筆者は長年、BOSE(ボーズ)のBluetooth対応アクティブ・ノイズキャンセリングヘッドホン「QuietComfort」シリーズを愛用してきたユーザーです。今年、そのボーズからQuietComfortシリーズではない最新モデル「Noise Cancelling Headphones 700」が発売されました。大きく変わったノイズキャンセリング機能の実力とデザイン、機能性をユーザー目線でレポートしたいと思います。
ノイズキャンセリングのレベル調整、外音取り込みに対応
ボーズのNoise Cancelling Headphones 700(以下:NCH700)はヘッドホンの新シリーズです。QuietComfortシリーズも当面は併売されるようなのでファンの方はご安心を。ただ、NCH700はQuietComfortに追いつき、追い越すほど魅力的なヘッドホンです。
NCH700がQuietComfortから大きく変わっている点はふたつあります。ひとつはアクティブ・ノイズキャンセリング機能が進化しています。
QuietComfortシリーズの最新モデルである「QC35II」もノイズキャンセリングのレベルを高・低・オフの3段階から選べる仕様になっていましたが、新しいヘッドホンのNCH700はモバイルアプリの「Bose Music」から消音効果を0〜10までの11段階で選べるようになっています。
アプリからはノイズキャンセリングの「お気に入り設定」として、3つのプリセットに0から10まで好みのセッティングを登録後、本体左側のボタンを押してすぐに呼び出せる機能も追加されました。さらにボタンを長押しすると、聴いている音楽再生を一時停止して外音を取り込む「会話モード」に素速く切り替わります。
ノイズキャンセリング機能の効果はQC35IIよりも自然に感じられるようになったと思います。効果を最大レベルの「10」にした状態でも耳にかかるプレッシャーが低く抑えられていて、低域にうずまくエンジン音やエアコンのファンノイズ、金属をこすり合わせたような甲高いノイズ、人の話し声まで種類が異なる騒音をきれいに打ち消してくれます。もし消音効果が効き過ぎるように感じられる場合は「4〜6」ぐらいのレベルに抑えた設定を“お気に入り”に登録して使い分けるとよいでしょう。電車やバスを降りて、屋外を歩きながら音楽を聴くときには外の音が聞ける「0」に素速く切り替えられるよう、こちらもお気に入りにプリセットしておくと便利です。
デザインはスリムに。快適な装着感はそのまま
もうひとつ、QuietComfortから大きく変わった点は本体のデザインです。NCH700の外観はよりスリムになった印象を受けました。
イヤーカップを外側から支えるアームをスライドさせてかけ心地を調整します。柔軟に曲がり、柔らかいクッションを内側に設けたヘッドバンドは頭部にピタリとフィットして、素直で心地よい装着感が得られます。本体の質量はQuietComfortに比べてNCH700の方がわずかに目方が増しているのですが、本体を手に持ってみてもそうは感じられないから不思議です。飛行機の旅などで長時間身に着けていても疲れる感じがしませんでした。
ひとつNCH700のデザインに関わる点で筆者が不満に感じたのは、QC35IIのように本体をコンパクトに折りたためなくなったことです。付属するキャリングケースにはイヤーカップを回転させて、本体をフラットな状態にして収納します。
ケースは頑張って厚みを抑えたサイズに仕上がっており、ケーブルを収納するためのポケットも機能的に配置されているので、使ってみるとそれほど気にならなくはなってくるものの、やはりいまどきのトレンドを考えると折りたたみ機構はなくさないで欲しかったと思います。