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2016/7/8 18:10

憧れのフルサイズ機の魅力を凝縮したニコンAPS-Cフラッグシップ「D500」【デジカメレビュー】

ニコンのデジタル一眼レフのフラッグシップ機は、35mmフルサイズの「D5」だ。画素数は2082万画素とやや控えめだが、常用ISO感度は ISO100-102400、約12コマ/秒の高速連写、最大200コマまでの高速連続撮影、広範囲・高密度の153点AFシステム、4K UHD(3840×2160ピクセル)の動画撮影、そして堅牢なボディと、フラッグシップの名にふさわしい豪華な仕様となっている。その分お値段も約70万円と、こちらもフラッグシップ。欲しいけれどもそうそう買えない、憧れの機種だ。

 

今回紹介する「D500」は、D5の機能を凝縮したAPS-Cのフラッグシップ機という位置づけだ。有効画素数2088万画素、常用ISO感度はISO100-51200、約10コマ/秒の連射機能、最大200コマまでの高速連続撮影、広範囲・高密度の153点AFシステム、4K UHD(3840×2160ピクセル)の動画撮影と、スペック的にはD5とほぼ変わらない仕様となっている。

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↑D500

 

ボディはD5に比べコンパクトながらも、性能的にはほぼD5と同様。つまり、「APS-C版D5」がD500なのだ。お値段は約25万円と、D5の3分の1近く。コストパフォーマンスを考えれば、かなり素晴らしい機種といえる。35mmフルサイズにこだわらなければ、なんとも魅力的な機種だ。

 

ファン憧れの上位機種仕様が満載

さっそく本体の詳細をみていこう。背面液晶は約236万ドットの3.2型TFT液晶。タッチパネルに対応。上位機種にあるフォーカスセレクトレバーも配置されており、素早くAFポイントの選択が可能だ。また、丸型ファインダーは、ニコン上位機種の証。これに憧れるニコンユーザーは多い。

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背面液晶はチルト式となっている。ハイアングル、ローアングルの撮影に威力を発揮。「チルト機能はいらない」と思っていても、一度使うと便利で使いまくってしまう。

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ボタン配置は、中級機種とは異なる上位機種仕様。基本的にワンボタンで目的の機能が呼び出せるようになっている。

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モードダイヤルはなく、ボタンが配置されているのが上位機種。

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グリップ部。やや大きめ。男性ならばがっちりホールドしやすいだろうが、手の小さな女性はやや握りづらいかもしれない。

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スロットは、XQDカード(高速書き込みに対応したメディア)とSDカードスロットの2スロット仕様。高速連写を快適に行うのならXQDカードを導入したい。

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ボディ的には35mmフルサイズ機の「D810」とそれほど変わらない。D810は高画素でじっくり撮影する機種、D500はスポーツや野鳥などの動体撮影する機種といった感じだ。

 

あらゆるシーンを切り取れる信頼性の高い機種

続いて作例を見ていこう。画像をクリックすると拡大表示も可能なので、じっくり見て頂きたい。

 

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AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR 120mm相当 ISO100 F4.0 1/320秒 スタンダード

ガクアジサイをアップで。ニコンらしい落ち着いた画質で扱いやすい。このレンズは35mm換算で24-120mm相当で、開放F値が明るめとなっており、APS-C機で使いやすいレンズだ。手ぶれ補正もよく効いており、手持ち撮影でも安心。35cmまで寄れるのも使い勝手がよい。

 

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AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR 147mm相当 ISO100 F4.5 1/200秒 風景

望遠レンズでの撮影。APS-C機のメリットして、望遠側に強いことがあげられる。スポーツや野鳥撮影など、望遠側が主体となる撮影で威力を発揮。このレンズはやや古く、35mmフルサイズ機では周辺減光が目立つが、APS-C機ならば気にならない。

 

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AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR 180mm相当 ISO100 F5.6 1/250秒 スタンダード

子豚のレースを撮影。子豚は一直線に走るわけではなく、かなり動きがランダム。そこで、D500の高性能AFを活かしAF-Cで補足しながら撮影。激走する子豚をしっかり捉えることができた。子豚の毛並みもしっかり描写されている。

 

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AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR 129mm相当 ISO400 F4 1/800秒 風景

古い電柱。電柱の質感や電線の描写がリアル。偽色(輪郭に紫色などのありえない色が出る現象)もない。2088万画素とやや控えめな画素数が、画質の余裕を生んでいるのかもしれない。

 

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AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR 120mm相当 ISO100 F5.6 10秒 風景 三脚使用

長時間露光で高速道路を走る自動車を撮影。ちょうど日没直後でやや空が青い。長時間露光でも目立ったノイズは見られない。長時間露光をする場合は、三脚は必須。頑丈なものを使わないと、露光中に動いてしまうこともあるので注意しよう。

 

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AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR 75mm相当 ISO6400 F8 1/30秒 風景

高感度撮影テスト。ISO3200まではノイズが少ないが、ISO6400になるとやや目立つ。ISO12800になると、明らかにノイズが目立つので、できればISO3200、状況に応じてISO6400までにしておきたい。

 

D500をメインにニコン一眼レフのシステムを構築してみては?

10コマ/秒という高速連写、200枚までの連続撮影というスペックは、動体撮影に特化したハイエンド機という印象だ。しかし、日常の撮影でもその機動性は十分に恩恵を受けられる。例えば、ペットや子どもといった動きまわる被写体には、D500のような機種は最適。家族でのお出かけや旅行で、何気ない一瞬を切り取るといったシーンも、D500の高レスポンスならばシャッターチャンスを逃さないだろう。何より、35mmフラッグシップ機のD5とほぼ同様の性能を、この価格で手に入れられるというのは、何よりも魅力的だ。

 

フラッグシップ機だからといって、ハイアマチュアやプロが使うカメラというわけではない。スナップや旅行といった撮影においても、十分にポテンシャルを活かすことが可能。シャッターチャンスを確実にものにできる確率が上がるだけでも、撮影の楽しさがアップし、もっと写真を撮りたくなるはずだ。

 

もし、35mmフルサイズ機に憧れてD5の購入を検討していたとしよう。しかしその予算で、D500とフルサイズ機のD750やD610が購入できる。APS-C機と35mmフルサイズ機があれば、かなり撮影の可能性は広がるはずだ。D500をメインに、デジタル一眼レフのシステムを考えていくというのもいいのではないだろうか。

 

 

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ニコン
D500
実売価格25万1080円(ボディ単体)
フルサイズ機「D5」と同じ画像処理エンジン「EXPEED 5」と、新開発のニコンDXフォーマットCMOSセンサーを搭載。新開発の「マルチCAM 20Kオートフォーカスセンサーモジュール」を採用し、153点のフォーカスポイント(中央部と周辺部の99点はクロスセンサー)で広い範囲を高密度にカバーする。約10コマ/秒の高速撮影に加え、最大200コマ(14ビット記録のロスレス圧縮RAW)までの連続撮影が可能。

 

【SPEC】
撮像素子:有効2088万画素 ニコンDXフォーマットCMOSセンサー
レンズマウント:ニコンFマウント
モニター:3.2型/約236万画素
サイズ:W147×H115×D81mm/約860g

 

【URL】

ニコンイメージング http://www.nikon-image.com/

D500製品情報ページ http://www.nikon-image.com/products/slr/lineup/d500/