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2018/4/24 19:30

手のひらサイズの万能カメラ!! 小型・高画質・高倍率の3拍子揃った「LUMIX TX2」実写レビュー

望遠撮影を手軽に楽しみたい、でも大きなカメラは持ちたくない。でもやっぱり画質に妥協はしたくない……。そんな欲張りな願いを持つ人に最適なカメラが登場しました。3月に発売された、パナソニックのコンパクトデジカメ「LUMIX TX2」です。今回は従来機「LUMIX TX1」との比較を交えつつ、実写レビューをお届けしましょう。

↑パナソニック「LUMIX TX2」。実売価格は10万1920円(2018年4月時点) ●撮像素子:1.0型、有効2010万画素MOSセンサー ●レンズ:24-360mm相当F3.3 – 6.4(35mm判換算) ●常用感度:ISO125~12800 ●大きさ・重さ:約111.2×66.4mm×45.2mm・約340g

 

【基本スペック・外観をチェック!】

携帯性を損なわずに光学15倍ズーム&高画質を実現! ホールド感も向上

近ごろのコンパクトデジカメは、スマホとの差別化のため、ズーム倍率やセンサーサイズにこだわった機種が増えています。ただし、ズームの高倍率化やセンサーの大型化を進めるとボディが大きく重くなり、コンパクトデジカメ本来の特徴である携帯性が損なわれるというジレンマもあります。

 

そんななか、パナソニックの新作「LUMIX TX2」は光学15倍ズームと1.0型センサーを搭載しながらも、手のひらに収まる小型軽量ボディを実現。2016年に発売された従来機「LUMIX TX1」から基本デザインを継承しつつ、ズームの倍率アップやファインダーの精細化、撮影機能の強化などさまざまな進化を遂げています。

 

まずはTX2の外観を、既存モデルTX1と比較しながらチェックしていきましょう。新旧2台を並べた場合、ひと目見てわかるのはボディ前面にラバーグリップが追加されたこと。これによってホールド時の安定感が向上。TX1も決してホールド感は悪くありませんが、2台を手に取って比べるとラバーによる滑り止めの効果は明らかです。

↑左が既存モデルTX1で、右が新モデルTX2(以下も同じ)。TX2には、赤いライン入りのラバーグリップが追加されており、ホールド感が向上。前面右下の「L」のマークは省かれた

 

↑天面のダイヤルまわりのデザインもほぼ前モデルを踏襲。細かな点ですが、TX1ではファインダー上にあったパナソニックのロゴが、TX2ではボディ天面に移動しています

 

↑ストラップの金具の形状や、リング部のローレット、スピーカーの穴なども変更されています

 

↑液晶モニターは、TX1(左)は3型/約104万ドットですが、TX2(右)では3型/約124万ドットへと精細化。視認性が向上しています

 

↑ボタンやダイヤルの基本レイアウトは継承。メニューUIは改良され、一画面の情報量が増えているのがわかります

 

TX2の外形寸法は幅111.2×高さ66.4×奥行45.2mm。TX1の幅110.5×高さ64.5×44.3mmに比べると、それぞれがわずかに拡大しています。重量は、30g増えて約340g(バッテリー、カードを含む)。ズーム倍率が10倍から15倍へと大きくアップしたにもかかわらず、サイズと重量の増加を最小限に抑えた点はお見事です。

【注目ポイントをチェック!】

特筆すべきはズームの倍率アップとファインダーの強化!

TX2最大のウリといえば、なんといっても進化した光学15倍ズームです。TX2のレンズの焦点距離は、35mm換算で24~360mm相当。TX1の25~250mm相当に比べると、ワイド端とテレ端の両方が拡張。広角撮影にも望遠撮影にも、より強くなっています。

↑TX1で撮影。ズームのワイド端(25mm相当)

 

↑TX2で撮影。ズームのワイド端(24mm相当)

 

↑TX1で撮影。ズームのテレ端(250mm相当)

 

↑TX2で撮影。ズームのテレ端(360mm相当)

 

ただし、レンズの開放値は、TX1がF2.8~5.6であるのに対して、TX2ではF3.3~6.4へとスペックダウン。ワイド端もテレ端も約1/3段強暗くなったのは少々残念ですが、サイズと重量を抑えるためには仕方ないのかもしれません。とはいえ、上の写真を見ていただくとわかるとおり、特に望遠側の強化は目覚しく、写真表現の幅が大きく広がったと言えるでしょう。

 

ズーム倍率の拡大に加え、もう1つの大きな改良といえるのがファインダーの進化です。TX1のファインダーは0.2型/約104万ドット/倍率1.25倍であるのに対して、TX2では0.21型/約233万ドット/倍率1.45倍。はっきりとわかるくらい、表示の大きさと精細感が高まり、見やすさが向上しています。

↑大型化と高解像度化、高倍率化を果たしたTX2の電子ビューファインダー

 

【撮影機能をチェック!】

Bluetoothでスマホ連携がラクラク! 「4Kフォト」には新機能も

続いて撮影機能を見ていきましょう。機能面での注目は、Bluetooth 4.2(Bluetooth Low Energy)に対応し、スマホやタブレットと常時接続が可能になったこと。専用アプリ「Panasonic Image App」を使用して、リモート撮影や画像転送、GPS情報の付加などがスムーズに行えます。

↑初回のみセットアップメニューの「Bluetooth」からペアリングを行えば、2回目以降はアプリ側から素早くカメラのコントロールができます

 

↑専用アプリ「Panasonic Image App」の画面。Wi-Fi接続によるリモート操作のほか、よりタイムラグの少ないBluetoothによる「シャッターリモコン」を新搭載

 

パナソニック独自の、4K動画を写真撮影に応用した「4Kフォト」機能も進化しました。これまでと同じ4Kフォトモードやフォーカスセレクト、フォーカス合成に加えて、新たに「軌跡合成」機能を搭載。これは4K撮影した連写ファイルから任意のコマを選択し、被写体の動きを軌跡として1枚の写真に合成する機能です。

↑再生メニューでは、新機能の「軌跡合成」のほか、花火や星空の撮影に役立つ「比較明合成」、4K連写ファイルから5秒分の写真を一括保存する「4Kフォト一括保存」などが選べます

 

そのほかには、質感重視のモノクロモード「L.モノクローム」や、好きな機能を登録できるマイメニュー、ファインダーの表示速度を落とす「ECO 30fps」モードなどが追加されています。

↑発色傾向を調整できるフォトスタイルには「L.モノクローム」が追加。これは「LUMIX GX7 Mark II」などのミラーレス一眼にはすでに搭載されているもので、立体感や質感を重視したモノクロ表現が味わえます

 

↑使用頻度が高い項目を最大23個まで登録できる「マイメニュー」にも対応

 

↑バッテリーはこれまでと同じくリチウムイオン充電池「DMW-BLG10」。モニター使用時の撮影可能枚数は、TX1の300枚からTX2では370枚へと大幅に増えています

【画質を実写チェック!】

使って実感! 高感度画質やマクロ性能が向上

最後に、実写を比較してみましょう。TX2の撮像素子は、TX1と同じく1.0型/有効2010万画素の高感度MOSセンサーです。感度も変わらずISO80~25600に対応(常用感度はISO125~12800)。センサーまわりのスペックに目立った違いはありませんが、実写を見ると、高感度ノイズが大きく低減されていることがわかります。

<高感度を比較>

↑TX1で撮影。ISO400

 

↑TX1で撮影。ISO3200

 

↑TX1で撮影。ISO25600

 

↑TX2で撮影。ISO400

 

↑TX2で撮影。ISO3200

 

↑TX2で撮影。ISO25600

 

また、最短撮影距離が5cmから3cmに短縮した点もうれしい進化。これにより、従来より被写体にグッと近づいて大きく写すなど、撮影自由度が広がりました。

<最短撮影距離を比較>

↑TX1で撮影。最短撮影距離5cm

 

↑TX2で撮影。最短撮影距離3cm

 

【まとめ】

3つの利点を兼ね備えた“万能”スナップカメラ

トータルとしては、高倍率ズームと1.0型センサー、小型軽量ボディという3つの利点を兼ね備えたスナップカメラとして、いっそう完成度が高まっています。個人的には、液晶のチルトやバリアングル機構に非対応なことが惜しく感じるものの、それ以外の満足度はとても高く感じました。風景からポートレート、動体、接写、旅行まで幅広い用途に役立つ、万能性の高いカメラと言えるでしょう。

↑TX2で撮影。ズーム倍率とマクロ性能に優れるので、植物などのクローズアップ撮影用にも最適

 

↑TX2で撮影。ここでは360mm相当の望遠を生かして、圧縮した構図を狙ってみました

 

↑TX2で撮影。360mm相当のテレ端では、大きなボケを生かした作画も楽しめます