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2020/4/8 18:00

一粒で5度以上おいしい上に万人向けーーシュアの完全ワイヤレスイヤホン「AONIC 215」を丁寧解説

アメリカの人気イヤホンブランド、SHURE(シュア)が2020年のCESで発表した完全ワイヤレススタイルのイヤホン「AONIC(エイオニック) 215」を発売しました。注目製品のハンズオン速報レビューをお届けします。

↑シュアから待望の完全ワイヤレスイヤホン「AONIC 215」が発売されました

 

人気のSEシリーズがそのまま完全ワイヤレスイヤホンになる

AONIC 215はMMCX互換の左右独立型Bluetoothワイヤレスレシーバー「RMCE-TW1」と、間もなく発売から10年を迎えるロングセラーのカナル型イヤホン「SE 215」を組み合わせた最強のパッケージです。実売予想価格は2万9800円前後。SE 215のカラバリに合わせた4色、ブラック/クリア/トランスルーセントブルー/ホワイトが揃います。RMCE-TW1(以下:TW1)単体は実売予想価格2万4800円前後を予定。

 

オタマジャクシのような形のTW1は、伝統の“シュア掛け”スタイルで装着します。SE 215をはじめ、シュアのSEシリーズとの互換性を確保した理想的な装着感と遮音性能が魅力です。装着感については。既にSEシリーズを愛用するユーザーの方には「SEシリーズがそのまま完全ワイヤレスイヤホンになった感覚」と伝えた方がわかりやすいでしょうか。

↑オタマジャクシのようなデザインの本体。“シュア掛け”スタイルで耳に装着します

 

他社のMMCXコネクタを採用するリケーブル対応のイヤホンも装着できますが、シュアのSEシリーズほど安定した装着感が得られなかったり、同じMMCXコネクタなのに端子部分の形状が微妙に異なるため装着できなかったりする場合もあります。そのため、購入前にショップやイベントに展示されている実機で試してみたほうがよいでしょう。

↑MMCXコネクタによるリケーブルに対応

 

↑同じMMCXでも、AKG N30のようにコネクタが凹形状になっているイヤホンの場合はTW1の端子が装着できない場合があります。店頭などで確認してみることをおすすめします

 

シュア独自設計のパワフルなアンプを内蔵

TW1の本体には、データは公表されていませんがおそらくクアルコムのオーディオ向けBluetooth ICチップが搭載されています。しかし、アンプはICチップと一体のものを使わずに、シュア独自設計のヘッドホンアンプを組み合わせているそうです。

↑シュアが設計したヘッドホンアンプを搭載する本体に少し膨らみがあります

 

イヤホンに内蔵するバッテリーによる連続音楽再生は約8時間まで対応。ケースでプラス2回の充電ができます。

↑充電ケースにはイヤーフックを外さない状態でAONIC 215をまるごと収納できます。イヤホンは内蔵バッテリーで約8時間の連続音楽再生に対応。ケースで2回ぶんのフル充電がプラスできます

 

↑充電ケースの背面にバッテリー残量のLEDインジケータを搭載。USB Type-Cケーブルでチャージします

 

アクティブ・ノイズキャンセリング機能は搭載していませんが、付属するイヤーチップで高い遮音性能が得られることはSEシリーズのユーザーならご存じかもしれません。むしろ外の環境音が聞こえるように外音取り込み機能(環境モード)を設けています。外音取り込み機能の作り込みには世界トップレベルのマイクロフォンのブランドでもあるシュアの、マイクロフォン部門のエンジニアが共同開発に参加しています。

 

左右のイヤホンにはボタン式のリモコンを内蔵。基本設定はiOS/Android対応のモバイルアプリ「Shure Plus Play」から行います。それぞれの使い勝手を紹介する前に、まずはAONIC 215の音質をチェックしてみましょう。

 

SE 535などもつないで聴き比べてみた

AONIC 215はaptX接続の音質を確かめるためにソニーモバイルのAndroidスマートフォン「Xperia 5」につないで試聴しました。

↑Xperia 5をリファレンスに、aptX再生の音質をチェックしました

 

とても立体的で分離感がよく、歌ものの楽曲はボーカリストの音像がぐんと前に出てきます。雑味がなく、広々としたステージは奥行き方向まで深く見渡せるようです。低音のアタックも鋭く肉付きもよし。アップテンポな楽曲のスピード感も手応え十分です。

 

イヤホンをシュアの「SE 535 Special Edition」に交換してみると音場の広がりと透明感に磨きがかかり、さらにレベルの高いイヤホンを組み合わせたことが明らかにわかります。微小な音のインパクトも力強く、余韻の階調感がとてもなめらか。シュア独自設計のアンプを積んだ効果が現れているのではないでしょうか。

↑SE 535 Special Editionを装着。イヤホンの個性が明らかに違うことがよくわかります

 

SE 535に付属するケーブルを、USB Type-C端子への変換アダプターに接続して同じXperia 5につないで聴き比べてみました。Xperiaは音質にもこだわるスマートフォンですが、やはりAONIC 215で聴く方がTW1に搭載されているアンプを経由するぶん、Bluetooth再生にもかかわらず音のクリアさと立体感では一枚上手であるように感じました。少なくともスマホと組み合わせて音楽を聴く限りでは、SEシリーズはスマホにケーブルをつないで有線リスニングで楽しむよりも、TW1や同じシュアのBluetoothアダプター「RMCE-BT2」を組み合わせてワイヤレスで聴く道を選ぶ方がいい音を楽しめそうです。

 

SEシリーズ以外にも、筆者がふだん使っている「AK T9iE」などMMCXコネクタを採用するイヤホンもTW1につないで聴いてみました。TW1はイヤホンの素性をむやみに飾り立てることなく自然に引き出してくれました。まさしく「AK T9iEがそのまま完全ワイヤレスイヤホンになった感覚」という感じです。

↑Astell&Kernの「AK T9iE」も装着可能でした

 

イヤホンをSE 215に戻してから、スマホはiPhone 11 ProとXperia 5を切り換えながら、Xperiaの側は音声コーデックをAACに固定して同じ楽曲を再生してみるとプレーヤーによる音質の違いも浮き彫りになってきます。気が付けばAONIC 215による“聴き比べ”に見事にハマってしまいました。

 

アプリや本体リモコンの操作性

TW1はルックスが少し大柄に見えるかもしれませんが、SEシリーズと組み合わせた場合の装着感はとても心地よく、耳元での安定感も抜群でした。身に着けてしまえば意外に目立ちません。メガネの上からでも違和感なく装着できます。メガネのテンプルの形状にも依ると思いますが、筆者が普段使っているメガネはテンプルが薄肉形状だったので「TW1 on メガネ」も大丈夫でした。

↑AONIC 215を装着。アダプターが飛び出て見えないのが良いところ

 

TW1を身に着けて体を激しく動かしても、特にSEシリーズとの組み合わせであればイヤホンが耳から落ちそうになることもありませんでした。1点気を付けるべきことは、AONIC 215として、またはTW1としても本体の防滴・防汗性能をうたっていないようなので、多めに汗をかくスポーツシーンや屋外で雨に打たれながら本機で音楽を聴くことは故障の原因にもなるので控えた方がよいでしょう。

 

「Shure Plus Playアプリ」からは外音取り込み機能のオン・オフ、11段階のレベル切り換えが操作可能。ゲージを右側いっぱいに振ると外音取り込みのレベルが最大になります。環境音を取り込みすぎることもなく、自然に周りの音にも注意を向けられました。SEシリーズのように遮音性の高いイヤホンとTW1を組み合わせる際に真価を発揮してくれるでしょう。

↑コンパニオンアプリの「Shure Plus Play」で本体設定やEQ調整が行えます

 

↑アプリから外音取り込み機能のオン・オフ、11段階のレベル切り換えが可能

 

外音取り込みのオン・オフはTW1本体のボタンリモコンをダブルクリックすると切り替わります。切り替わる際に短いブザー音が鳴って、オンになるとすぐに周りの音が聞こえてきます。音楽を再生しながら切り換えると、その差がややわかりづらい時があるので、ブザー音だけでなくボイスガイドも合わせて現在のオン・オフの状態を知らせてくれるとなおよいと思います。アプリのアップデートによる対応を期待したいところ。

 

アプリの画面からはバッテリーの残量や接続コーデックが確認できます。TW1はフラットなままでとても自然で力強いサウンドを楽しませてくれますが、より低域やボーカルをブーストして聴きたい場合などにはアプリが搭載するパラメトリックEQ機能を使うとよいでしょう。ユーザーが好みのバランスをカスタマイズした値を保存して、繰り返し使うこともできます。

↑EQで音質をカスタマイズすることも可能です

 

リモコンボタンはクリック感が浅すぎず・深すぎず。誤動作が起きることもなく、正確に操作を受け付けてくれるので使い勝手はとても良いと思いました。ひとつ機能追加を求めるとすれば、リモコンボタンから音量のアップダウンもできるようにしてほしいです。

 

SEシリーズを持っている人・いない人、どちらにもオススメ

AONIC 215は“シュアによる完全ワイヤレスイヤホン”を待望していた方にとって、満足度の高い製品に仕上がっていると思います。イヤホンが付属しているAONIC 215を買って、完全ワイヤレスイヤホンとシュアのイヤホンを“同時入門”してもいいし、既にSE 215を含むシュアのSEシリーズを多数コレクションしているという方はTW1の発売を少し待つのもアリでしょう。ただ、価格差がおよそ5000円ぐらいになりそうなので、SE 215をもう一台5000円で手に入れられることを考えたら、AONIC 215を迷わず速攻でゲットするべきかも。

 

イヤーハンガーを耳に掛けて装着する完全ワイヤレスイヤホンのメリットはとにかく装着感が安定することです。どれだけ激しく体を動かしても耳から外れない完全ワイヤレスイヤホンでも、電車の中など少し混み合っている場所で人にぶつかって外れてしまうこともあり得ます。

 

トレンドの完全ワイヤレスイヤホンであり、超ロングセラーのSE215がお得な価格で手に入り、MMCXコネクタ対応イヤホンを付け替えて楽しめたり、プレーヤーによる音質の違いも楽しめたり、イヤーハンガーで装着性も良かったりと、一粒で5度以上のおいしさがある製品といえるでしょう。

 

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