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2017/12/25 17:30

これぞレンズ一体型カメラの真骨頂!! 「超望遠+高速AF+高速連写」全部入りのソニー「DSC-RX10M4」実写レビュー

飛行機や鉄道、野鳥といった動きものを撮るには、連写に強い一眼カメラを用意し、さらには超望遠レンズが必要、と考える人は多いだろう。だがそんな重装備ではなく、カメラ1台のみで超望遠による動体撮影を楽々とこなせるモデルがある。それが、ソニーRX10シリーズの新作「DSC-RX10M4」だ。今回はその実写レビューをお伝えする。

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↑2017年10月発売のソニー「DSC-RX10M4」。35mm判換算で24~600mm相当F2.4-4の大口径高倍率ズームレンズを搭載するレンズ一体型カメラだ。実売価格は18万8070円

 

飛行機も電車も子どもバッチリ撮れる! スムーズに追従できるAFが快適

ソニー「RX10」シリーズは、1.0型の大型CMOSセンサーと、大口径の高倍率ズームを搭載したレンズ一体型のカメラだ。2013年に初代機「RX10」を発売して以来、2代目「RX10M2」では動画の4K対応を、3代目「RX10M3」ではズームの倍率アップを図るなど着実に高性能化してきた。今回取り上げる4代目「RX10M4」では、機能と操作性を改善。外観デザインは先代とほぼ同じなので見た目のインパクトこそ少ないものの、実際に使ってみると、別のカメラに生まれ変わったと感じるくらい大きな進化を遂げていることがわかる。

 

まず注目したいのは、これまで以上に軽快になったレスポンス性能だ。試用では電車や飛行機といった動きものを狙ったが、操作はとても快適。ストレスなく合焦するAFと途切れずに撮り続けられる高速連写によって、狙いどおりの構図とタイミングで撮影できた。

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↑424mm相当 ISO100 F5 1/500秒 WBマニュアル

 

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↑600mm相当 ISO100 F4 1/500秒 WBマニュアル

 

AFには、コントラストAFと位相差AFを組み合わせた「ファストハイブリッドAF」をシリーズで初めて搭載。CIPA準拠(※1)のAF速度は前モデルの0.09秒から0.03秒へと高速化し、AF測距点は25点から315点へと大幅に増加した。液晶モニター上では合焦を示す緑の枠が小刻みに動き、正確に追従している状態を確認しながら撮影できる点も便利だ。

※1:カメラ映像機器工業会(Camera & Imaging Products Association 略称:CIPA)は、デジタルカメラをはじめとする 映像関連機器の開発、製造・販売に携わる会員によって構成される国際的な業界団体。その活動の1つとして、消費者の利便性が高まるよ う、業界の世界標準を策定している

 

しかも、電車や飛行機といった直線的な動きだけでなく、走りまわる子どものように不規則な動きに対しても確実にピントが合う。

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↑104mm相当 ISO200 F4 1/500秒 WB太陽光

 

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↑フォーカスエリアは、スナップ撮影など幅広い用途に役立つ「ワイド」のほか、人物や風景などを撮る際、画面中央でフォーカスロックして撮影したいときに役立つ「中央」、同じく人物や風景などを撮る際、フォーカスロックせずに好きな位置に測距点を動かして撮影できる「フレキシブルスポット」、動体撮影などで役立つ「拡張フレキシブルスポット」、動く被写体を追尾して撮影したいときに役立つ「ロックAF」が選べる

 

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↑フォーカスエリアの登録機能では、前もって任意のフォーカスエリアを登録し、カスタムキーを押すことで素早くそのフォーカスエリアを呼び出せる。例えば、あらかじめフォーカスエリアの「中央」を登録しておけば、スナップ的な撮り方をするためにフォーカスエリアの「ワイド」で撮影している際、急に特定の被写体にピンポイントでフォーカスを合わせたくなったときに、即座に「中央」に切り替えられる。子どもや動物、野鳥など動体の撮影全般に役立つだろう

 

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↑前面下部にフォーカスモードダイヤルを備えるほか、レンズ鏡胴部にはピント範囲を制限するフォーカスレンジリミッターを新搭載している

 

連写は、AF/AE追従で最高約24コマ/秒に対応。前モデルはAF/AE固定で14コマ/秒、AF/AE追従で5コマ/秒だったので、4倍以上スピードアップしたことになる。乗り物や人、動物などを撮る場合、動きに合わせて連写し、あとからじっくりとベストショットを選ぶ、という使い方ができる。

 

高倍率でも抜群の安定感! 広角から超望遠まであらゆるシーンに対応

ボディは、前モデルRX10M3の基本フォルムを継承。大口径のレンズ部が存在感を主張する迫力あるデザインだ。

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↑防塵防滴に配慮されたボディ。大きく突き出たグリップはしっくりと手になじむ

 

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↑カールツァイスブランドの「バリオ・ゾナーT*」レンズを搭載。ED非球面レンズ2枚やスーパーEDガラス1枚を含む13群18枚のレンズ構成となる

 

レンズには先代から引き続き、35mm判換算で24~600mm相当の焦点距離をもつ光学25倍ズームを搭載する。風景や室内撮影、近距離でのスナップではワイド(広角)側が、スポーツや人物、植物などの撮影ではテレ(望遠)側がそれぞれ重宝するだろう。ズーム倍率が高いだけでなく、開放値がF2.4~4.0と明るいので、暗所でも感度をあまり上げずに高画質を維持できる点もありがたい。

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↑ズーム位置を焦点距離24mm相当にした状態。鏡胴部には、絞りリングのほか、前レンズリングと後レンズリングを装備。初期設定では前レンズリングでフォーカスを、後レンズリングでズームをそれぞれ操作できる。また好みに応じて、フォーカスとズームの割り当てを入れ替えることも可能だ

 

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↑ズーム位置を焦点距離600mm相当にした状態。前玉部分が大きく繰り出すが、ホールドバランスは崩れない。そのためズーム位置を問わず、常にしっかりとカメラを支えて撮影しやすい

 

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↑24mm相当で撮影。遠景の細部までシャープに解像している。ISO100 F4 5秒 WBマニュアル

 

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↑600mm相当で撮影。肉眼では見えなかった展望室の中の人まではっきり写っている。ISO100 F4 15秒 WBマニュアル

 

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↑24mm相当で撮影。レンズシャッターなので、明るい屋外での高速シャッター使用時でもストロボ撮影ができる。ISO100 F8 1/1000秒 WB太陽光

 

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↑600mm相当で撮影。ひまわりを前ボケとして利用した。ひとつ上の写真と同じ位置から撮ったとは思えないくらい、大きな画角の変化が楽しめる。ISO100 F8 1/800秒 WB太陽光

 

光学ズームの倍率は25倍だが、さらに全画素超解像ズームを使用すれば50倍まで、デジタルズームを使用すれば100倍までそれぞれズームアップできる。次の動画は、100倍のデジタルズームで捉えた雲と月だ。クレーターまではっきりと写っている(100倍のデジタルズームで撮影。再生時間33秒)。

動画は、最大で3840×2160/30pの4K記録ができる。画素加算のない全画素読み出しに対応するほか、オプションとして4K動画からの静止画切り出しや、フルHDのスローモーション撮影、Log撮影などの機能を備えている。

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↑動画記録方式の設定画面。ファイル形式は同社製品ではお馴染みのXAVC S。4K撮影時のビットレートは100Mbpsと60Mbpsから選べる

 

チルト可動&タッチ操作対応の液晶モニターで撮影が快適

操作面の進化としては、RX10シリーズでは初めてタッチパネルを採用したことが大きい。液晶モニター使用時はもちろん、EVF使用時でもタッチ操作によってAF測距点を素早く動かすことが可能だ。

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↑ファインダーには0.39型の有機ELファインダーを搭載。35mm判換算のファインダー倍率は約0.70倍と大きく、視認性は良好だ

 

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↑液晶モニターには、上に109度、下に41度まで動くチルト式を採用。液晶のドット数は従来よりも精細化した

 

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↑天面左にはモードダイヤルを、右には露出補正ダイヤルを装備。シャッターボタンには機械式ケーブルレリーズを装着できる

 

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↑天面にはポップアップ式の小型ストロボを内蔵。その後ろには外部ストロボ用のホットシューを備える

 

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↑側面にSDカードなどの記録メディアスロットを、底面にバッテリー室を装備。CIPA準拠の撮影可能枚数は、液晶モニタ使用時で約400枚、ファインダー使用時で約370枚となる

 

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↑シャッターは電子シャッターと機械シャッターの2方式に対応。「オート」を選んだ場合は、撮影条件に応じて最適なシャッター方式が選ばれる

 

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↑天面や背面のボタンの多くは操作カスタムメニューから、割り当て機能の変更ができる。自分の操作しやすいボタンによく使う機能を割り当てるなど、ここをきっちりと設定しておくことが、快適な操作には欠かせない

 

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↑自分の好きなメニュー項目を登録できる「マイメニュー」を新搭載。設定が多くて煩雑なメニューをすっきりと整理することで、必要な機能や設定へのアクセス性を高められる

 

そのほか撮影機能として、最大4.5段の効果を持つ光学式手ブレ補正や、特殊効果を加えるピクチャーエフェクト、ワイド端で約3cmのマクロ、オートHDR、電子水準器、瞳AF、サイレント撮影などを搭載。幅広い撮影シーンに対応可能なかなりの高機能ぶりだ。自分の撮影スタイルに応じて、ボタンやダイヤル、リングの割り当て機能を細かくカスタマイズできる点も使いやすい。

 

【まとめ】レンズとセンサー、エンジンの三位一体による高画質が魅力

撮像素子には1.0型の積層型Exmor RS CMOSセンサーを採用。有効画素数は約2010万画素。画像処理エンジンはBIONZ Xを搭載する。感度はISO100~12800に対応し、拡張設定としてISO64/80が用意されている。

 

写りは、画面四隅までシャープネスの高い像を確認できた。一眼レフやミラーレスとは異なり、レンズとセンサー、エンジンのそれぞれのマッチングを考えながら最適設計ができていることは、レンズ一体型カメラならではの利点といえる。

 

より大きなセンサーを採用したレンズ交換式のαシリーズに比べると、さすがに細部表現力で一歩見劣りするものの、それでも大きなプリント用にも適した実用十分の精細感がある。加えて、クセのないナチュラルな色再現にも好印象を受けた。

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↑600mm相当で撮影。ISO160 F4 1/640秒 WB太陽光

 

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↑600mm相当で撮影。ISO100 F5 10秒 WBマニュアル

 

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↑付属する花形レンズフードを装着

 

トータルとしては、画質とスピード、高機能の3つが揃った、スキのない高倍率ズーム機に仕上がっている。ボディは、標準ズームを付けたエントリークラスの一眼レフと同じくらいのサイズと重量があり、それなりにかさばって重いのは事実。ただ、レンズのズーム倍率や開放値の明るさを考慮すれば、これでも小型軽量といっていい。

 

例えば、ちょっとしたイベントの撮影などで広角から超望遠までの幅広い画角で撮りたいときに特に活躍するだろう。大砲のような一眼レフ用超望遠レンズを持ち出すには大袈裟すぎる場合でも、DSC-RX10M4ならスナップ感覚で軽やかに超望遠撮影が行える。

 

ハードルとなるのは実売20万円近い価格かもしれない。とはいえ、超望遠や高速AF、高速連写を気軽に楽しみたい人なら、値段に見合った価値を実感できるはずだ。