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2019/11/26 18:45

「2019東京インターナショナルオーディオショウ」で見つけた驚愕のハイエンドを価格順に並べてみた

11月22日〜24日まで東京・有楽町の国際フォーラムにて開催された、第37回「2019東京インターナショナルオーディオショウ」には200を超えるブランドの製品が出品されました。普段はお目にかかれない各社のハイエンドモデルも展示され、多くの来場者が羨望の眼差しで。今回は海外製スピーカーを中心に高価格製品から順番に紹介していきましょう。これらのモデルは価格だけでなくそのスペックにも驚くべきものがあり、オーディオの未来を垣間見ることができます。

↑東京 有楽町の国際フォーラムにて開催された「2019東京インターナショナルオーディオショウ」

 

【総額1億5660万円】ウィルソン・オーディオのシステムは唯一無二!

ハイエンドスピーカーといえば、ウィルソン・オーディオが老舗です。1981年にWAMMという高さ2mのスピーカーを作りました。同社は、ものすごく広い部屋で、大音量を出すための大型フロア型スピーカーを得意としています。ワイドレンジでダイナミックレンジも広げようとすると、マルチウェイに行き着くのですがユニットの数が増えると音場感の再現が難しくなります。

↑「CHRONOSONIC XVX」7100万円(ペア)

 

これを解決するためにウィルソン・オーディオが考えたのが、高音用、中音用、低音用のユニットで、それぞれ独立したモジュールを使いリスナーに向けて調整する方法でした。「CHRONOSONIC XVX」は4Way7スピーカーで、ウーハーの上に4個のモジュールが載せられたユニークなデザインが特徴。高さ187cm、重さ310kgで価格は7100万円(ペア)です。

 

これを鳴らしていたモノラルパワーアンプは、コンステレーションオーディオ「HERCULES II」、重さ125kgで2900万円(ペア)、プリアンプが「ALTAIR II plus」1400万円、さらに後述のアナログプレーヤーとアームを加えると、合計1億566万円のシステム! さすがにハイエンドといっても、総額1億円超えはこのステラのブースだけではないでしょうか。

 

【5000万円】プラッターを浮かせるターンテーブル「Air Force Zero」

テクダスは超ド級ターンテーブルのメーカー。アナログレコードはとにかく振動に弱いので、これをどう遮断するかが問題ですが、一般的には重くて頑丈な土台の上にサスペンションを使ってレコードへの振動をカットするのが基本です。テクダスは重たいターンテーブルにレコードを乗せるプラッターと呼ばれる部分を空気で浮かせて、軸受けやモーターに負担を掛けずに回転させています。

↑「Air Force Zero」5000万円(受注生産)

 

「Air Force Zero」は2015年から開発に着手しており、本年、遂に製品化に成功しました。総重量は350kg、プラッターだけで120kgあり、これを空気で浮かせて、レコード盤は空気の力でプラッターに吸着させています。超精密回転する特殊なモーターを3個使っており、これを確保できる数から計算して、本機は限定50台を予定しています。第1ロット10台はすでに予約完売とのことです。

 

【2600万円】機能美あふれるスピーカー「Mingus Orchestra」

マーティンはスウェーデンのオーディオメーカーで、洗練された機能美にあふれています。ハイエンドモデルの「Mingus Orchestra」は4Way11スピーカーのトールボーイ型で、センターに3Wayスピーカーがあり、それを上下に取り囲むように10インチウーハーを4個配置。リアには4個のパッシブラジエータが取り付けられています。

↑「Mingus Orchestra」2600万円(ペア)

 

ドライバーユニットは提携企業のAccutonが開発した、ピュアダイヤモンドツイーター、セラミックミッドレンジドライバー、アルミハニカムサンドドームベースドライバーを採用しています。エンクロージャーはMDFを使い7層のラッカー塗装でピアノブラックに仕上げられています。「Mingus Orchestra」は高さ171cm、重さは130kgあります。

 

【1870万円】複雑な多面体で構成されたアバロン「Saga」

初めてアバロンのスピーカーを見た時、ピラミッドのようなデザインと美しい仕上げに息を飲みました。MDFを貼り合わせて作られたエンクロージャーは非常に硬く、拳骨で叩いてもコツコツと静かな音がするばかりです。箱を鳴らさずに音場感を再生するタイプの先駆けでした。「Saga」にはカーボン/ガラスダイヤフラムを使ったツイーターが採用され、10kHz〜24kHzまでフルスインできて、高域は45kHzまで再生できます。高さ178cm、重さ118kgで1870万円です。

↑「Saga」(1870万円ペア)

 

【1380万円】ハイブリッド素材の鋳造成型スピーカー「Forza」

エステロンとは耳慣れないブランドですが、エストニア共和国の首都、タリンに2010年にアルフレッド・ワシリコフ氏が創設。究極のスピーカー製作を追求して、エンクロージャーを鳴らさないために、大理石をパウダー状にして、樹脂などと混ぜた複合素材を使って鋳造成型しています。これにより継ぎ目がなく複雑な構造を実現。F1のボディを作っている工場で製作しているそうです。その仕上がりは美しく近未来を感じました。4Way5スピーカーの密閉型でツイーターはダイヤモンド、ミッドレンジはセラミック、ウーハーはアルミハニカムサンドイッチ構造を採用しています。高さ167.5cm、重さ150kgで1380万円です。

↑estelon「Forza」(1380万円ペア)写真奥、手前は「YB」(マットブラック190万円ペア)

 

【1380万円】魅力的な響きを奏でる「AIDA II」

ソナス・ファベールはイタリア生まれのスピーカー工房で天然木を使った、魅力的な響きを持つ独自構造のエンクロージャーで有名になりました。「AIDA II」もMDFをベースに広葉樹のオクメという木材も使っています。内部は複数のモジュールに分かれた複雑な構造をしています。そのデザインは竪琴をイメージしたもので、曲面的な形状にすることで内部反射と音の回り込みを抑えているそうです。

↑「AIDA II」を鳴らすパワーアンプはブルメスター「911mkIII」330万円×2と「Reference 077 +PSU」600万円のプリアンプのペアが使われました

 

「AIDA II」はドライバーユニットを全て新設計した、3.5Way5スピーカー+2Way3スピーカーシステムで、底面にサブウーハー、背面に2Wayのサウンド・シェイバーと呼ばれる残響音を作るためのスピーカーを搭載しています。これを使ってリスニングルームの特性に合わせて直接音と反射音の比率を調整できます。ツイーターはシルクを使ったソフトドーム、ミッドレンジは天然繊維を使ったコーン型、ウーハーは22cmを2発搭載しています。底面の32cmサブウーハーは55Hz以下の超低音を再生します。高さ172.5cm、重さ165kgで1380万円です。

 

↑「AIDA II」(1380万円ペア)

 

【1100万円】厚さ44mmのアルミ合金製エンクロージャーを採用する「Sonja 2」

その独自のデザインと音と驚くべき音場感で我々に衝撃を与えたYG ACOUSTICのスピーカー。2017年に登場したハイエンドモデル「Sonja XV」は4Way10スピーカーのタワーが4基で3800万円という超ド級モデルでした。その設計思想を受け継いだのが「Sonja 2」です。ツイーターにソフトドームとハードドームのいいとこ取りを実現したというハイブリッド・ツイーターを搭載しました。エンクロージャーは共振を嫌い、フロントバッフル最大44mm、リアパネル最大38mm、サイドパネル最大26mm厚の航空機グレードアルミニウムを切削して作られています。

↑YG ACOUSTIC「Sonja 2」(1100万円ペア)

 

【940万円】楽器のような華麗なフォルムが魅力「white light anniversary」

ルーメンホワイトのエンクロージャーは、内部に吸音材を入れず優雅な流線型を描いています。密度の異なる楽器グレードの木材を積層した特製品を使って、流体力学とエアープレッシャー・ダイナミックス・モデリング解析に基づいたデザインは他のどのスピーカーにも似ていません。ユニットはセラミックツイーターとセラミックスコーカー、そして、アルミハニカム/セラミックコンポジットウーハーを採用。ハイスピードで、美しい響きのある音を再生してくれます。「white light anniversary」は高さ129cm、重さ85kgで940万円です。

↑lumenwhite「white light anniversary」(940万円ペア)

 

【700万円】カーボンモノコックを使ったマジコ「M2」

マジコはテクニカルデザイナーアーロン・ウルフ氏が1996年に創立したハイエンドスピーカーのメーカーです。エンクロージャーの素材に理想とする6061-T6と呼ばれるアルミ合金を使った「Model 6」でハイエンド界に参入しました。4Way6スピーカーで高さ144.8cm、重さは何と295kg! それからもアルミ合金を使った高剛性の密閉型エンクロージャーを追求して、円筒形のアルミ合金引き抜き材を使った3ピース構造に到達しました。

↑MAGICO「M2」(700万円ペア)専用スタンド95万円

 

2019年、カーボンモノコックエンクロージャーを採用したMシリーズを製品化。多層のカーボンファイバーを3/8インチ厚で形成した外殻構造は、アルミ部品と比較して全体の重量を50%軽減しながら、60倍の強度を実現しています。また同じ内容積で外形寸法を30%小さくできます。ツイーターはダイヤモンドコーティングのベリリウムドームで、ミッドレンジにはグラフェンと呼ばれる炭素素材を世界初採用しています。鋼鉄の100倍の強度を持つ極薄のシングルレイヤー素材です。「M2」は高さ114.3cm、重さ74.84kgで700万円です。

 

【580万円】独特なスタイルのベイズ「Courante」

ベイズオーディオはゾルタン・ベイ氏がハンガリーに創立したハイエンドスピーカーメーカーです。彼が考案したBRSドライバーは超軽量素材で作られた透明な円筒形特殊な膜を駆動することで、360度方向に音を放射します。

↑BAYZ「Courante」(580万円ペア)

 

BRSドライバーの面積は通常のドームツイーターの30〜50倍も面積が広いため音のエネルギーが拡散されます。また、直径を変えながら呼吸するように動作するため、ハイスピードで、強烈なエネルギーを備えているそうです。ウーハーはポリマール・マトリックス・コンポジット(PMC)を使ったエンクロージャーに上下逆方向に取り付けられ作用反作用の原理を使って振動や共振を抑えています。6500色の中から好きな色をオーダーすることもできます。「Courante」は高さ139cm、重さ13kgで580万円です。

 

【520万円】ノード「HYLIXA」は3Dプリンタで理想の形を追求

ノードは2018年1月に生まれたばかりのスピーカーブランドで、発祥はイギリス。ワイドレンジ、点音源、小型軽量の3点を追求して設計されたのが「HYLIXA」(ハイラクサ)です。そのユニークな形状は、ツイーターと同軸上に配置したウーハーの低音をエンクロージャー後部に導いてらせん型のホーンを使って前面に出すために設計されました。ホーンの長さは全長1.6mとなり59Hzの低音を再生できます。エンクロージャーは専用スタンドと一体化されています。

 

ツイーターはリングラジエーターで、ミッドレンジは平面振動板を採用。180度の指向性を持ちます。ウーハーは後ろ向きに取り付けられ14cmのコーン型です。エンクロージャーはガラス配合のナイロン材でレーザー焼結法の3Dプリンタにより作られています。受注生産で完成には2ヵ月かかりますが、製作過程を撮影してPDFファイルでオーナーに定期的にメールしてくれるサービスが実施されるそうです。カラーは色見本帳やYMCKの指定で自由に決められるそうです。「HYLIXA」は高さ43.3cm、重さ15kgで520万円です。

↑NODE「HYLIXA」(520万円ペア)

 

↑内部は外周が巻き貝のようにらせん形のホーンになっています

 

↑ドライブするパワーアンプはCHORD「Ultima 3」(418万円ペア)。DACは「DAVE」(150万円)を使用

 

【500万円】同軸リボンシステムのピエガ「Master Line Source 3」

ピエガは1986年、スイスのホルゲンに創立され、96種類のスピーカーを製品化してきました。かなり初期からリボンツイーターと同軸リボンシステムを使ったトールボーイ型を作っています。エンクロージャーはアルミ合金の押し出し成形を採用。内部にはTIMと呼ばれる補強構造があり余分な振動を徹底的に排除しています。

↑PIEGA「Master Line Source 3」(500万円ペア)

 

ツイーターの周りをミッドレンジが囲んだ同軸構造のリボンシステムを開発して、厚さ0.02mmのアルミ振動膜を使いネオジウム磁石によって100dBを超える高能率を実現しています。再生できる周波数帯域が広く、ウーハーとのマッチングに優れています。ウーハーはアルミコーンにセラミックコーティングされたものを使っています。「Master Line Source 3」は50kHzまで再生できるラインソースドライバーを搭載して、高さ165cm、重さ65kgで500万円です。

 

このように、インターナショナルオーディオショウでは、なかなか普段はお目にかかれない超ハイエンドな製品が多数披露され、試聴会に参加することもできます。ぜひみなさんも一度足を運んでみて下さい。

 

【ギャラリー(GetNavi webでご覧いただけます)】

 

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