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カメラ
2018/12/18 16:00

バスケ撮影で「FUJIFILM X-T3」は雄弁に語る。“動きモノにも強いミラーレス”ここにアリ!

[対談]スポーツに強いヒミツは進化した「AF」にアリ!

FUJIFILM X-T3は、従来モデルに比べてAFの合焦速度や精度が圧倒的に高くなっています。それはプロカメラマンである山田高央さんも実感しており、「屋内スポーツで使えるAFになった」と太鼓判を押すほど。では、具体的には、どういった点が変わって高性能化を実現しているのでしょうか? ここからは、富士フイルムでAFの開発に携わっている、R&D統括本部 光学電子映像商品開発センターの桜武仁史さんと山田高央カメラマンの対談をお送りします。

↑富士フイルム株式会社R&D統括本部 光学電子映像商品開発センターの桜武仁史さん(左)と山田高央さん

 

山田高央カメラマン(以下、山田):早速ですが、FUJIFILM X-T3はAFが特に良くなっていると感じるのですが、技術的にはどういった進化を遂げたのでしょうか?

 

桜武仁史さん(以下、桜武):弊社のカメラは、画質重視でレンズが設計されています。そのため、これまでAFは多少不利になるケースも出ていました。それが、X-T1やX-E2の頃から像面位相差AFが入り、AFが速くなってきました。ただ、当時は新しい技術ということで、未熟な部分もあったと思います。

そのオールラウンドカメラであるX-Tシリーズが進化するなかで、センサーやアルゴリズム、画像処理エンジンなどが着実に進化。最新世代であるX-T3では216万ドットの位相差画素が配置され、画面全体での像面位相差AFが可能になりました。しかも、エンジンの処理能力が前世代よりも約150%向上して、これまで苦手だった、あまり模様がないような被写体に対しても位相差AFで素早く合わせられるようになりました。

↑「弊社のレンズは単焦点の大口径レンズが多いこともあり、精度と速度を両立させるのは難しく、これをクリアするのは思った以上に大変でした」と開発時の苦労を語る桜武さん

 

山田:瞳認識AFの精度も高いですよね。しかも、特に調整しなくてもデフォルトの状態で問題なく使えるのは、大変ありがたい。AF-Cのときのスピードも速すぎず、遅すぎずで使いやすいと感じます。アマチュアの方でもスポーツ撮影が楽しめるAFだと思います。

↑ポートレートや子ども撮影にも人気の顔認識/瞳認識AF。それぞれについてオン/オフが設定可能(写真は両方をオンにした状態)

 

桜武:顔・瞳認識AFについては、合焦率が200%アップしています。また、X-T3になって、顔認識、瞳認識含めて“喰いついたら離さない”と評されることが増えて、ようやく現場で使いやすいAFになったかな……と自負しております。

こうした精度や速度、粘り強さを向上させるために、1つのAFポイントを分割して240の測距情報が得られるようにし、その分布などから最終的な距離を演算するようにしています。X-H1(2018年3月発売の上位モデル)では60の測距情報でしたので、概ね4倍の情報が得られるようになり、精度や速度などの向上に寄与しています。

↑AFポイント自体が増えただけでなく、1つの測距点から得られる距離情報も多くなっています。画像処理エンジンの高速化で、取得情報の演算速度も速くなり、高精度・高速合焦が可能になりました

 

山田:AFがスッと素早く合うようになったことで、スポーツや動きモノであっても“撮ってみようかな”と思えるAFになりましたよね。今回のようなバスケットボールは屋内競技で動きも速いのでAFにはかなり厳しい状況ですが、参加者の方も十分撮影を楽しめたようです。

 

桜武:確かに、室内スポーツは、暗くて、速く動く被写体を、高感度で高速シャッターで撮る、というように、AFが非常に苦手な条件が揃っています。ただ、X-T3ではそうした点を何とかクリアしたいと考えて、様々な技術を投入しました。

 

山田:AF以外でいえば、ボディがすごく持ちやすくなったと感じたのですが、グリップが少し大きくなっていますか?

 

桜武:そうですね。従来機であるX-T2から形状を工夫するなどして、スリムさを保持しながら持ちやすい形状に仕上げています。

↑スリムボディながら手になじみやすいグリップ感も好評

 

山田:このホールディング性の高さも、撮ってみようかなと思わせてくれるポイントですよね。あと、EVFも高精細になって見やすいと感じました。

 

桜武:通常のEVF、LCDの表示はパネルに画像を1枚ずつ順次表示させるのが基本です。当社のEVF、LCD表示では、画像が部分的にでも表示できる状態になった場所から順次表示することで、画面表示の遅延を最小にして、滑らかに見えるように工夫しています。

 

山田:X-T3は正直、ミラーレスでここまで撮れるんだ! と思えるレベルで、バスケットボールに限らず、様々なものを撮ってみたくなる汎用性の高いカメラだと思います。最後に、桜武さんのおすすめポイントはありますか?

 

桜武:屋内スポーツなどの厳しい条件でも、AF面での“撮れ高”は、圧倒的に高くなっていると思います。これまで、プロの腕がないと撮れなかったシーンが撮れるようになっていると思うので、そうしたシーンを楽しんで撮っていただけたらと思います。

↑X-T3のAF性能について盛り上がる、桜武さんと山田さん。対談終了後も、ミラーレスの良さやXシリーズの魅力などについて語り合っていました

 

「ミラーレスは動きモノが苦手」を覆すオールラウンドな一眼カメラ

FUJIFILM X-T3を用いてのバスケットボール撮影会は、参加者の満足度が高く、作品も個性的な写真が多かったように思います。これは、初めて使うカメラながら参加者が十分に使いこなせていた証拠でもあるでしょう。サンロッカーズ渋谷の満原キャプテンも、想像していた以上に質の高い作品に感心していた様子で、カメラについても気に入ったようです。

 

従来のミラーレスカメラは、室内スポーツなどの撮影にはあまり向かないと考えられてきました。しかし、ここまで見てきたように、X-T3に関してはそのイメージに当てはまらないAF性能や連写性能を備えたオールラウンドなミラーレスカメラだといえます。

 

バスケットボールなどの屋内スポーツはもちろん、風景やスナップ、日常の記録まで、様々なシーンで活躍するX-T3をぜひ一度手にしてみてください!

 

■FUJIFILM X-T3の詳細を知るにはコチラ↓
https://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/x/fujifilm_x_t3/

 

撮影/我妻慶一

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