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2019/10/23 19:45

愛用の有線イヤホンを“完全ワイヤレス化” ! カスタマイズが楽しめるフォステクス「TM2」徹底レビュー

本体の左右を結ぶケーブルもない完全ワイヤレスイヤホンのひとつの魅力は、その軽快な装着感にあります。一方、伝統的な有線接続のイヤホンには、ケーブルを交換できる“リケーブル”に対応するものが数多くあり、アクセサリーを組み合わせることによって音を好みに合わせてカスタマイズできる楽しさも。その有線ならではのカスタマイズの楽しさと、完全ワイヤレスの軽快さを併せ持ったアイテムが、いまオーディオファンのあいだで話題となっています。

 

フォステクスから発売された「TM2」は、リケーブルが楽しめる珍しい完全ワイヤレスイヤホン。しかもいま使っているお気に入りのイヤホンがケーブルの着脱交換に対応する製品であれば、TM2の本体を組み合わせることで「完全ワイヤレス化」できる画期的な機能も人気を集めています。今回はフォステクスでTM2の商品企画開発を担当した阿部好伸氏に、本機を上手に使いこなす方法を聞いてみました。

 

↑TM2の商品企画開発を担当した阿部好伸さん

 

ケーブル交換に対応するイヤホンを完全ワイヤレス化できる

TM2は多彩な機能を持つ完全ワイヤレスイヤホンです。はじめにその特徴を4つのポイントにまとめてみましょう。

 

最大の特徴である「リケーブル対応」は、形状を自由に変えられる専用の「フレキシブル・ショート・ケーブル(以下:FSケーブル)」と呼ばれるパーツを本体の根元からまるごと交換して、その先端にイヤホンを装着するスタイルとしています。

↑フレキシブル・ショート・ケーブルを交換することによってリケーブルに対応する様々なイヤホンが接続できるようになります

 

TM2の商品パッケージに標準同梱されているのはシュアのSEシリーズなど、多くのリケーブルに対応するイヤホンが採用する「MMCX」タイプのFSケーブルですが、ほかにも別売のオプションとしてカスタムイヤホン用の2ピンタイプのFSケーブルが2種類発売されています。TM2の本体とつなぐ側の端子はMMCXとして、様々なタイプのイヤホンを手軽に完全ワイヤレス化して楽しめます。

↑MMCXのほか2種類の2ピンタイプの交換ケーブルが揃う

 

なお、TM2にはフォステクスの6mm口径のダイナミック型ドライバーを搭載するイヤホン本体が付いてくるので、購入してすぐに音楽再生が楽しめます。

 

2つめのTM2のポイントはイヤーフックデザインを採用しているので、耳にピタリとフィットする装着感が得られること。FSケーブルが柔軟に曲げられるので、耳の周りの形に合わせやすくなっています。カスタムイヤホンと組み合わせれば絶妙なフィット感が得られるはず。

 

3つめのポイントはBluetoothオーディオのSoC(システム化されたICチップ)にクアルコムのQCC3026を搭載していること。クアルコムのモバイル端末向けSoC「Snapdragon 855」シリーズを搭載した一部のスマホと接続したときに、音切れやノイズの発生を抑える「True Wireless Stereo Plus」という機能にも対応しています。このチップセットは省電力性能も優れているので、イヤホンに内蔵するバッテリーだけで長時間リスニングが可能になります。メーカー発表のスペックシートでは連続音楽再生は約10時間とされていますが、音楽を聴いていない時には本体のボタンで電源をオフにできるため、専用ケースを持ち歩かなくてもほぼ1日中、バッテリー切れを気にすることなく使うことが可能。

↑専用ケースはなんと充電専用。ケース自体にはバッテリーが搭載されていません

 

そしてもうひとつ、本機がソフトウェアのアップデートにより様々な機能を追加できる「進化する完全ワイヤレスイヤホン」であることも強調しておきたいと思います。

 

では、続いてフォステクスの阿部氏にTM2を開発したきっかけや、上手に使いこなす方法を聞いてみましょう。

 

自由にカスタマイズできる完全ワイヤレスイヤホンはどのようにして生まれたのか

――リケーブルができるとてもユニークな完全ワイヤレスイヤホン「TM2」のアイデアが生まれたきっかけを教えてください。

阿部氏:2016年にネックバンド式のMMCX端子を搭載したBluetoothリケーブルを企画していました。当社が発売していたリケーブルに対応するイヤホン「TE05」に対応させることを検討していたのですが、TE05の端子形状がやや特殊だったため、これに合わせてしまうと他の製品との互換性が確保しづらくなるため、いったん開発を中断しました。

 

次に2017年に完全ワイヤレスイヤホンを商品化する企画が持ち上がりました。当初TE05をベースにした完全ワイヤレスイヤホンをつくろうとしていたのですが、加えて何かフォステクスらしい“ひねり”を効かせたいと考えて商品化した製品がTM2として形になったのです。

 

昨今は特に完全ワイヤレスイヤホンへの注目度が高まっているので、当社のイヤホン向けドライバーの高い性能をアピールしながら、同時に皆様が既にお持ちのリケーブルに対応するイヤホンを有効活用できる完全ワイヤレスイヤホンを企画しました。

 

――フレキシブル・ショート・ケーブルごと交換するという発想が面白いだけでなく、とても機能的だと思います。

阿部氏:TM2さえ持っていれば、お持ちのカスタムイヤホンも含めて、自身のスタイルを追求しながら様々なイヤホンを装着して楽しめるイヤホンにしたいと考えました。現在はMMCX端子と2種類の2ピン端子に対応しています。フォステクスにもTE100やTE200といった2ピン端子のハイブリッド方式の上級モデルがあることから、端子のバリエーションを設けていますが、今後はさらにオプションを追加する計画もあります。オーディオテクニカのA2DC端子に対応するケーブルを近日発売予定です。

↑愛用するカスタムイヤホンも“完全ワイヤレスイヤホン化”ができます

 

――TM2はフォステクス独自のスマホアプリから様々な機能が使えるようになりました。

阿部氏:iOS版から提供を始めた専用アプリ「Fostex TM Sound Support」を使うと、接続したTM2のファームウェアをアプリ経由でアップデートできるようになるほか、外音取り込み機能の「ランドスケープサウンド」が追加されます。

↑「Fostex TM Sound Support」が登場

 

↑外音取り込みやファームウェア更新がアプリから行えます

 

次のアップデートでは、5バンドイコライザーや本体のタッチセンサーリモコンからペアリングしているスマホのAIアシスタントが呼び出せる機能の拡充も予定しています。

 

――今後はTMシリーズとして、ラインナップを拡張する計画もありますか。

阿部氏:まだ詳しい内容を話すことはできませんが、企画は進行しています。「T」はフォステクスの象徴である平面磁界駆動型のヘッドホン「T50RP」から、「M」はMMCX端子のMを取ったものです。フォステクスの主力ラインナップとして、今後完全ワイヤレスイヤホンに関連する最先端を積極的に取り込みながら、質の高い「フォステクスらしい完全ワイヤレスイヤホン」をポータブルオーディオファンの皆さんにご提案したいと意気込んでいます。

 

TM2の発売後からショップの方々とお話しをすると「TM2でワイヤレス化ができるなら、今からカスタムイヤホンを作ってみたい」という声も聴こえてきたそうで、イヤホンを楽しむ方々の関心が、TM2をきっかけとしてよい形で循環する機会が生まれたことを私自身もうれしく思います。

 

お気に入りのイヤホンの音に足し引きしないサウンド

TM2の本体に付属するイヤホンの音質はとてもニュートラルでむやみな色付けがなく、様々なジャンルの音楽再生にバランスよくマッチしてくれます。お気に入りのイヤホンを装着して聴いてみても、ふだん音楽プレーヤーやスマホにケーブルで接続して聴いている音にTM2由来のクセが乗ることもなく、愛機がそのまま完全ワイヤレスイヤホンになる手応えが得られます。筆者も「FitEar Air」で試してみましたが、静寂を極めるカスタムイヤホンならではの高い遮音性能に加えて、ケーブルレスならでは取り回しの良さが身に染みて実感されました。

↑本体側面がタッチセンサーリモコンになっています

 

TM2は本体がIPX5相当の防滴性能を備えているので、スポーツシーンや雨の屋外でも汗や水に濡れても大丈夫。むしろ組み合わせるイヤホン本体が防滴・防水性能を備えているものなのかをよく確認してから使うことをおすすめしたいと思います。

 

フォステクスのTM2が登場したことで、これからは完全ワイヤレスイヤホンも、有線イヤホンのようにカスタマイズを楽しめる時代がやってくるのではないでしょうか。

 

【ギャラリー(GetNavi webでご覧いただけます)】

 

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