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2018/5/1 13:35

意外と手軽!?「新4K8K衛星放送」見るのに“本当に必要なもの”はなにか

2018年12月1日から、「新4K8K衛星放送」が始まる。色々準備も必要なものだが、本当に視聴に必要なものはなんなのだろうか? そして、どんなものが見られるのだろうか? ここで改めてまとめておきたいと思う。最終的に「すべてを見よう」とするとなかなかにハードルが高いものなのだが、ちょっと視点を変えると、別の姿も見えてくる。

 

8Kより「高画質な4K」が主軸、録画もOKに

「新4K8K衛星放送」は、現在の衛星放送のうち、いわゆるBS放送と、110度CS放送を再編、付加価値を追加するために生まれるものだ。スカパー!向けに、2015年3月より124/128度CS放送で「スカパー! 4K」という4K放送が始まっているが、それとは別のものである。いま、4K放送といえば、「新4K8K衛星放送」のことと考えてもいいだろう。現状、地上波では4K放送を導入する予定はなく、放送における最高画質の放送は「新4K8K衛星放送」になる、と思っていただいてかまわない。

↑ひと足先に本放送を開始した「スカパー! 4K」

 

4Kテレビが普及しつつあることから、「次は8K」というイメージを持つ人も多いだろう。そこに「新4K8K衛星放送」が登場するので、この放送の主軸を8K、と思っている人も意外と多い。

 

だが、そこは明確に違う。

 

今回の新放送の主軸は「4K」であり、8Kについては、NHKが1つのチャンネルで放送を行うに過ぎない。コンテンツ制作の現場では8Kの利用も増えていくだろうが、「4Kでのコンテンツ体験がようやく定着する」のがいまのフェーズ、といっていい。

 

特に、今回の4K放送は「画質」が非常に良い、という点が重要だ。意外に思われるかもしれないが、過去のデジタル放送は、同じ解像度のコンテンツの中では必ずしも「高画質」とはいえなかった。映像を伝送するために必要な帯域が狭く設計されていたからだ。しかし今回の4K放送は、ビットレートが「最大33Mbps」とかなり高い。ディスクメディアであるUltra HD Blu-ray(最大108Mps)にはかなわないが、ネット配信の4K(一般的には十数Mbpsで、もっとも恵まれた環境の場合でも25Mbps程度)よりはずっと高く、しかも品質が安定している。この点は利点といえる。

 

こうした高画質コンテンツを「録画できる」のもポイントである。スタートした段階ではハードディスクへの録画が中心で、ディスク記録はまだだが、これまでのBS放送と同じく、ダビング10もしくはコピーワンスでの録画記録が可能になっている。(実際の運用は放送局に委ねられている。この点も現状と変わらない)新4K・8K放送は規格策定の段階で各社の思惑が錯綜し、一時は「録画できなくなる」との話が出たこともある。だが、結果的には、消費者視点で見ると、ディスク記録が遅れていること以外は、これまでと似た形に落ち着いた。

 

ちなみに、暗号化と契約管理に使う「CAS」という仕組みには、これまで使われてきた「B-CASカード」とは違う、「ACAS」という仕組みに変わる。基本的には、ICカードではなく、本体に内蔵するICチップ形式になるが、当初は取り外し可能な子基板のような形で提供される場合もあるという。CASそのものの存在や、ダビング10の存在に関する問題はあるものの、4K放送だからその点が変わったわけではなく、継続されたような形になっている。

 

NHK+民放キー局の4K放送は意外とお手軽!?

もうひとつのポイントは、放送のほとんどが「CMによる無料モデル」である、ということだ。要は、民放キー局がこれまでの放送モデルをそのまま採用する、ということである。これには功罪両面があるが、消費者から見た場合、「追加費用を払わずに最新の4K映像を見れる」ことは、大きなポイントといえる。

 

では、見るためになにが必要なのか?

 

4Kテレビはあったほうがいい。HDR対応の放送もあるので、4K+HDR対応テレビであることが望ましい。ただし、チューナーをつなげれば従来のフルHD(2K)テレビでも見れるし、画質向上はわかるはずだ。

 

放送の方式が変わるので、4K放送対応のチューナーは必要になる。既存の衛星放送用チューナーでは視聴できない。当面はテレビに外付けのチューナーを付ける形が主流だろう。2018年中には4K放送対応チューナー内蔵のテレビも出てくるだろう。録画については、過去のレコーダーではできない。4K放送対応のチューナーやテレビがそれぞれ対応することになる。当面はUSB接続のハードディスクなどに記録することになるはずだ。

↑東芝は2018年3月に4K放送用チューナーの開発を発表。2018年秋に発売予定としている

 

ちょっと分かりづらいのが「アンテナ」である。新4K・8K放送では、衛星が使う電波帯こそ同じであるものの、一部のチャンネルで「左旋円偏波」という電波が利用される。これまでは「右旋円偏波」だったので、新たに対応が必要だ。

 

ただ、ここがポイントなのだが、「すべての新4K・8K放送が左旋ではない」。以下の図でおわかりのように、NHKおよび民放キー局が提供する4K放送については、これまでと同じ「右旋」が使われる。左旋に対応していないアンテナでも問題なく受信できるのだ。将来的に左旋アンテナへの対応は必要となるが、今すぐに変えないと4K放送が一切見られない、というわけではない。

↑従来のアンテナ設備でもNHK・民放6チャンネル分の視聴が可能(出典:東芝映像ソリューション)

 

↑左旋対応のアンテナを含む新しい設備を導入すると11チャンネルもの4K放送が視聴可能になる(出典:東芝映像ソリューション)

 

すなわち、(8Kでなく)4K放送を見たいのであれば、これまでの衛星放送が見れる環境に加え、「新4K放送対応チューナー」さえあればいい、ということになる。もちろん、できれば4K+HDRに対応しているテレビがあることが望ましい。また、すでに4Kテレビを買った人であっても、チューナーさえ用意すれば、テレビを買い換える必要はない。

↑開発中の東芝の4Kチューナー。外付けHDDへの4K放送録画機能も搭載する

 

4K放送にどれだけのコンテンツが集まるかは、まだわからない部分もある。しかし、4Kでのコンテンツ製作と調達が当たり前になっている一方で、日常的に見る地上波は2K、それもかなり画質の劣るものだった。だとすれば、付加価値のあるものから4K放送に移っていくのはある意味必然でもある。映画やスポーツ中継などは、4K放送がひとつの軸になっていくのではないだろうか。

 

4K放送は「未来のもの」ではなく、目の前にやってきた。大規模な投資が必要であるなら消費者としても二の足を踏むが、「BS放送のアップデート」という形に鍵っていえば、そこまでの出費ではない。だからこそ、4Kテレビに興味がある人は、正しい情報を理解した上で年末を待っていて欲しい、と思うのだ。

 

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