ソニーのポータブルヘッドホン・イヤホンのフラグシップ、1000XシリーズのBluetooth対応ネックバンドイヤホンが約2年ぶりにアップデートされました。今回は新製品「WI-1000XM2」を飛行機の中などで使ってみた手応えをレポートしたいと思います。
ソニー ワイヤレスノイズキャンセリングイヤホン WI-1000XM2 : ハイレゾ対応 / Amazon Alexa搭載 / bluetoo...
ハイレゾも楽しめるNCイヤホン
1000Xシリーズの1番の特徴は、ソニー独自の音質を重視した高精度なアクティブ・ノイズキャンセリング(NC)機能。完全ワイヤレスイヤホンの「WF-1000XM3」はハイレゾ対応ではありませんが、圧縮音源をハイレゾ相当の音質にアップコンバートして聴ける機能「DSEE HX」を搭載しています。ヘッドホンの「WH-1000XM3」と、今回レポートするWI-1000XM2もこのDSEE HXを搭載していますが、さらに付属のヘッドホンケーブルを使ってオーディオプレーヤーに接続すると純ハイレゾ再生が楽しめます。機内エンターテインメントも手軽に楽しめる1000Xシリーズを探している方は「WHかWI」がオススメです。
Bluetooth接続については、WI-1000XM2が最大96kHz/24bitのハイレゾ相当のワイヤレス音楽体験を可能にするソニー独自のコーデック「LDAC」に対応しているところも見逃せません。LDACのエンコーダーはAndroid 8.0以降から多くのAndroidスマホで利用できるようになりました。例えばソニーのXperiaでなくとも、最新のAndroid 10を搭載するGoogle Pixel 4 XLでもLDACによる上質な音楽再生が楽しめます。
ネックバンドスタイルだから機動性を発揮できる
最新モデルが前機種のWI-1000Xから大きく変わった点のひとつは、本体の可搬性が一段と高まったこと。ハウジングやネックバンドのサイズダウンが図られたため身に着けやすくなり、強くて柔らかいシリコン製のネックバンドは取り回しが軽快。パッケージに付属するソフトケースの中に、わりと無造作に折りたたんで入れて持ち運べます。海外旅行など荷物が増えがちな旅のバッグにも、あまり場所を取らずに収納できてとても便利になりました。
最近はソニーやアップルの完全ワイヤレスイヤホンが大いに注目されているので、本機のようなネックバンドスタイルのワイヤレスイヤホンが持つ魅力がやや見落とされがちであるように思います。筆者も普段は完全ワイヤレスイヤホンをよく使っていますが、飛行機に長時間乗る旅の時にはネックバンドタイプのイヤホンやヘッドホンを選んでいます。
機内が暗くなった後にひと眠りして、再び目が覚めた時にイヤホンが耳から外れてどこかに消えていたという悲劇はなるべくなら避けたいもの。ネックバンドタイプなら音楽を聴いていない間はイヤホンを肩に掛けておけます。オフィスで仕事をしていたり、ジムでトレーニングをする時など、人に話しかけられることも想定される場面ではとっさに耳からイヤホンを外して対応できます。装着スタイルは人によって好みが分かれる所でもありますが、使い込むと見えてくる良さがそれぞれにあるということも覚えておきましょう。
ほかの1000Xシリーズと比べたノイキャン効果や音質は?
ほかの1000Xシリーズと比べてWI-1000XM2のアクティブ・ノイズキャンセリング機能の効果と、音質がどうなのかについては多くの方々が気になるところでしょう。
まずはノイズキャンセリング機能ですが、WI-1000XM2はハウジングの内・外側にマイクを載せてノイズ成分だけを高精度に打ち消すハイブリッド方式の「デュアルノイズセンサーテクノロジー」を採用しています。またソニーが独自に開発、ヘッドホンのWH-1000XM3にも搭載した高性能ノイズキャンセリングプロセッサー「QN1」が搭載されています。電気的なアクティブ・ノイズキャンセリング機能の効果が高いだけでなく、耳栓タイプのカナル型イヤホンなのでイヤーピースによる自然な遮音効果も。結果、消音効果はWH-1000XM3と肩を並べるレベルにあると思います。WF-1000XM3よりも、筆者の場合はイヤホンを耳に装着した際の安定感が高かったので、満足の行く消音効果を実感しました。
スマホの「Sony Headphones Connect」アプリから「ノイズキャンセリングの最適化」を行なうと、イヤホンの装着状態に加えて、周囲の気圧に合わせて消音レベルの自動調節ができます。飛行機が離陸してから、安定飛行に入った後に測定を行うとさらに高い消音効果が得られるので、ぜひ活用するべき機能だと思います。
パッケージに付属するイヤーピースはシリコン製のハイブリッドイヤーピースロングと、フォーム素材のトリプルコンフォートイヤーピースがあります。装着感の好み、または遮音効果によって耳に合うイヤーピースを選べばよいのですが、ノイズキャンセリングイヤホンの場合、イヤーピースのサイズが適正でないと期待できる最大の遮音効果が得られない場合もあります。正しいイヤーピースの選択と、耳の奥までしっかりとグリップさせて身に着ける習慣は心がけて使いましょう。筆者の場合はハイブリッドイヤーピースロングのLサイズが最も高い遮音効果が得られました。
ハイレゾ対応のサウンドは伊達じゃない
WI-1000XM2もノイズキャンセリングの効果が各帯域に均等なバランスで自然にかかるため、音楽リスニングも長時間にわたって心地よく楽しめます。音楽再生を止めて消音効果そのものを確かめてみると、高域・低域の飛行ノイズに限らず、日常生活を送る中で最も気になる「人の声」もしっかりと消しこんでくれました。機能のオン・オフをスイッチしてみても、音楽のバランスが崩れることもありません。
WI-1000Xに比べると、中低域の肉付きがさらにふくよかになって、音の芯が強くしなやかになった印象を受けました。高域へのスムーズな音のつながりと一体感も豊かさを増しています。女性ボーカルやクラシックの弦楽器の艶っぽい響き、アップテンポなジャズやロックのリズムの弾力感が楽しめます。
iPhoneとの組み合わせではLDACが使用できないものの、代わりにDSEE HXをオンにすると音楽の情報量が増えて、声やアコースティック楽器の残響がとてもリッチになります。そしてLDACによるワイヤレス音楽再生もPixel 4 XLで試してみましたが、やはり独特の解像度の高さと中高域の透明感は、他のBluetoothのオーディオコーデックで楽しむワイヤレスリスニングとはひと味違います。
ライバルはヘッドホンのWH-1000XM3
広々とした音場感の描写についてはやはり、ゆったりとしたイヤーカップで耳全体を覆うヘッドホンの方が一枚上手かもしれませんが、そもそもヘッドホンを長時間身に着けていることが苦手という方にも、WI-1000XM2の方が負担が少なくて済むし、ノイズキャンセリングや高品位な音楽再生の実力は「WH-1000MX3がライバル」という出来映えに到達しています。
不足を感じる箇所を挙げるとすれば、屋外で使うことを想定した防滴性能が確保されていないことでしょうか。バッテリはノイズキャンセリング機能をオンにして使い続けても、連続約10時間の音楽再生に対応しているので安心して使えると思います。価格も安くはないワイヤレスイヤホンですが、その洗練されたハイパフォーマンスを使い込むほどに実感できる「良い買い物」になるでしょう。
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