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2018/10/12 19:30

パナソニックの高級コンデジ「LUMIX LX100Ⅱ」発売直前濃厚レビュー!

コンパクトデジタルカメラとしては大きいフォーサーズ型(4/3型)のCMOSセンサーを搭載したパナソニック「LUMIX LX100」が、「LUMIX LX100Ⅱ(以下、LX100Ⅱ)」にモデルチェンジ。発売を直前に控えるこの注目機を、ひとあし早く実写でチェックしてみた。

 

【今回紹介するカメラはコレ!】

パナソニック
LUMIX LX100Ⅱ
実売想定価格12万4070円(10月18日発売予定)

有効1700万画素のローパスフィルターレスセンサーを搭載した、高画質が自慢のコンパクトデジタルカメラ。レンズはライカ銘を冠した大口径レンズで、35mm判換算で24~75mm相当をカバーする(光学3.1倍ズーム)。

SPEC●画素数:有効1700万画素 ●レンズ:24-75mm相当F1.7-2.8  ●常用感度:ISO200~25600 ●モニター:3.0型約124万ドット、 タッチパネル ●ファインダー(EVF):約276万ドット ●大きさ/重さ:約115.0mm×66.2mm×64.2mm/約392g

 

コンパクトデジタルカメラは、レンズ交換式カメラより気軽に持ち歩けるのがメリット。LX100Ⅱは、小型で大口径を持ち、しかも4/3型センサーなので、いつでも作品が撮れる。上の写真でも、道を歩いていて植物のグリーンと自転車のオレンジに惹かれ、すぐLX100Ⅱを構えてシャッターを切った。

 

基本デザインは踏襲しつつ、操作性にうれしい進化

従来機「LX100」は、パナソニックの一眼カメラ「LUMIX Gシリーズ」と同じサイズのイメージセンサーと、F1.7-2.8の大口径で24~75mm相当をカバーするLEICA DC VARIO-SUMMILUXレンズを持ちながら、コンパクトカメラらしい小型軽量が話題になったモデル。

 

今回のLX100Ⅱのデザインも、そのLX100を継承。一見すると見分けがつかないほどだが、外観の仕上げがマットブラックだったLX100に対し、LX100Ⅱは光沢感のあるブラック。クラシックカメラのブラックペイントに近い雰囲気だ。

↑従来モデルを踏襲したデザイン。電源をオンにすると、鏡筒が伸びてくる。レンズ先端は43mm径のフィルターに対応。またオプションの自動開閉レンズキャップを装着すれば、レンズキャップを付け外しする必要がない。ただしフィルターとの併用はできない

 

そしてグリップのシボ革も変更されている。握るとLX100よりカメラらしいグリップ感。先代LX100と比べて、高品位がさらに伝わる仕上がりになった。

↑グリップのシボ革が変更され、カメラらしい雰囲気がアップ。ホールドした感触も申し分ない。また光沢感のあるブラックボディも美しい仕上がりだ

 

操作性もLX100と同様に、ダイヤルを重視したアナログ操作が中心となっている。調整頻度の高い露出補正も上面のダイヤルで行うが、補正範囲は±3EVまで。しかしファンクション(Fn)ボタンを露出補正に割り当てると、Fnボタンとコントロールダイヤルで±5EVまでの露出補正が可能になる。しかもその場合は上面の露出補正ダイヤルはオフになるため、誤操作の心配がない。

↑ファンクション(Fn)ボタンを露出補正に割り当てると、Fnボタンとコントロールダイヤルで±5EVまでの露出補正が可能になる

 

↑絞りの設定は絞りリングでアナログ操作が楽しめる。また手前のレバーでアスペクト比が変更できる。4/3型の標準4:3のほか、3:2、16:9、1:1が選択可能。マルチアスペクト(後述)なので、アスペクト比を変更しても画角の変化が少ない

 

操作性に関する大きなトピックが、タッチパネルの採用だ。LUMIXといえば、タッチパネルが当たり前のように感じるが、実は先代LX100はタッチパネルではなかった。LX100Ⅱで、ようやくほかのLUMIXと同様のタッチ操作が可能になった。

↑新たに採用されたタッチパネル。各種設定から測距点選択、シャッターまでタッチで行える。ほかのLUMIXと同じ感覚で操作できるのがうれしい

 

タッチで機能設定はもちろん、タッチAFやタッチシャッター、さらにファインダーを覗きながら親指で測距点を移動できる「タッチパッドAF」機能も備える。また再生時は、画像の送る、戻るのほか、ピンチイン、ピンチアウトで縮小や拡大もできる。タッチ操作が基本のスマートフォンが普及した現代では、コンパクトデジタルカメラにタッチパネルは必需機能といえるだろう。

進化したイメージセンサーの実力を実写チェック!

LX100Ⅱで大きく進化したのがイメージセンサーだ。LX100では4/3型の有効1280万画素だったが、LX100Ⅱは4/3型の有効1700万画素にアップ。1200万画素クラスではA3ノビのプリントに不満がある人でも、1700万画素あれば十分。またGX7 MarkⅢなど、2000万画素クラスのレンズ交換式カメラと組み合わせやすいのもメリットだ。

 

レンズはLX100と同じF1.7-2.8で24~75mm相当のLEICA DC VARIO-SUMMILUX。画素数は上がっているが、細部の見直しだけで描写性能をクリアしているとのこと。

 

実写でチェックしてみたが、4/3型の大きなCMOSセンサーを搭載しているおかげで、コンパクトカメラとは思えないほど高精細で階調再現も豊かな画質が得られた。カリカリした硬い写りではなく、優しい雰囲気を感じる描写。それでいて、ピントが合った部分はしっかり解像している。

↑1700万画素になったCMOSセンサーは、コンパクトカメラとは思えないほど高精細な写真が撮れる。またレンズもシャープ。細かい部分までしっかり再現している

 

↑イメージセンサーが大きいと、高感度に強いのもメリットだ。こちらは電球の灯りでクラシックカメラを撮影。感度はISO3200だ。拡大するとやや高感度らしさはあるが、ノイズは目立たず、被写体のディテール再現も優れている。常用できるほど高い画質だ

 

逆光にも強く、フレアやゴーストが出にくいのは、さすがライカブランドのレンズだ。マクロモードにすればワイド端(=24mm相当)で3cm、テレ端(75mm相当)で30cmの近接撮影が可能。絞り開放で被写体に迫れば、大きなボケを生かした写真が楽しめる。

↑画面に太陽が入った強い逆光。画面右側の建物にわずかなゴーストは見られるが、気にならないレベル。しかもフレアは出ていない。ライカレンズの優秀さがわかる

 

↑鏡筒横にフォーカス切替スイッチを装備。通常のAFモードでは最短撮影距離は50cmだが、マクロモードにするとワイド端で3cmの近接撮影が行える

 

↑フォーカスをマクロモードにして、ワイド端でヒガンバナをクローズアップ。絞りはF1.7開放。24mm相当の遠近感を持ちながら、大きなボケが得られた

 

↑マクロモードでのテレ端の最短は30cm。逆光で葉の透明感を狙った。絞りはF2.8の開放。丸ボケに輪線がなく、自然なボケ味なのに注目だ

 

ボケの形も美しく、非球面レンズによく見られる、丸ボケの中にぐるぐるした渦がある輪線ボケ(オニオンリング)がない。実に素直なボケ味だ。

 

本格的なモノクロモードや、いまや貴重な「マルチアスペクト」に対応

LX100と同じく、LX100Ⅱもマルチアスペクトを採用しているのも大きな特徴。マルチアスペクトは、アスペクト比を変えても、ほぼ同じ画角で撮影できる機能だ。

 

通常は4:3を3:2に変更すると、4:3の画面の上下をカットする形になるため画角が狭くなる。例えば4:3で24mm相当でも、3:2では24mmより望遠寄りになってしまう。

 

しかしマルチアスペクトは、イメージセンサー上の画面サイズを小さくすることで、4:3で24mmなら、3:2でも24mmの画角で撮れるのだ。これは特にAPS-Cやフルサイズなど、3:2が基本の機種を使っている人に便利な機能。4/3型で3:2にしても、慣れた画角で撮影できる。またマイクロフォーサーズとフルサイズのように4:3と3:2を併用している人にもありがたい。

【4:3】

↑アスペクト比4:3で撮影。焦点距離は、35mm判換算で35mm相当だ。マイクロフォーサーズユーザーにはお馴染みのアスペクト比

 

【3:2】

↑同じ位置でアスペクト比をフルサイズやAPS-Cで標準の3:2に変更した。通常なら上下が切られてしまうが、画角が変化しないため、4:3とほぼ同じ印象の写真だ。4:3で35mm相当は、アスペクト比を変えても35mm相当で撮れる

 

ちなみにだが、イメージセンサー上の画面サイズを小さくしているので、同じ画角ならマイクロフォーサーズより焦点距離が短くなる。35mm判換算で24mm相当はマイクロフォーサーズでは12mmだが、LX100Ⅱは10.9mmだ。とはいえ、LX100Ⅱはレンズ固定なので、実用上は何も違和感がない。

 

以前はGH2やLX7などマルチアスペクト機能を搭載した機種はあったが、現在はLX100Ⅱのみなので貴重な存在だ。

 

そして見逃せないのが、LUMIX G9 PROやGX7 MarkⅢなどにも搭載されている本格的なモノクロモード「L.モノクローム」や、深みのあるモノクロ写真になる「L.モノクロームD」が選べることだ。どちらも3段階の粒状機能を備え、フィルムライクなモノクロ作品がつくれる。モノクロファンにはうれしい機能だ。

↑LX100Ⅱには、新たにL.モノクロームとL.モノクロームDが搭載され、本格的なモノクロ写真が楽しめる。しかも粒状機能も装備。ここでは最も粒状が目立つ「HIGH」にしている

 

↑L.モノクロームDで撮影。粒状は「HIGH」。ハイライトからシャドーまでの階調が綺麗だ。また粒状機能によりフィルムライクな仕上がりになった

 

機能面ではLUMIXではすっかりお馴染みになった4K PHOTOモードも搭載された。4K PHOTO技術を生かしたフォーカスセレクトやフォーカス合成、軌跡合成など、LX100から大幅に表現力が増した。

 

さらにBluetooth 4.2にも対応し、スマートフォンとペアリングが可能。撮影時には転送速度が速いWi-Fiに自動で切り替わり、スマホとのスムーズな連携ができる。撮影した写真をすぐSNSにアップしたい人に便利だ。

 

街スナップや旅撮影におすすめ

24~75mm相当の大口径レンズを持つコンパクトカメラは、街のスナップに最適だ。また携帯性と高画質を両立させているので、荷物を少なくしたい旅写真にもおすすめできる。

 

そしてマイクロフォーサーズはもちろん、マルチアスペクトを生かして、3:2が標準のフルサイズ機やAPS-Cサイズのレンズ交換式カメラのサブカメラにもピッタリだ。

 

外観こそLX100を踏襲しているためマイナーチェンジに見えるが、画素数がアップしたイメージセンサーやタッチパネル、本格的なモノクロモードや4K PHOTOなど、フルモデルチェンジと言っても過言ではない進化を遂げている

 

協力:楽天市場