富士フイルムは5月15日、スクエアフォーマットのフィルムに対応したインスタントカメラ“チェキ”の新モデル「instax SQUARE SQ6」(以下「SQ6」)を発表。発表会では同社のイメージキャラクターを務める広瀬すずさんが登壇し、その魅力を語りました。
スマホの存在が逆風どころか追い風に!?
発表会ではまず、富士フイルムの代表取締役社長・COO、助野健児氏が登壇し、インスタントフォト分野における事業戦略を語りました。なかでも興味深かったのは、チェキシリーズが2017年度に過去最高の販売台数を記録したという点です。欧米での販売が好調なことに加え、国内や中国、東南アジアなどでも堅調に推移しているとのこと。スマホカメラに押されるカタチで苦戦を強いられているカメラ業界において、なぜチェキはこれほどまでに好調を維持しているのでしょうか?
続いて登壇したイメージング事業部長、岩﨑哲也氏の話のなかに、そのヒントがありました。曰く、「思い出として残すだけでなく、スマホやSNSの普及によって写真はコミュニケーションの手段としても使われるようになっている」(岩﨑氏)とのこと。その点、その場で手軽にプリントできるチェキはコミュニケーション手段としてはぴったり。さらに、ちょっと懐かしさを感じさせるようなフォトジェニックな仕上がりも、デジタルネイティブ世代から人気を集めているそうです。
岩﨑氏は、これまでは昔を懐かしむような一過性の人気なのではないかという声もあったとし、「最近では写真を撮った際の雰囲気・背景まで表現できる新たなジャンルとして確立しつつある」と今後のさらなる飛躍に自信を見せました。
20代女子の本音は?
続いて、新製品の詳細についてご紹介していきたいところなのですが、チェキのメイン購買層は10~30代女性。SQ6は男性が持っていも違和感のないメタリックなデザインとはいえ、やはり女性の購入者のほうが多いと予想されます。筆者(男/フォトジェニックとは縁なし)のレビューでは、肝心なところで外してしまう可能性が……。
ということで、ちょうど編集部に研修で来ていた新入社員のTさん(20代女性/チェキ愛用歴あり)に発表会に同行してもらい、率直な感想を聞いてみました。
SQ6の話に入る前に、そもそものチェキの魅力についてはどう感じているのでしょうか。
「学生のときに友だちとの旅行などで写真を撮影すると、印刷して配るのが大変でしたが、チェキならその場で簡単に写真を共有できるのでとてもお手軽だと思います。また、遠くに住んでいる親戚に会ったときや結婚式などのイベントのように、通常すぐに写真そのものを渡せないような場合でも、チェキならその場で写真をプレゼントできるのは素敵だと思いました」(Tさん)
確かに、友人との旅行はチェキが大活躍する定番シーンですよね。やはり、思い出をカタチとして残せる、しかもその場でプリントして共有できる、というのは大きな魅力です。
また、チェキの仕上がりや描写については、こんなコメントも。
「じんわり現像する感じが、お手軽なのに“カメラで作品を作っている感”があってオリジナリティが出せると思います。仕上がりも、インスタみたいな加工をわざわざしなくてもオシャレになって便利」(Tさん)
やはり、チェキの独特な風合いは好評なようです。今回のSQ6には、そんなオリジナリティを出すための機能が満載。2つの画像を重ねることができる「二重露光モード」や、最短30cmまでの近距離撮影が可能な「マクロモード」、風景スナップに適した「遠景モード」など豊富な機能を備えるほか、発光部に取り付けてフラッシュの色を変えられる「フラッシュカラーフィルター」を同梱しています。
では、SQ6の最大のポイントでもあるスクエアフォーマット(真四角プリント)についてはどうでしょう? 昨年11月に発売されたデジタルイメージセンサー搭載のハイブリッドインスタントカメラ「 instax SQUARE SQ 10」で初採用されたこのスクエアフォーマットですが、今回は新たにフレーム部分を単色無地のブラックとしたフィルムもあわせて発表されました。
「スクエアだと、より一層インスタっぽくなってかわいいと思います。黒いフレームは少し大人っぽいので、比較的年齢が上の大人の女性は白フレームより黒を好みそう。または、鮮やかな写真と黒フレームのコントラストをチョイスするなど、白と黒を使い分けたりするのも楽しいと思います」(Tさん)
岩﨑氏によると、SQ6の開発の狙いとして「自己表現に最適なスクエアフォーマットを、もっと多くの人に楽しんでもらいたい」という想いがあったそう。想定価格も約3万円だったSQ10から半分近くになっており、黒フレームの追加も含め、スクエアフォーマットはチェキの新定番としてさらに浸透していきそうな予感がします。
では、逆に不満な点はあるのでしょうか? 忖度なしのリアルな意見を聞いてみました。
「サイズ感は鞄に入れられるくらい、もう少し小さいとうれしいです。チェキをおしゃれアイテムとしてお出かけに持っていく人も多いと思いますが、首や肩に鞄と一緒にぶら下げるのは面倒ですし、天候や服装によっては持って歩くことに制限が出そうだと思いました」(Tさん)
確かに、SQ6の大きさは、118.7mm×128.1mm×58.1mm(突起部除く)で、決してコンパクトというわけではありません。ただ、重くはないので、アクセサリー類を活用し、その存在感を生かしてファッションの1つとしてコーデに取り入れやすいとも言えます。一方、Tさんの言う「鞄と一緒にぶらさげたくない」という“収納派”の意見もごもっとも。スクエアフォーマット対応のミニサイズ版が登場するとおもしろいかもしれませんね。
発表会で提示された資料やこうしたリアルな声を聞く限り、現代の写真文化や需要と合致したチェキの人気はまだまだ続きそう。季節問わず楽しめるチェキですが、これからの行楽シーズンには特におすすめです。スマホ撮影もいいですが、チェキで思い出をカタチにしてみませんか?
(C)富士フイルムinstax“チェキ”新製品発表会