さ”が実感されるはずです。

↑ディフューザーを挟んで上下にスピーカーユニットを配置している
↑ディフューザーを挟んで上下にスピーカーユニットを配置している

 

↑スピーカーユニットはフルレンジとサブウーファーの2ウェイ構成
↑スピーカーユニットはフルレンジとサブウーファーの2ウェイ構成

 

キッチンで料理をしながら音楽を聴いていると、シンクに水がバタバタと跳ねてスピーカーの音が聞こえづらく感じることがないですか? 毎度スピーカーの音量を上げ下げするのは面倒なので、いっそスピーカーが勝手に音量をイイ感じにしてくれたらいいのに。そんなユーザーの声を受けて、LF-S50Gは周囲の環境に合わせてボリュームを自動で最適化してくれる「おまかせ音量」機能を搭載しました。こちらは発売後にアップデートで機能が追加される予定なので、使い勝手はあらためて試してみたいものです。

 

もうひとつ、キッチンなど水回りでLF-S50Gを使う時にうれしいIPX3相当の生活防水仕様が採用されています。本体は水しぶきに強い防滴仕様として、さらに撥水塗料を使っています。本体のグリルカバーは簡単に取り外しができて、まるごと水洗いもできます。AIスピーカーはキッチンタイマーにも使えるので、頼もしい仕様といえます。ちなみに本体のフロント側に時計は常時表示されるデジタル時計機能も搭載しています。わざわざGoogleアシスタントに時刻を聞く必要がないようにという発想から採用が決まったそう。逆転の発想というか……もしかすると天気や交通情報もディスプレイに表示してくれるともっと便利に感じるかもしれないですね。

 

音声コマンドに対応するAIスピーカーはハンズフリーで操作できることがひとつの大きな特徴ですが、LF-S50Gにはもうひとつ特徴的な「ジェスチャーコントロール機能」が搭載されています。

 

本体の天面にはふたつのマイクユニットのほかに静電容量式のセンサーリモコンが内蔵されています。パネルに直接手や指を触れなくても、数センチほど離れた距離からジェスチャー操作を感知して、Googleアシスタントの起動、音楽再生時の一時停止、曲送り、ボリューム操作が可能になります。例えば天面に指を近づけて円を描くように指を回すとボリュームのアップダウン操作になります。スピーカーに手で触れなくてもよいので、こちらもまたキッチンで手が濡れていたり汚れている時に重宝しそうです。

↑天面にマイクのほか、ジェスチャーコントローラーを搭載している
↑天面にマイクのほか、ジェスチャーコントローラーを搭載している

 

音楽再生についてはBluetoothでスマホやPCにつなぐこともできます。単体で再生できる音楽コンテンツはいまのところSpotify、Google Play Musicになりますが、スマホをつなげば端末に保存されている音源や、その他の音楽ストリーミングサービス、インターネットラジオもアプリで楽しめるようになります。Bluetoothのオーディオコーデックはスタンダード音質のSBCのみで、DSEEなどによるアップコンバートやイコライザーの機能などは搭載していません。

 

Google Homeよりも約1万円ほど高値になりますが、音質や操作性、練り上げられた機能面などはさすがソニーのAIスピーカーと言える完成度に到達している印象を受けました。デザインもよりスピーカーらしく、色んなタイプのインテリアにさり気なく馴染んでくれそうです。スマート家電やIoTデバイスを音声で操作する時代がくれば、いずれは家庭に複数台のAIスピーカーが必要になるとも言われていますが、まずは音楽をしっかりと“いい音”で再生できて、デザインも満足できる1台をじっくりと選んで使ってみるところから始めてみてはいかがでしょうか。価格的にも手頃なソニーのLF-S50Gは有力な選択肢になると思います。