手ごろな価格帯のラインナップを揃えた有線イヤホン「Eシリーズ」がヒットし、いま勢いのあるオーディオブランド「final」が、直営店舗「final STORE」を秋葉原の新商業施設「SEEKBASE」内に2019年12月にオープンしました。
このfinal STOREは、finalブランドのイヤホンやヘッドホンなどを実際に試聴して購入することもできるショールーム。これまで、川崎の本社内のショールームを不定期開放して一般のユーザーを受け入れていましたが、事前予約の倍率が10倍以上になることもあり、よりアクセスがよい場所で気軽に立ち寄れるようにということでここ秋葉原に開設されました。
SEEKBASEのコンセプトにもマッチする「隠れ家感」をコンセプトにした店内は、木のインテリアでそろえられた上質感のある落ち着いた内装が特徴。店内にはfinalブランドのイヤホンやヘッドホンが展示され、イスに座ってゆっくり試聴することができます。
店内には、騒音を気にせずじっくり試聴できる個室の防音室も用意され、こちらは公式アプリ「My final」(https://snext-final.com/app/)から予約が可能。予約が入っていないときは飛び込みで利用もでき、誰でも無料で利用することができます。
今回は、店内に用意されているfinalブランドのイヤホンやヘッドホンを、オーディオライターのゴン川野さんに聴いて頂きました。
手ごろな価格からハイエンドまでラインナップ豊富
【有線イヤホン編】
E500
直販価格2020円
バイノーラル録音など音の移動感方向感に特化して設計されたモデル。音が頭の周りをグルッと一周したり、下から上に音が移動する様子がリアルに分かる。スッキリとした音で情報量は不足していないが、音楽を楽しむにはやや音の厚みに欠ける印象。(ゴン川野)
E1000
直販価格2530円
女性ボーカルにツヤがありホットな音色が耳に飛び込んでくる。低域はややゆったりとして、ボーカルの音像は大きめ。帯域を欲張らずに、その範囲でうまく音をまとめている。フラットバランスで低域がやや物足りないものの、刺激が少なく長時間聞いていられる音だ。(ゴン川野)
E2000
直販価格4470円
全体的に音に厚みがあり、特に低音がよく出る。E1000と比較すると音数が増えてサウンドがリッチになった印象。ジャズではハイハットの響きが良く聞こえる。バランスは中低域寄りで、そこに高域がスパイス的に輝く。ボーカルの音像定位も向上した。(ゴン川野)
E3000
直販価格5580円
女性ボーカルの音色はドライから、ややウエットになった。しかし、まだザラザラとした荒削りな面がある。音場は左右の広がりだけでなく前後の奥行き感も感じられる。全体的に落ち着いた感じで、音の輪郭を強調しない、大人の音ともいえる。(ゴン川野)
E4000
直販価格1万6100円
解像度重視の音になり、音の輪郭がクッキリして粒立ちが良くなった。再生できる周波数も広がって、低域は沈み込み、高域はハッキリ聴こえる。メリハリがあって厚みのある音になり、ボーカルが演奏の主役になって前に出る。(ゴン川野)
E5000
直販価格3万360円
華やかなデザインとはギャップのある落ち着いた音。E4000の粒立ちの良さを滑らかな感じにした音だ。エッジは立っていないがスピード感があって、音の立ち上がりは素早い。アコースティックな楽器の音色がリアルでクラシックにも対応できるモデル。(ゴン川野)
B1
直販価格7万1100円
BA(バランスド・アーマチュア)型ドライバーとダイナミック型のハイブリッドモデルで、高域の解像感と低域の量感を両立している。音のつながりが良くシングルドライバーのように聴こえる。女性ボーカルは艶があってなめらか。低音は量感が増えた分だけ、解像度は若干低下して、全体的にゆったりしたイメージ。(ゴン川野)
B2
直販価格3万360円
BAのシングルドライバーらしくハイスピードで、カチットしたフォーカスのシャープな音。ハイスピードで緊張感のある演奏が再現される。女性ボーカルは硬質でややドライな音色。音離れがよくハイハットやピアノのアタック音がリアルに再現された。(ゴン川野)
B3
直販価格5万730円
BA型2基によるデュアルドライバーで、ワイドレンジな音。左右に広がり感があって音像定位が明確に分かる。高域に透明感があり、全帯域でクッキリとした音を再生する。もっともBAらしさが感じられるモデルで、張りつめたような緊張感の再現を得意とする。(ゴン川野)
A8000
直販価格19万8000円
女性ボーカルのなめらかさと、解像度が高くキレのいい音を両立している。特に低域の解像度が高く、低音が遅れず団子状にならない。高域はシャープでカッチリしている。音場は広く奥行き感もある。本機に使われたベリリウム振動板はダイナミック型のなめらかで厚みのある音と、BA型の高解像度で正確な音場感を合わせ持つ理想のドライバーといえる。(ゴン川野)
ハイエンドなヘッドホンと対照的なお手ごろワイヤレス
【有線ヘッドホン編】
D8000
直販価格39万5190円
低音再生が苦手という平面駆動型の弱点を克服したモデルで、低域から高域までフラットな特性で、非常に解像度が高く音場感豊かな音を再生する。S/N感も高く音楽が再生される前の静けさが感じられる。立ち上がりが良く、透明感が高くサラサラとした感じ。クセがなく録音されたソースを正確に再生するモニター機器的性格を持つため、再生するヘッドフォンアンプの音質が色濃く反映される。(ゴン川野)
D8000 Pro Edition
直販価格44万6120円
試聴室のリファレンスヘッドホンアンプであるマス工房「model406」とバランス接続で試聴すると、音楽全体に厚みがあって、音色はウォームで、女性ボーカルが魅力的に聞こえる。D8000はややドライな音だが、こちらはそれに比較するとウエットな音で耳に優しい。音に厚みが出るが、その分、音場は狭くなる傾向がある。(ゴン川野)
【完全ワイヤレスイヤホン編】
完全ワイヤレスイヤホン「ag」シリーズは、finalブランドではないものの、SOUND TUNED BY finalとして音質監修をfinalが務めたもの。高音質なKラインと、カジュアルに使えるRラインの2ライン3モデルをラインナップしています。
ag「TWS01K」
直販価格1万2800円
一聴して分かる情報量の多さが特徴。aptXにも対応してワイドレンジで高域の抜けがいい音を聴かせてくれる。音に厚みがあってボーカルの息づかいもリアルに再現。低域はふくらまずに全域に渡ってタイトな音を貫いている。(ゴン川野)
ag「TWS02R」
直販価格8480円
ワイドレンジでメリハリのある音、モバイル環境でも音量を上げずに音楽を楽しめる。TWS03Rと比較すると音数が多く、ボーカルのニュアンスが伝わる。(ゴン川野)
ag「WS03R」
直販価格5980円
音楽のエッセンスを伝えてくれる音離れがよくスッキリした音。音色はややウォームで聞きやすい。楽曲によっては低音は物足りないと感じられることがあった。(ゴン川野)
上記で紹介した製品はすべてfinal STOREで試聴および購入が可能。同店では、イヤホンの組み立て体験会やファンイベント、カスタマイズできるイヤホン「MAKE」シリーズのチューニングサービスなどを今後展開していく予定とのこと。秋葉原へお越しの際は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
【店舗詳細】
final STORE
住所:東京都千代田区神田練塀町13-1外 SEEKBASE 01棟1-2
営業時間:11:00~20:00(年末年始休暇を除く)