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イヤホン
2019/12/5 20:35

10万円超は当たり前! 2019年のトレンドアイテム「超高級イヤホン」7機種を一挙レビュー

2019年のポータブルオーディオのトレンドとして、「完全ワイヤレスイヤホン」に代表されるワイヤレス化の波とともに挙げられるのが、各オーディオブランドが技術を結集して開発した10万円超の「超高級イヤホン」です。ソニーが発売した20万円超の「IER-Z1R」を皮切りに、オーディオテクニカやテクニクスといったブランドから続々とハイエンドモデルが登場しています。

 

今回は、各社のリファレンスモデルをオーディオライターの山本 敦さんと、GetNavi web編集部のオーディオ担当・一條が試聴したレビューコメントを紹介します。この冬、ハイエンドなイヤホンの購入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみて下さい。

【今回試した機種】

1.ソニー「IER-Z1R」

2.オーディオテクニカ「ATH-IEX1」

3.テクニクス「EAH-TZ700」

4.ビクター「HA-FW10000」

5.ビクター「HA-FW1500」

6.ゼンハイザー「IE 800 S」

7.アステル&ケルン「AK T9iE」

 

【その1】

ソニーの音を体現する最上級イヤホン

ソニー
IER-Z1R

実売価格21万9800円

SONY IER-Z1R ステレオヘッドホン

SONY IER-Z1R ステレオヘッドホン

¥204,900(as of 10/21 12:56)
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低域から中高域をカバーする12mmダイナミック型、高域用のBA型、超高域用の5mmダイナミック型を組み合わせた「HDハイブリッドドライバーシステム」を搭載。緻密かつ自然な広がりのサウンドを堪能できます。ハウジング素材には、高い硬度と耐食性を備えるジルコニウム合金を採用。フェイスプレートにペルラージュ加工を施し、高級腕時計のような品格を漂わせています。

【SPEC】●インピーダンス:40Ω ●音圧感度:103dB/mW ●再生周波数帯域:3Hz~100kHz ●最大入力:100mW ●質量:約26g(ケーブル含まず) ●イヤホン端子:MMCX/3.5mmアンバランス、4.4mmバランス

 

【山本コメント】

ソニーのオーディオイヤホンの頂点に君臨する。高い耐久性と耐腐食性を持つジルコニウム合金のハウジングが永遠の輝きを放っている。ソニーのファンならぜひコレクションに加えておきたい垂涎のモデル。音のつながりが驚くほどに滑らか。しなやかなボーカル、包み込まれるようなオーケストラのスケール感。隙らしい隙が見当たらないほどよくまとまっている。ただ、本機の実力を引き出し切るためには、ある程度以上の実力あるプレーヤーやアンプを用意したい。

【一條コメント】

カラッと乾いた明るいサウンドで、低域から中高域までどの音も過不足なく出ている。解像度も高く、音の響きも豊かで聴く音楽のジャンルを選ばない万能ぶり。あまりに高いレベルでまとまりすぎているゆえに、もう少し個性が欲しいと感じてしまうのは優等生ならではの悩みか。ハウジングが大きく重いので、歩きながら聴くのには向いていない。落ち着いた環境でじっくり音楽と向き合うためのイヤホンといえよう。

 

【その2】

世界初のドライバー構造が新次元の音を再生

オーディオテクニカ
ATH-IEX1

実売価格13万6530円

9.8mm径のダイナミック型ドライバー、8.8mm径のパッシブラジエーター、超高音域用のバランスド・アーマチュア(BA)型ドライバー×2基を組み合わせたマルチドライバー構造(PAT.P)を採用していることが特徴。ダイナミックドライバーとパッシブラジエーターは、向かい合わせに対向配置された“DUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERS”構造となっており、2つの振動板の動きが同期することで歪みを最小限に抑えています。ハウジングは高い剛性を誇る「切削フルチタニウムボディ」。

【SPEC】●インピーダンス:5Ω ●音圧感度:102dB/mW ●再生周波数帯域:5Hz~50kHz ●最大入力:3mW ●質量:約19g(ケーブル含まず) ●イヤホン端子:A2DCコネクタ/3.5mmアンバランス、4.4mmバランス

 

【山本コメント】

オーディオテクニカ入魂のハイエンドイヤーモニター。聴こえてくるすべての音に活力があり、ぐいぐいと音楽に引き込まれてしまった。ボーカルのメロディが起伏に富んでいて、繊細な声のビブラートや息づかいの変化、滑らかな輪郭のリアルな質感にまで間近に迫れる。ジャキっと響く乾いたエレキのカッティングも小気味よい。ダイナミックなピアノの演奏の熱量もストレートに伝える。音楽性の豊かさがとにかく際立っているイヤホン。

【一條コメント】

音に躍動感があり、とにかくエネルギッシュ。それに加え、繊細な音までしっかり拾う解像度の高さも備えており、リファレンスクラスのポテンシャルの高さが感じられる。ジャンルを問わず聴けるが、やはりビートの効いたロックやポップスなどを聴くと良さを実感する。本体はやや大きめだが、装着感は良好。

 

【その3】

新生テクニクスの音を耳元で感じる

テクニクス
EAH-TZ700

実売価格13万2000円

新生テクニクス初のイヤホンは、業界初の磁性流体を用いた「プレシジョンモーションドライバー」を搭載。超低域から100kHzの超高域まで、広帯域にわたり歪みのないサウンド再生を実現しています。本体のノズル部(ポートハウジング部)には軽量で高い高度のチタンを、本体ハウジング部にはマグネシウムダイキャストを使用し、不要な振動を抑制。また、ドライバーからポートまで直線上に配置した同軸レイアウトを採用しています。

【SPEC】●インピーダンス:19Ω ●音圧感度:108dB/mW ●再生周波数帯域:3Hz~100kHz ●最大入力:100mW ●質量:約7g(ケーブル含まず) ●イヤホン端子:MMCX/3.5mmアンバランス、2.5mmバランス

 

【山本コメント】

テクニクスの最上位イヤホン。磁性流体の選択により歪みの少ない正確な振動板のストロークを実現したダイナミック型のプレシジョンモーションドライバーや、チタンとマグネシウムを組み合わせた制振性能の高いハウジングを特徴としている。解像度が高く、中高域の情報量が豊か。低音もパンチ力がある。被写体にくまなくフォーカスを合わせた写真のように、微細な音まで粒が立っている。バランス接続に変えてみると音の底力が一段と増した。

【一條コメント】

コンパクトな見た目から想像できないくらい低音がしっかりと出ているのに、中高域も低音にマスキングされずクリアに聴こえるという、いったいどうやってシングルドライバーでこの音を出しているのだろうと不思議に思えるサウンド。解像度も高く、モニター的な緻密さと、リスニング向きのダイナミックさを兼ね備えている。コンパクトで耳へのおさまりがよく、装着感は良好。

 

【その4】

“木”が奏でる音を究極まで追求

ビクター
HA-FW10000

実売価格17万6220円

WOODシリーズ誕生10周年を記念した新フラッグシップモデル。薄さ50ミクロンの軽量ウッドドームに、カーボンコーティングしたPET振動板を組み合わせた新開発のドライバーユニットを採用。ハウジングとスタビライザーには日本産楓の無垢材を削り出したものを使い、硬度の高い漆を多層塗りして仕上げています。本体デザインは、MMCX端子を独立したポッドに収納し、ハウジングから分離する構造を採用。ハウジング内の音響設計の自由度を大きく確保することで、徹底した音質追求を図っています。

【SPEC】●インピーダンス:16Ω ●音圧感度:102dB/mW ●再生周波数帯域:6Hz~52kHz ●最大入力:200mW ●質量:約21.5g(ケーブル含まず) ●イヤホン端子:MMCX/3.5mmアンバランス

 

【山本コメント】

ビクターのウッドシリーズが誇る最強のフラグシップ。ウッドと金属、それぞれのマテリアルが高品位な音楽再生のために果たすべき役割を最大限に引き出しながら、緻密さと大胆さ、温もりと涼しさを併せ持つ雄大なサウンドを描く。天然の湧き水のように清らかなボーカル、ピアノなどアコースティック楽器のピュアな音色にうっとりとしてしまった。ハイレゾ音源のディティールの再現力は今回聴いたイヤホンの中でもトップクラス。音楽ソースの実力を丸裸にしてしまうイヤホンだ。

【一條コメント】

一聴したところ、フラットでかなりあっさりした音だなと感じたが、聴き込む内に独特な開放感のある音に引き込まれた。音場の表現がすばらしく、ライブ音源などを聴くとホールの広さまで想像できてしまいそう。クラシック音楽を聴くのに最適。薬師丸ひろ子の「WOMAN “Wの悲劇”より」ハイレゾ版では、澄んだボーカルが消えゆく瞬間まで堪能できた。リファレンスクラスにふさわしい質感の高さも、所有欲を満たしてくれる。

 

【その5】

木のぬくもりを感じるアコースティックサウンド

ビクター
HA-FW1500

実売価格6万5780円

WOODシリーズの最上位モデル「HA-FW10000」からウッドドーム振動板などの高音質化技術を継承。独自の薄膜加工技術により薄く削り出した50umウッドドームをカーボンコーティングしたPET振動板に組み合わせることで、緻密な表現力と豊かな音色を実現しています。ユニット前面に不要な音を拡散するドットを配置した独自の「アコースティックピュリファイアー」により、透明感のあるサウンドを奏でます。

【SPEC】●インピーダンス:16Ω ●音圧感度:103dB/mW ●再生周波数帯域:6Hz~52kHz ●最大入力:200mW ●質量:約15g(ケーブル含まず) ●イヤホン端子:MMCX/3.5mmアンバランス

 

【山本コメント】

ウッドシリーズの上級イヤホン。元気で明るいボーカル。ピアノの音色はアタック感が鋭くて気持ちいい。余韻もきれいに伸びる。低音は足元が揺るがない。オーケストラの雄大な演奏は奥行きの懐がとても深い。上品で繊細なニュアンスの再現力はフラグシップのFW10000に譲るが、ウッドシリーズのイヤホンらしく真面目に原音再生を追求した色付けのないピュアなサウンドが存分に楽しめる。グレードの高いケーブルや交換イヤーピースの「スパイラルドット+」など純正同梱品も贅沢。

【一條コメント】

中域の表現力が豊かなボーカル向きのサウンド。クッキリ・キビキビとした“今っぽい”鳴り方とは対照的な、ゆったりとしたウォームな音が心地よく、ノラ・ジョーンズの「Come Away With Me」を聴いたら最高にマッチした。解像感や音場の表現力はほかのリファレンスモデルに及ばないものの、味わい深い個性を有したイヤホンだ。

 

【その6】

生まれ変わったハイエンドイヤホンの先駆けモデル

ゼンハイザー
IE 800 S

実売価格11万2752円

独自開発された「エクストラワイドバンド(XWB)ドライバー」を搭載し、繊細で臨場感あふれるサウンドを実現。さらに、独自の「D2CAテクノロジー(Damped 2 chamber absorber)」により、不要な共鳴を排除して音響のわずかなニュアンスまでも余さず伝えます。筐体はセラミック素材につや消しの黒色仕上げを施し、強度と軽さを両立。4.4mmバランス、2.5mmバランス、3.5mmアンバランスの3種類のケーブルが同梱されます。

【SPEC】●インピーダンス:16Ω ●音圧感度:125dB/mW ●再生周波数帯域:8Hz~41kHz(-3dB) ●最大入力:- ●質量:約8g(ケーブル含まず) ●イヤホン端子:MMCX/4.4mmバランス、2.5mmバランス、3.5mmアンバランス

 

【山本コメント】

ハイレゾが今日ほど一般的ではなかった頃、既にゼンハイザーが独自に開発していた超広帯域ダイナミック型ドライバーを搭載するフラグシップモデル。ワイドレンジでありながら繊細なニュアンスの再現力にも富む。コンパクトサイズなのに中低域も骨太。ジャズピアノの低音は線は細めだが、芯が強くしなやか。ナチュラルなボーカルのすっぴんの表情が浮かび上がる。最新のハイエンドイヤホンに比べると音像はコンパクトだが、インパクトで力負けしていない。

【一條コメント】

手にしたときに、その小ささ・軽さにまず驚いた。今回試したなかでは圧倒的にコンパクトで、耳への収まりがよい。音はレンジが広く、高域も低域もしっかり出ているものの、量感がやや足りない印象。どちらかというとモニターライクな鳴り方。音場はそれほど広くなく、タイトに鳴らすタイプ。

 

【その7】

TESLAテクノロジーが生み出すハイレスポンスなサウンド

アステル&ケルン
AK T9iE

実売価格13万4980円

独beyerdynamicとAstell&Kernのコラボモデル。beyerdynamic独自の高磁束密度技術「TESLAテクノロジー」が高効率と高い再現力をもたらし、正確でニュートラルなサウンドを実現します。新たに搭載した新開発「アコースティックベントポート」がレスポンスに優れた低域再生を可能にし、2層構造の「アコースティックフィルター」が高域特性を最適化。ケーブルは7N OCC銅線に4N純銀をコーティングしたハイブリッド構造で、3.5mmステレオミニプラグ変換用のショートケーブルが付属します。

【SPEC】●インピーダンス:16Ω ●音圧感度:- ●再生周波数帯域:8Hz~48kHz ●最大入力:10mW ●質量:- ●イヤホン端子:MMCX/2.5mmバランス、3.5mmアンバランス

【山本コメント】

煌びやかな高域の精細感を特徴とする。ベイヤーダイナミックのテスラドライバーを中核としたレスポンスの鋭さ、きめ細かな解像表現力に長けている。クラシックピアノは情感が生々しい。ロックやポップスはボーカルの音像を力強く押し出してくる。ジャズピアノは低音の躍動感が冴え渡っている。鍵盤の上をすべる手元の動きまで目に浮かぶようだ。ケーブルはデフォルトで2.5mm/4極のバランス仕様。最適なイヤーピースを選んで耳にしっかりとグリップさせたい。

【一條コメント】

とにかく解像度の高さが印象的。かといってモニターっぽさはなく、音楽的な表現も感じられる。高域がキラキラと伸びやかで疾走感もあり、今回試したなかで1番“今っぽい”音。近年のアニソンや打ち込み系の曲を聴くのにピッタリ。装着感について、イヤホン自体はコンパクトで耳へのおさまりがよいものの、ケーブルがゴツすぎてしっかりなじむのに時間がかかった。

 

↑AK T9iEを試聴する山本 敦さん

 

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