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2019/4/11 21:45

エレキもアコギも太い音で聞かせる! フェンダーのBTスピーカー「INDIO」は60年代と現在が混在する

ギターアンプのなかで1950年〜70年代のヴィンテージ世代は、ミュージシャンも注目する人気モデルが集中しています。ギターの音は組み合わせるアンプによって大きく変わるので、自分のギターを最高の音で鳴らしてくれるアンプをギタリストはシビアな目線で探しています。FENDER(フェンダー)、Marshall(マーシャル)、MUSICMAN(ミュージックマン)、Roland(ローランド)、VOX(ボックス)などきら星の如く並ぶヴィンテージアンプのなかで、1960年から63年に生産されたフェンダーの「Twin Amp in blonde tolex Model 6G8/6GB-A」が、今回紹介するBluetoothスピーカー「INDIO」の元のモデルではないかと私は推測しています。

Fender INDIO
↑フェンダーのBluetoothスピーカー「INDIO」(BLONDE)/直販価格3万9980円

 

「INDIO」はTwin Ampと同じく低域用ウーハーをツインで搭載、さらに高域用ツイーターを2基追加した2Way4スピーカー構成になっています。一般的なBluetoothスピーカーは低音を稼ぐためにフルレンジにパッシブラジエータを加えた構成が多いのですが、INDIOは低音専用のウーハーを2基、クセがなく最低域がしぶとく伸びる密閉箱に収めています。また、ツイーターのおかげでレスポンスがよくヌケのいい高域が再生可能。再生周波数帯域は20Hz〜20kHz。出力は60Wもあり、大音量再生も得意です。

 

【SPEC】●スピーカー構成:ウーファー×2、ツイーター×2 ●再生周波数帯域:20Hz〜20kHz ●出力: 最大60W ●Bluetooth対応コーデック:SBC、AAC、aptX ●連続再生時間: 最大25時間 ●バッテリー容量: 非公表 ●サイズ: 約W245×H122×D216mm ●質量: 約4kg ●付属品:電源アダプター、USB充電ケーブル、オーディオケーブル(ステレオミニ)

↑カラーはBLONDEのほかにBLACKもラインナップ

 

外見はレトロ、機能は最新のギャップを楽しむ

Bluetoothのコーデックは、SBC、AAC、aptXに対応します。通信距離は約10m、3.5mmのステレオミニジャックがあり有線接続もできます。また2台のINDIOをワイヤレス接続して左右に音を割り振ってステレオ再生もできますが、音量を個別に調整する必要があります。フェンダーのBluetoothスピーカーのなかで、本機がバッテリー内蔵の最大モデルであり約25時間の連続駆動が可能。屋外でも使えますが防水ではないため注意が必要です。キャリングハンドルがあって持ちやすいのですが、重さは4kgとなかなかヘビー級。

 

操作パネルはアルミ製で楽曲の再生停止ボタンなどが左端にあり、ロゴを隔てて音量、高域、低域用で独立したトーンコントローラーがあります。さらに電源のON/OFFを確認するためのジュエルランプがあり、真空管アンプのようなトグル式の電源スイッチがあります。ギターアンプと比べるとツマミの数がやや寂しいのですが、Bluetoothスピーカーとしては豪華装備で、特にトーンコントローラーがいいですね。

Fender INDIO
↑トーンコントローラーは5がセンターとなり、そこからプラスマイナスできる

 

Fender INDIO
↑背面には電源アダプターの端子に、スマホやDAPを充電できるUSB端子、ステレオミニプラグに対応したライン入力端子がある

 

フェンダーらしいキレ味と低域の量感を両立させた

INDIOのペアリングは専用ボタンを押すだけ、あとはスマホかDAP側に表示される「Fender Indio」を選択すれば接続完了です。ペアリング成功時にはINDIOからはギターのコードが再生されます。まず、aptXで接続するためにDAPにA&ultima「SP1000」を使って音楽を再生しました。最初に聞いたのはハイレゾ音源の井筒香奈江「Laidback2018」収録曲「サクセス」です。ボーカル、ピアノ、ベース、コンガが登場する楽曲で、ベースにはレオ・フェンダーが設計したFender Jazz Bassの73年モデルが使われています。アルバムには、このベースの音が過剰までに入っていてオーディオマニア泣かせなのですが、INDIOはブンというベースの余韻を残しながら、低音がふくらまず歯切れのいい演奏を再現してくれました。

↑BluetoothではaptXに対応しており、ワイヤレス接続時にも高音質が楽しめる

 

パッシブラジエータやバスレフ方式のスピーカーでは、量感はあってもスピード感がイマイチということがありますが、密閉式の本機は、低音が素直に下まで伸びる印象。またエンクロージャーに同社のギターアンプと同じMDFと呼ばれる木材を使っているため、箱が共振したときの音がギターアンプの鳴りに通じるところがあります。さらに低音の量感を強調したい場合は、壁に近付けたり、部屋の角に置くのが効果的です。低音自体を強調したい時はトーンコントロールを調整しましょう。

↑周波数特性を測定すると低音のピークは80Hz付近とかなり低い方まで再生している

 

ツイーターから再生される高音も歯切れが良く、ボーカルのニュアンスまで表現してくれます。音色はなめらかで耳障りな音を出しません。また、ギターアンプと違って音が歪むこともありません。「Laidback2018」は録音にこだわったアルバムで、ハイレゾで収録された情報量の多さがポイント。これをさらに追求するためにBluetoothから有線接続に変更しました。ボーカルはさらに鮮明になって、音数が増えたことがすぐに分かりました。パワーアンプとスピーカーの実力をフルに引き出したい方は有線接続も試してみることをお勧めします。

 

Fender「INDIO」はデザイン優先のギターメーカーが作ったノスタルジックなモデルと思っていましたが試聴してみますと、最新のBluetoothスピーカーとしても優秀でライバルにひけをとりません。さらに4スピーカー搭載、MDFを使った密閉式などでFenderらしいスパイスを効かせた音作りがされて、楽器好きにもオーディオ好きにも気になるスピーカーに仕上がっているのです。