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イヤホン
2019/5/22 19:45

「家ナカイヤホン」という新ジャンルを開拓中! ソニーのオープン型BTイヤホン「SBH82D」が叶えてくれるコト

2017年末から2018年にかけて、肩に乗せて音楽や映画、ゲームのサウンドを楽しむネックバンドスタイルのスピーカーが様々なメーカーから発売されました。耳をふさがない“ながら聴き”のリスニングスタイルが話題を呼ぶネックバンドスタイルのスピーカーは、今年に入ってから新しい製品も発売されています。

 

ながら聴きが楽しめるポータブルオーディオ機器と言えば、同じく“耳をふさがない”リスニングスタイルのオープン型イヤホンも2018年に入ってから選択肢が充実してきました。なかでも今回はソニーが発売する新製品「SBH82D」に注目しながら、本機が実現する新しいリスニングスタイルを紹介したいと思います。

↑ソニーモバイルが開発したオープン型のワイヤレスイヤホン「SBH82D」(実売予想価格1万円前後)

 

↑カラバリはブラック/ブルー/グレーの3色

 

ソニー

ブルートゥースイヤホン  SBH82D

実売価格1万670円

 

増えている“ながら聴き”イヤホン

SBH82Dを発売する前にも、ソニーはオープン型イヤホンの注目製品を2つ発売していました。新製品には同じ技術とコンセプトが採用されているので、まずはその2つの製品を振り返ってみたいと思います。

 

ひとつはソニーは2018年4月に発売した完全ワイヤレスイヤホン「Xperia Ear Duo(XEA20)」です。ドライバーユニットを耳の後ろ側に配置して、音道管を耳の下側からくぐらせて装着する新しいイヤーハンガースタイルが発表当時から注目されています。シリコン製のリングサポーターを耳の穴に乗せて装着感を安定させます。本体の側面がタッチセンサーリモコンになっているほか、音声やヘッドジェスチャーによってハンズフリー通話やLINEメッセージの送受信、音楽再生操作などができる多機能なスマートイヤホンとしても人気です。

↑Xperia Ear Duo(XEA20)

 

同年の6月には、同じオープン型の設計と耳の下側から掛けるスタイルを踏襲した有線イヤホン「STH40D」が発売されました。3.5mmアナログイヤホン端子を採用するモデルで、想定売価が7000円と比較的お手頃であることから、DAPやポータブルラジオと組み合わせて使う幅広いユーザー層から支持を集めているそうです。

↑STH40D

 

なお、ソニー以外にもオープン型のイヤホンとしては、耳たぶの外側にクリップするようなスタイルで身に着けるambie(アンビー)のワイヤレスイヤホン「ambie wireless earcuffs」や、骨伝導技術を採用したIP55防汗設計のヘッドバンドスタイルのワイヤレスイヤホンAfterShokz「TREKZ AIR」などがあります。

↑ambie wireless earcuffs(オレンジ色)、Xperia Ear Duo(ゴールド)、 TREKZ AIR(グレー)もオープンスタイルのワイヤレスイヤホンです

 

ソニー独自の装着スタイルとデザインにより、ながら聴きの新しいリスニングスタイルを提案するオープン型イヤホンは、完全ワイヤレスタイプのXperia Ear Duoと有線タイプのSTH40Dが発売されてから、不在だった左右の本体がケーブルで接続されているタイプのワイヤレスイヤホンを求める声も高まっていました。その期待に応えて登場する待望のモデルがSBH82Dというわけです。

 

音質は上々、ただし音漏れに注意

本機はソニーのブランドを冠して発売されますが、商品の企画開発はスマホのXperiaシリーズでお馴染みのソニーモバイルが担当したワイヤレスイヤホンです。オープン型のハウジングを採用した背景にも、音楽リスニングと会話を同時に楽しめるコミュニケーションデバイスとして新しいコンセプトのスマートプロダクトを作りたいという開発者の思いがあります。約25.5gと軽い本体と、「ずっと着けっぱなし」でも苦にならない装着感とデザインにも気を配っています。バッテリーライフは音楽を連続再生しても約7.5時間のスタミナを実現しています。

↑耳の下側から回して装着

 

ハウジングの中に搭載した13.6mm口径の大型ダイナミックドライバーから生まれた音を、耳の下側に回す音導管を通して耳穴の手前まで送り届ける機構は引き続き踏襲されています。耳元はリングサポーターでしっかりと固定されて、本体は肩に乗せて重さが分散されるため装着感はとても安定しています。

↑ハウジングの中に13.6mm口径の大型ダイナミックドライバーを搭載。音道管から出てくる音を耳に届けます

 

↑シリコン製のリングサポーターで耳もとに固定。3つのサイズのサポーターが付属します

 

本体にDACとアンプを内蔵しているので、アウトドアで音楽を聴いてみても、外の環境音に力負けしないパワフルなサウンドが楽しめます。特に有線タイプのSTH40Dに比べて中低域の底力がアップして、音の輪郭もくっきりと描かれるようになりました。ロックやポップスのアップテンポな楽曲はビートの打ち込みが鋭く、低音が深く沈み込みます。鮮やかなボーカルが前面に張り出してきて、立体的な音場を再現します。そして広がりとヌケ感の豊かな高域はソニーの新しいオープン型イヤホンならではの醍醐味。アコースティックギターやピアノの伸びやかな余韻がゆったりと響きます。クラシックのオーケストラも広々としたスケール感が楽しめて、想像以上によくマッチしました。解像度も高く、細かな音の粒立ちも鮮明です。

 

ただ、やはりオープン型なので音量を上げすぎると聴いている音楽が外に漏れることあり得ます。またコミュニケーションも楽しめるように敢えて、耳をふさがない構造としているため、屋外の音は聞こえきます。電車や飛行機に乗りながら使うイヤホンとしてはあまり向いていません。スポーツクラブでランニングしながら使ってみましたが、左右に配置したコントロールボックス、バッテリーユニットがややブラブラとします。本体は防水、防滴設計ではないので、激しく体を動かして汗をかくスポーツシーンにもベストのイヤホンではないかもしれません。

↑本体左右のユニットにリモコンやバッテリーを搭載。NFCによるワンタッチペアリングにも対応します

 

↑首にかけてコントロールユニットを肩の辺りに乗せると安定します

 

ウェアラブルなスマートイヤホンで新しい体験を

むしろSHB82Dは「家ナカイヤホン」として、あるいは本稿の冒頭で触れた「ネックバンドスピーカー」のような感覚で屋内での新たな活用方法が開拓できそうです。

 

ソニーが行ったユーザーアンケートでは、有線タイプのSTH40Dを外国語の音声テキストをヒアリングしながら発音を練習する時に使ったり、ラジオの解説を聞きながらスポーツを観戦する用途もあるという声が返ってきたそうです。

 

オープン型イヤホンがおそらく最も一般的に活用できる日常のシーンは、キッチンや洗面所などで家事をしている時ではないでしょうか。BGMとして音楽を聴きながら作業をするととてもはかどります。筆者も最近は皿洗いをする時にXperia Ear Duoを使っています。SBH82Dはイヤホン部分がとても軽いので、自宅で軽快に音楽を聴きたい時により向いていると感じました。音楽を聴きながら自分の声も聞けると、実はカラオケがとても楽しいです。わが家ならめいっぱい熱唱してもOK。料理や皿洗い、掃除の時間がストレス解消にもなって断然楽しく感じられるようになりました。

 

SBH82Dは本体のリモコンからペアリングしているスマホのAIアシスタントを呼び出せます。ただ、AIアシスタントがイヤホンに内蔵されているわけではないので、よりスマートイヤホンっぽく使うならアマゾンの「Echo Input」との組み合わせがおすすめです。Echo Inputは本体にマイクとAlexaを内蔵しているコンパクトなデバイスです。Bluetooth、または3.5mmアナログ音声出力に接続した機器で音声を聴く仕様ですが、SBH82DをペアリングしたEcho Inputを近くに置いておけば、Alexaに話しかけてハンズフリーで音楽配信、スマート家電をコントロールできます。

↑アマゾンのEcho Inputに接続すればAlexa内蔵っぽく楽しめます

 

ソニー

ブルートゥースイヤホン  SBH82D

実売価格1万670円

 

SBH82Dは価格が1万円前後とお手頃なところもポイントです。音楽を聴くためのポータブルオーディオとしてだけでなく、スマートなウェアラブルデバイスとしても楽しめてしまうオープン型ワイヤレスイヤホンの魅力を、とりあえず試してみてはいかがでしょうか。