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2019/3/8 18:00

東北初お披露目の新製品も! “杜の都のポタフェス”で最新オーディオを聴いてきた

毎年夏と冬の2回、秋葉原で開催されるポータブルオーディオの祭典「ポタフェス」。イヤフォン・ヘッドフォンにまつわる国内外の様々なブランドが一堂に会する、オーディオファンにとって見逃せない大イベントです。GetNavi webでも巨大ヘッドホンが目印のリポート記事が毎回掲載されているので、ご存知の読者もいらっしゃるでしょう。

 

そんなポタフェスが3月3日に、東北の中心都市である仙台で開催されました。会場は仙台駅東口すぐの「イベントホール松栄」、今回の出展は33社81ブランドです。さすがに秋葉原とまったく同じとはいかないものの、発売前の新製品や普段はなかなか手にとることが出来ない憧れのハイエンドモデルが勢揃い。このように東京とはほんのちょっぴり違う“杜の都のポタフェス”に行ってきたので、その様子をお届けします。

↑会場となった「イベントホール松栄」

 

長時間再生が特徴の「Push」

近年ますます盛り上がりを見せる完全ワイヤレスイヤホンの新製品が、仙台で一般ユーザー向けに初公開しました。ブランドロゴのドクロマークが印象的なスカルキャンディの「Push」です。

↑スカルキャンディ初の完全ワイヤレスイヤホン「Push」

 

重低音好きから支持されているブランドですが、ここ数年は音のクオリティが飛躍的に向上しており注目ブランドとなっています。新製品は制御回路を自社設計したほか、通信トラブルのリスクを下げるべくあえて旧世代チップを使用するなど、スペックよりも実用面を重視した構成でまとめてきました。注目すべきはバッテリー性能で、単体での連続再生時間は同ジャンルのなかでも群を抜いて長い6時間。秘密は世界中から探し出したという130mAhのコイン型電池で、その容量は一般的な他製品の倍以上。例えば新幹線などの長距離移動でも、ケース充電を挟まず余裕を持って使い続けることができます。ケースバッテリー込みの再生時間は12時間です。

 

もうひとつこのイヤホンが魅力的なのは、エルゴノミックデザインを採用してること。音が出るノズルは楕円型のものを前寄りに配置、人間の耳穴の形状に合わせた形にすることで遮音性を高めています。さらにシリコンフィンと窪みのある形状で、“リフティングしても外れない”というくらい不用意に外れにくいそうです。トゥルーワイヤレスでありがちな「片方だけ落としてしまった」という悲しいトラブルも避けられますね。万一イヤホン片方を落としてしまっても、もう片方とケースがあれば販売価格のおよそ半額程度で新品が手に入る、独自のサポート体制も予定しているそうです。

 

音を聴いてみたところ、伝送データ量に限界があるBluetooth通信のなかで上手くまとめていて、パンチが効いたエネルギッシュなサウンドが印象的でした。トゥルーワイヤレスには大柄な9.2mmドライバーでブランドの魅力である低音のコシを出していて、特にポップスやロックを楽しく聴くのに良く、音楽を聴いていて元気が出ると感じました。3月15日発売予定で、市場想定価格は税込み1万2900円。同ジャンルのなかでは音も使い心地もハイレベルなモデルです。

 

飯田里穂さんチューニングイヤホンにも注目!

会場に入ってすぐ目の前にブースを構えたfinalでは、デザインと音の両面を飯田里穂さんが監修したイヤホンがお目見えしていました。飯田さんといえば「ラブライブ!」の星空 凛役などで知られ、声優・俳優・歌手など、マルチに活躍されているタレントさん。そんな飯田さんがパーソナリティーを務める無料デジタル放送i-dioの番組「COUNTDOWN FRIDAY飯田里穂のオールアニソンTOP20」で、番組公式イヤホンとしてfinal/e☆イヤホン/GetNaviがタッグを組んで制作したのが、このイヤホンです。

↑飯田里穂さんが監修したfinalのイヤホン

 

デザインは飯田さんの趣味だというシルバーアクセサリーをテーマにしており、シルバーのハウジング(筐体)をベースに、イヤーピースやイヤーフック、ケースなどにターコイズを合わせたという、センスのよさを感じさせる仕上がり。イヤーピースの軸にfinalの通常品よりも柔らかい新設計のものを使ったり、製品版にはハウジング部にレーザー彫刻が入ったりと、随所にこだわりが見られます。

 

チューニングは飯田さんがfinalのショールームへ出向き、納得がいくまでとことん追い込んだそうです。低音好きなので下はしっかり、なおかつ音が良いようにという難しいオーダーをクリアするため、finalはイヤホン内部のベースモデルに2BA構成の「Lab1」を選択しました。実はこのLab1というのは、3Dプリンターでハウジングを制作する16万円の超高級イヤホン。そうなると販売価格が気になるところですが、ブースで質問してみたら「採算度外視で、だいたい3万円くらい、かなぁ……?」とのこと。アニメのブルーレイ1クール分揃えることを考えれば、手が出ない金額ではないかも。

 

実際に音を聴いてみた印象は、ふんわりメロウなまろやか系のサウンドながら、低音好きのオーダーはちゃんと満たされていて、下は“ボン”と出てきます。飯田さんに敬意を表してμ’s「Snow halation」を鑑賞したところ、優しく幻想的なサウンドで作中のライブシーンを思わせるかのように夢見心地な気分に浸ることができました。「ロックもジャズも何でもござれ」とはいえませんが、このイヤホンで聴く女性ボーカルのアニソンからはファンタジックな独特の雰囲気が漂ってくる、そんなオンリーワンの体験ができるでしょう。

 

あなたの街にもポタフェスがやってくる!?

毎年夏と冬に秋葉原で大々的に開催されているポタフェスですが、実は関東外のオーディオファンのために、2015年から隔年で全国の主要都市を巡るキャラバンを開催しているのは知っていましたか? 今年はまさにそのキャラバンイヤーで、今回の仙台は何を隠そうキャラバンのファーストイベントなのです。

 

最近は試聴できる場所も増えてきたイヤフォン・ヘッドフォンですが、高級品は鍵付きショーケースに入っていたり、試聴をするにも販売員さんに無言で見つめられたりして、気軽に試せるとはいいにくい事も。そんなモヤモヤを抱えているオーディオファンにこそ、ポタフェスキャラバンはオススメなんです。会場はメーカーや販売代理店から来た“製品のプロ”が各ブースに居て、量販店よりも気軽で詳しい製品の質問ができます。基本的にみんな大のオーディオファンなので好きな音楽の話で盛り上がったりもしますし、“中の人”ならではの詳しいお話が聞けたりすることもあります。

 

何よりも地方開催ならではの見過ごせないポイントが、試聴時間がゆったりと取れることです。2日で5万人を集める秋葉原だと、特に人気の新製品はどうしても試聴待ちの列が気になりがち。ですが、全国キャラバンならば時間をかけてじっくり試聴することもできます。会場で話を聞くと、1人あたりの各ブース平均滞在時間は秋葉原よりキャラバンの方が長いみたいですよ。東京会場では長蛇の列となる物販コーナーも、比較的スムーズに買い物ができます。そんな快適で楽しいオーディオ体験を求めて、近隣の街から遠征をする熱心なファンも。今回は青森から参加したという人などが居ました。

↑物販コーナーでゆっくり買い物も可能

 

今年のポタフェスは7月と12月の秋葉原以外にも、3月31日に名古屋、5月11日に福岡、6月1日に札幌、9月7日に大阪と、仙台を含めて合計6都市で開催します。最新アイテムの贅沢な聴き比べに、気になっていたレアアイテムの試聴に、思いがけないブランドとの出会いに。今年は近くのポタフェスへ出かけてみませんか。