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2019/12/24 19:15

“インピーダンス”ってどういう意味? ポタアンと組み合わせて聴きたいRHA「CL750」

スピーカーではほとんど変わらないのに、イヤホンでは大きく変化するスペックがあります。それが“インピーダンス”です。日本語で書けば交流抵抗。読んで字の如し、数字が小さければ電流が流れやすく、大きければ流れにくくなります。スピーカーのインピーダンスは通常4〜8Ωに収まっていますが、イヤホンの場合は、数値が小さいモデルは8Ω程度なのに対して、大きい場合だと300Ωや600Ωなどのハイインピーダンスモデルが存在します。その理由は何でしょう。

 

インピーダンスが低いと電流が流れやすいので大音量が出せます。インピーダンスが高いと同じ音量を出すめに大電流が必要になりアンプに負担をかけます。つまり、アンプにパワーのないスマホでも音量を確保しようと思うと、ローインピーダンスが必須です。それで最近は16Ωなどのローインピーダンス設計になっています。一方、昔からのヘッドホンはヘッドホンアンプに接続することを前提に作られたので、ハイインピーダンスも多く見られます。特にハイエンドモデルや業務用は100Ωを超えることが珍しくありません。つまりハイインピーダンスなイヤホンはアンプが必要で、スマホに接続すると音量がとれないリスクを持っています。

 

それでも、目指す音質を実現させるために、あえてハイインピーダンスで製品を設計する場合もあります。英国のオーディオブランドRHAのイヤホン「CL750」もそのひとつ。2016年に発売され一度は生産終了となっていましたが、根強い人気により2019年に数量限定で復刻されました。

↑RHA「CL750」/実勢価格約1万7170円(税込)

 

↑パッケージはシックなマットブラックで右下にハイレゾ対応のロゴが輝いています

 

このCL750は、イヤホンにしてはハイインピーダンスな150Ωとなっており、ポタアンやDAP(デジタルオーディオプレーヤー)と組み合わせることを想定しています。もちろんインピーダンスだけで音質が決まるわけではありませんが、RHAの場合はMAシリーズのインピーダンスは16Ω、ハイエンドモデルの「CL1 Ceramic」は「CL750」と同じ150Ωです。

 

外見は「MA750」と同じ本機ですが、ドライバーはCLダイナミックトランスデューサーと呼ばれる専用設計品を搭載して、再生周波数帯域を16Hz〜45kHzまでワイドレンジ化しています。ケーブルは透明なシースに収まった網組OFC製を採用、リケーブルには非対応です。

↑ハウジングはステンレス合金製で、エアロフォニックと呼ばれる流れるような曲線的なデザインが採用されています

 

↑オーバーイヤーケーブルサポートと呼ばれるシステムでイヤホンを固定するためイヤーフックが内蔵され、ケーブルを耳の上に回した状態でイヤホンを固定できます

 

↑キャリングケースにはイヤホンとイヤピースなどの付属品が収納できます。イヤピースは3種類が付属

 

45kHzまで伸びる透明感のある高域とハイスピードでタイトな低域

さっそくCL750の音を聴いてみました。先日、コンサートに行って来たばかりの手嶌 葵がアンコールで歌った「明日への手紙」をAstell&Kern「SP1000」で再生すると、独特の透明感のある彼女のボーカルがよみがえってきました。高域がどこまで伸びるような感じで、か細くなることなく安定した歌声です。S/N感が良くノイズが少ないので透明感ある歌声が濁らず再現されます。ボーカルの音像はやや大きめですが輪郭はシャープ。情報量が多く、細かい音まで聴きとれます。

 

次に低域の量感をチェックするために井筒加奈江の「サクセス」を聴きます。ボーカルはややクールでコンガとベースはタイトでスピード感のある音です。量感は控え目ですが、イヤピースをコンプライに変更すると、ボーカルはしっとりとして低音の量感も増えました。しかし、独特の高域の個性がやや薄まる感じもして悩ましい所です。すべてのイヤーチップを試してみるとシリコン製の1番大きいサイズが私の耳にピッタリと判明。低域のバランスもいままでで1番で、高域の情報量もMAXになりましたが、ボーカルの子音はややキツメです。

 

CL750は高域再生に重きを置いて、スピード感を大切に、低域はタイト、音色はややクールがお好きな人にオススメのイヤホンです。ハイインピーダンスでDAPやヘッドホンアンプが必要になるモデルですが、低価格で高音質を追求したい人には挑戦する価値があると思いますので、ぜひ試聴してみて下さい。

【ギャラリー(GetNavi webでご覧いただけます)】

 

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