AV
カメラ
2018/4/4 18:30

“NOレフ”時代のカメラ選び。中級ミラーレス購入前に確認すべきポイント

第1号機の発売から10周年を迎えたミラーレス一眼は、その進化のスピードを一層加速。今春発売のモデルの多くは一眼レフを超える高速連写と多点AFを実現しています。ここではそのなかでも、機能と携帯性、価格のバランスが取れたミドルクラスモデルの性能をチェックしました。

 

※「画質」は、ISO感度と絞り値、焦点距離を揃え、露出とホワイトバランスはオートで撮影して評価。「AF」は、カメラに向かって走るオモチャの電車をAF-Cモードで連写して評価。「電子シャッター」は、高速な扇風機を撮影することで、動体歪みの発生具合をテストしました。スジが多く写るものほど歪みが生じがちです。

 

【解説する人】

カメラマン 永山昌克さん

雑誌やWEBで撮影と執筆を行っています。休日は、父としてミラーレス一眼で息子たちの成長記録を撮影。

 

「一眼レフ」から主役を奪う「ミラーレス一眼」の急成長

本格的なカメラといえば、従来は一眼レフでしたが、最近ではミラーレス一眼が取って代わりつつあります。販売ランキングを見ても、市場の主役がもはやミラーレス一眼なのは明らか。世界シェアではまだ一眼レフが優勢とはいえ、逆転するのも時間の問題でしょう。

 

そんな主役交代を象徴するような製品がキヤノン「EOS Kiss M」です。Kissシリーズといえば、フィルムの時代からデジタルの時代まで、ファミリー向け一眼の定番として人気を集めているロングセラー機。それがついにミラーレス化したのです。

 

Kissの特徴である初級者でも迷わずに扱える操作性と安定感ある画質を継承しつつ、小さなボディに中級機に迫る高機能を凝縮。ミラーレス機にKissブランドを冠したことは、時代の流れと同社の意気込みの表れと言えます。

 

それを迎え撃つライバルは、ミラーレスの実績ではキヤノンを上回るパナソニックとオリンパスの新作。センサーサイズや画素数といったスペックではKiss Mに及びませんが、機能の豊富さや交換レンズの充実度では勝っています。

 

【その1】一眼の雄“Kiss”がついにミラーレスに出陣

キヤノン

EOS Kiss M

実売価格9万5580円(15-45キット)、12万420円(ダブルズームキット)

EOS Kissブランドを冠する初のミラーレス一眼。外観は既存モデルのEOS M5と似ていますが、モニターがチルト式からバリアングル式に変更されたほか、操作部のレイアウトを初級者にも扱いやすいように一新。瞳AFや4K動画などにも対応し、撮影機能が大幅に強化されています。

SPEC●レンズマウント:EF-Mマウント●モニター:3.0型約104万ドット、バリアングル、タッチ対応●EVF:約236万ドット●2410万画素●秒約7.4コマ連写●常用最高ISO25600●サイズ:W116.3×H88.1×D58.7㎜/約387g

 

 

樹脂製ボディで、上級機ほど高級感はありません。EVFを内蔵しながら小型軽量ボディを実現したのは魅力大。

 

画質:未評価(※)

APS-Cセンサーと新開発エンジンを搭載

APS-Cサイズの有効2410万画素センサーと新エンジンDIGIC 8によってクリアで色ノリのいい発色を実現。押すだけのフルオートでも見栄えのいい画質が得られそうです。

 

AF:未評価(※)

センサーの全画素がAFと撮像の働きを兼ねる「デュアルピクセルCMOS AF」によってスピーディなAF駆動を達成。動きのある被写体にもサクサクとピントが合います。

 

電子シャッター:未評価(※)

シーンモードから「静音撮影」を選択することで、電子シャッターによる無音撮影ができます。ただし、その際は絞りや感度の選択、連写などはできず、カメラまかせになります。

 

【プロのイチ押し機能!】

シビアにピントを合わせる瞳AFに対応

人物の顔を検出した状態であれば瞳の部分にピンポイントでフォーカスを合わせる「瞳AF」に対応。同社ミラーレスでは初の搭載で、ポートレート撮影が快適になりました。

↑2瞳AF使用時は、モニターに顔検出の枠と瞳検出の枠の両方が表示されます

 

※:EOS Kiss Mの作例はすべて試作機で撮影したものです。そのため、評価を行っていません

 

 

【その2】独自のチルト式EVFで自在にスナップを楽しめる

 

パナソニック ルミックス

GX7 Mark

実売価格11万9750円(レンズキット)

2016年に発売されたGX7 MarkⅡの後継機。チルト式EVFを内蔵しつつ、センサーの高画素化や撮影機能の強化を実現。手ブレ補正は、ボディ内5軸+レンズ内2軸で強力。グリップには手触りの良いシボ素材が張られ、ホールド感も良好です。

SPEC●レンズマウント:マイクロフォーサーズ●モニター:3.0型約124万ドット、チルト、タッチ対応●EVF:約276万ドット●2030万画素●秒約6コマ連写●常用最高ISO25600●サイズ/質量:W124×H72.1×D46.8㎜/約450g

 

このクラスとしてはボタン類が多めで、直感的に操作できます。柔軟なカスタマイズに対応する点も魅力。

 

前機種で省かれたEVFのチルト機構が復活。最大90度可動でローアングル撮影がしやすいです。現状、GX7特有の機構となります。

 

画質:★×4

新センサーで細部まで解像!自然な発色も◎

前モデルよりも高画素化された有効2030万画素の4/3型Live MOS センサーによって、細部まで比較的くっきりと描写できた。発色にクセはなく、素直で自然な色再現。ISO3200くらいまでなら気になるノイズも見られませんでした。

 

AF:★×5

位相差AF非対応も動体予測に優れた高精度なAFを搭載

AFテストの合焦率は93%と好成績を記録。独自の空間認識技術を用いたコントラストAFを採用し、動体予測や顔・瞳認識にも対応。好きな測距点を登録できるカスタムマルチAFも便利です。

 

電子シャッター:★×4

撮影シーンに応じてメカ/電子シャッターの自動切り替えも可能

撮影メニューのシャッター方式では「自動切り替え/メカシャッター/電子シャッター」の3種類が選択できます。動体歪みの度合いは少なめ。歪みが気になる場合はメカシャッターを使うといいでしょう。

 

【プロのイチ押し機能!】

モノクロ撮影をとことん楽しめる

発色傾向をカスタマイズする「フォトスタイル」の新モードとして「L.モノクロームD」に対応。ハイライトとシャドウを強調しつつ、階調豊かなモノクロ表現が楽しめます。

↑「L.モノクロームD」では、フィルム風になる粒状感も調節可能です

 

【その3】高品位なデザインと豊富なアクセが魅力

オリンパス

PEN E-PL9

実売価格10万5840円(ダブルズームキット)

女性や若年層から絶大な支持を得ているPENの最新作。2016年発売のE-PL8から撮影機能が強化されたほか、よりビギナーに親しみやすいように操作系を改良。SNSとの連携機能や4K動画への対応、多彩なアクセサリー群も魅力です。

SPEC●レンズマウント:マイクロフォーサーズ●モニター:3.0型約104万ドット、チルト、タッチ対応●EVF:非搭載●1605万画素●秒約4.8コマ連写●常用最高ISO25600●サイズ/質量:W117.1×H68×D39㎜/約380g

 

EVFは非搭載。チルト式の液晶は下方向に最大180度まで可動し、自分撮りもスムーズに楽しめます。

 

E-PL8ではストロボを外付けとしていましたが、本機は天面にポップアップ式ストロボを内蔵。使い勝手がよくなりました。

 

画質:★×3

低ノイズな高感度画質とクリアな発色は好印象も控えめな画素数が惜しい

最新モデルにしては画素数が有効1605万画素と控えめに感じられます。わずかな差とはいえ、2000万画素クラスに比べて細部表現はやや劣ります。クリアで抜けのいい発色は好印象で、高感度画質についてもISO3200くらいまでは十分実用的。

 

AF:★×5

コントラストAFながら優秀な合焦率を記録し瞳AF機能にも対応

AFテストでは、合焦率92%と優秀な成績を記録しました。AFは121点の測距点を持つコントラストAFで、顔優先AFや瞳優先AF、9点のグループターゲットAFなどにも対応しています。

 

電子シャッター:★×4

通常モードでは電子シャッターは使えませんが、アドバンスフォトモードの「静音撮影」を選ぶと、作動音がしない電子シャッターによる撮影が可能になります。動体歪みの度合いは合格レベルです。

 

【プロのイチ押し機能!】

さらに充実した16種類のアートフィルター

特殊効果によって雰囲気のある写真を手軽に撮れるアートフィルターに「ネオノスタルジー」が追加。ノスタルジックな雰囲気と現代性が融合したユニークな効果です。

 

↑アートフィルターの設定画面では、効果を確認しながら選べます