動画配信サービスの普及で、映像コンテンツを気軽に楽しめるようになりました。臨場感を一層高めるシアタースピーカーは、バー型が主流でしたが、首掛け型がいま勢いを増しています。2018年〜2019年の年末年始、買うべきはどちらなのでしょうか? 専門家がA/B/Cの3段階で評価します。
【テスト概要】
【設置性】
バータイプでは、ボディの形状や大きさ、セッティングのしやすさなどをチェック。首掛けタイプでは、装着感や着脱のしやすさに加えて、初期設定や充電のわかりやすさを検証しました。
【臨場感】
音の広がりや、定位感といったサラウンド性能を中心に、コンテンツ内の「現場にいる感覚」をどれだけリアルに感じられるかを重視。映像と音声がうまく融合しているかもチェックしました。
【聴き取りやすさ】
人のセリフがはっきりと聴き取れるか。また、ひとつひとつの音が周囲の音に埋もれることなく、きちんと聞こえているかを確認。大音量から小音量まで、様々なパターンで検証しました。
【機能性】
入出力方式やワイヤレス機能、対応するBluetoothコーデックといった付加機能をチェック。本体に備えるボタンやインジケーター、リモコンや専用アプリなどの操作性も確認しました。
【テストした人】
テクニカルライター 湯浅顕人さん
PC&AVのライター。好きな映画は自宅のホームシアターで楽しんでいます。物体の移動を感じる定位感を重視。
迫力を味わえるバータイプか手軽に使える首掛けタイプか
NetflixやAmazon Prime Videoなどの動画サービスが普及したことで、多くの人が高画質な映像コンテンツを手軽に楽しめるようになりました。一方で、薄型テレビに内蔵されているスピーカーは奥行きが確保できないため、十分な音質が得られません。
そこでいま需要が高まっているのが、手軽に音質を高画質に見合うクオリティへと改善できるシアタースピーカー。従来から人気の高い「バータイプ」に加えて、ワイヤレス接続してパーソナルに楽しめる「首掛けタイプ」が登場して話題を呼んでいます。
バータイプは音の広がりや迫力に優れますが、設置するにはテレビ前に一定のスペースを必要とする点がデメリット。価格も、首掛けタイプより高いです。また、バータイプでも、バーのみの製品と、低音を強化するサブウーファーが付属する製品があることにも注意。省スペース性を取るか、さらなる設置の煩わしさを我慢して低音の迫力を出すか、という選択を迫られます。
一方の首掛けタイプは、コンパクトで手軽に扱える点と、リーズナブルな価格が魅力。耳元で音が鳴るため一定の臨場感は味わえるものの、バータイプに比べると迫力やサラウンド感は少々劣ります。
<部屋いっぱいに広がるサウンドで映画館の迫力と臨場感を味わえるバータイプ編>
【その1】1本だけで広がりのある音を実現
ボーズ
Bose Soundbar 500
実売価格7万1200円
部屋の壁の反響を利用して最適なサラウンド効果を生み出す自動音場補正機能「ADAPTiQ」を搭載。スリムな本体ながら、ノイズを抑えたクリアな重低音を実現しています。音声アシスタント「Amazon Alexa」に対応。
SPEC●ドライバー:非公開●再生周波数帯域:非公開●ワイヤレス機能:Bluetooth/Wi-Fi●質量:3.16kg●サポート方式:Dolby Digital●接続端子:HDMI(ARC対応)×1、光デジタル×1、USB×1●付属品:ADAPTiQヘッドセット、HDMIケーブルほか●サイズ:W800×H44.4×D101.6㎜
【設置性:B】
部屋の形状に合わせて自動でセッティング
設置するのは1本のバーのみだが多少のスペースは必要。付属のADAPTiQヘッドセット(上)を使えばサラウンド機能が自動セッティングされます。
【臨場感:A】
人や物体の位置と移動がハッキリわかる
音の輪郭がクッキリで定位感に優れる。スリムなバーだけで、真横や後ろから音を感じるほどサラウンド効果が高いです。縦方向の広がりはまずまず。
【聴き取りやすさ:A】
ボリュームを下げても音がしっかり聴こえる
独自の設計により音が粒立つようにクッキリで、セリフや細かい音もよく聴き取れます。小音量でもしっかり聴こえるので、夜間も楽しめました。
【機能性:A】
「アレクサ、ボリューム上げて」が便利だった
「Amazon Alexa」は、大音量再生中でも音声指示を認識してくれました。本体の操作はもちろん、ニュースや天気予報を聞くことも可能。
【その2】前後左右に加えて高低の3Dサラウンドを堪能
ヤマハ
MusicCast BAR 400 YAS-408
実売価格6万9800円
バースピーカーとサブウーファーのセット。前後左右に加えて、高さ方向も再現できる仮想3Dサラウンド「DTS Virtual:X」を装備。テレビ番組、音楽、スポーツなど、コンテンツのジャンルに合わせたサウンドモードが用意されています。
SPEC●ドライバー:4.6cm×4、2.5cm×2●再生周波数帯域:40Hz~23kHz●ワイヤレス機能:Bluetooth/Wi-Fi●質量:2.7kg(バー)】●実用最大出力:50W×2(バー)、100W(サブウーファー)●接続端子:HDMI(ARC対応)、光デジタル×1、LAN×1、USB×1●サイズ(バー):W980×H60×D110.5㎜●サイズ/質量(サブウーファー)W181×H417×D405㎜/9.4㎏
【設置性:C】
ワイヤレスウーファーの設置スペースが必要
ウーファーはワイヤレス対応ですが、電源ケーブルの接続が必要。バーはコンパクトで、テレビ前のわずかなスペースにも設置できました。
【臨場感:A】
映画館のような広がりを感じられるサラウンド
左右に加えて高さ方向にも音が広がり、迫力のある音で周囲が満たされる感覚。サラウンドオフで、もう少し音の厚みがあればなお良し。
【聴き取りやすさ:A】
バラエティやドラマ視聴で「クリアボイス」が効果的
「クリアボイス」をオンにすると声がクッキリとし、不自然さもない。サラウンドのMovieモードでは、セリフの輪郭がややボケます。
【機能性:A】
タッチ操作は十分快適でインジケーターも見やすい
物理ボタンのない本体はタッチ操作対応。各種モードを表すLEDも視認性が高いです。「MusicCast CONTROLLER」アプリでも操作や設定が可能。
<家族や近隣に迷惑をかけにくく流行の“ながら聴き”にも便利な首掛けタイプ編>
【その3】低音に合わせて振動することで臨場感アップ
ソニー
SRS-WS1
実売価格2万6870円
同梱する送信機のイヤホン端子または光デジタル端子に接続したテレビなどの音を、ワイヤレスで聴けるスピーカー。バイブレーション機能をオンにすると、ドラムやベースの低音に合わせてスピーカーが振動し、臨場感を味わえます。
SPEC●ドライバー:30mm×2●再生周波数帯域:非公開●ワイヤレス機能:専用送信機のみ●質量:335g●実用最大出力:1W×2●接続端子:3.5㎜ステレオミニ、光デジタル(送信機)●充電時間:約3時間●連続再生:約7時間●サイズ:W210×H75×D205㎜(スピーカー部)
【設置性:A】
置くだけで充電可能なベースが付属する
装着感はまずまずで、スピーカーの着脱もスムーズ。本体を置くだけで充電できるベースを備えるのも便利です。ケーブル接続での充電にも対応。
【臨場感:C】
音に連動したバイブスは新感覚の視聴体験
音に合わせて身体に振動が伝わる体験は新感覚。ただし、音質はおとなしく迫力に欠けるため、臨場感という点では物足りなかったです。
【聴き取りやすさ:A】
人の声が歪むことなくはっきりと聴き取れる
音が歪んだりボケたりすることがなく聴きやすいです。特に人の声をしっかり聴き取れるため、バラエティやニュース番組の視聴に向いています。
【機能性:C】
スマホやPCとはケーブルでのみ接続
本体にはイヤホン端子用ケーブルを接続可能で、スマホやPCとは直接ケーブルでつなぐ。Bluetooth再生に対応しないのは残念です。
【その4】最新BTコーデックに対応で音声遅延なく映像を鑑賞できる
JBL
SOUNDGEAR BTA
実売価格2万4110円
4基のスピーカーと低音用バスブーストを搭載。Bluetooth接続した機器のほか、同梱する送信機のイヤホン端子や光端子に接続した機器の音をワイヤレスで聴けます。aptX low latency規格に対応し、遅延が少ないです。
SPEC●ドライバー:31mm×2●再生周波数帯域:100Hz~20kHz●ワイヤレス機能:Bluetooth●質量:370g●実用最大出力:3W×2●対応コーデック:SBC、aptX●充電時間:約2時間●連続再生:約6時間●インピーダンス:32Ω
【設置性:A】
表面は滑らかな感触で装着感が心地良い
表面は滑らかで、直接肌に触れても心地良いです。形状も首と肩にフィットしますが、首を入れる隙間がやや狭く、着脱には多少コツがいります。
[臨場感:B]
音が首回りに立ち上り空間の広がりを感じられる
ヘッドホンよりも音の広がりがあり、人や物体の移動も確かに感じられます。音の厚みもまずまずで、映画やライブも楽しめる音質です。
【聴き取りやすさ:A】
BT接続でも遅延がなくゲームも快適にプレイ
ほんのわずかに残響がありますが、セリフも問題なく聴き取れます。遅延がないため、タイミングが重要なリズムゲームなども快適にプレイ。
【機能性:B】
デュアルマイク搭載で通話や電話会議に使える
騒音を低減するノイズキャンセル機能付きのマイクを2基搭載。ハンズフリーで通話や電話会議に使用して、クリアな会話を楽しめます。
【結論!】
コンテンツの迫力と臨場感を味わうなら絶対にバータイプ
音の迫力や広がりという点では、バータイプが圧倒的に有利。シアタースピーカーとして映画や音楽ライブのコンテンツを楽しむなら、バータイプをオススメしたいです。作業中や夜間などのシーンでは、首掛けタイプのほうが適しているといえます。
【イチオシはコレ】
ボーズ
Bose Soundbar 500
サブウーファーなしでもしっかりとした低音が出るため、部屋のスペースに余裕のない人にはありがたい。サラウンド性能も高く、映画を臨場感たっぷりに楽しめました。別売のリアスピーカーやサブウーファーでシステムアップも可能。
作業中や夜間に聴くならコレもアリ!
JBL
SOUNDGEAR
BTA
室内を動き回っても、常に左右スピーカーの間にいられるのは首掛けタイプの強み。本機はヘッドホンよりも音の広がりを感じられ、小さめの音で聴けるので同居人や近隣にも迷惑になりづらいです。ハンズフリー通話機能も便利です。
協力:楽天市場