昔からのカメラ好きなら、銀塩カメラ時代の一眼レフのレンズを持っているという方も多いのではないでしょうか。あのころはニコンかキヤノンが多数派でした。私はニコン派で歴代のニッコールレンズが押し入れに眠っています。
今回はこのニッコールレンズを最新ミラーレスカメラFUJIFILM「X-E3」で活用したいと思います。オールドニッコールレンズはeBayなどのオークションサイトで5000円で出品されることも。新品のレンズよりハイコスパで、味のあるレンズが楽しめます。今回は、オールドレンズを最新カメラで楽しむ方法を紹介したいと思います。
縮小光学系のマウントアダプタが狙い目
今回使用するのは、異なるメーカーのカメラボディとレンズを装着するための「マウントアダプタ」と呼ばれるアクセサリーです。ここで問題なのがX-E3のセンサーはAPS-Cサイズなので、フルサイズのレンズを装着すると焦点距離が1.5倍になること。コレは避けられない現象なのですが縮小光学系と呼ばれるマウントアダプタを使えば回避できます。例えば焦点工房が販売している中一光学「Lens Turbo II N/G-FX」です。直販価格は1万9708円。
こちらは、アダプタにレンズを内蔵して焦点距離を0.726倍に縮小、さらに絞りが1段明るくなるという特徴があります。つまり20mmレンズをX-E3に装着すると焦点距離は1.5倍の30mmになりますが、30×0.726で約21.7mmになります。レンズのあいだにさらにレンズを挟むので画質の低下が心配ですが、本機は高画質な3群4枚構成のレンズを採用して劣化を抑えているそうです。
絞りリングのないニッコールレンズにも対応
ニッコールレンズは60年を超える歴史を持つFマウントを使い続けています。1959年に登場したプロ用一眼レフカメラ「Nikon F」用に作られたニッコールレンズには「カニ爪」と呼ばれる露出連動爪がありました。これが進化して爪のない「Ai」方式が登場。そして電子接点が搭載され絞りリングのないGタイプが現れます。「Lens Turbo II N/G-FX」は絞りリングのないGタイプのレンズにも対応します。ただし、APS-Cサイズ用のDXレンズは周囲が暗くなるため使えません。
今回、取り上げるオールドニッコールレンズとは爪のあるレンズを示します。これには爪に穴の開いた「Ai-S」レンズも含まれます。操作性からいえばAFレンズより、MFレンズがピントリングの幅が広く回したときの感触も良好。X-E3とのデザインの相性も抜群です。
1本目:1960年代の「NIKKOR-S Auto 35mm F2.8」
「NIKKOR-S Auto 35mm F2.8」は、フォーカスリングも金属に滑り止めが施され塗装されただけの武骨なデザインの広角レンズ。広角といっても35mmなので、28mm世代の我々からすれば標準レンズの感覚です。最短撮影距離は30cm、フィルター径は52mmと標準的で使いやすくなっています。古いレンズなので、もし見つかれば1万円以下で入手可能。現代のカリッとしてシャープなニッコールレンズと比較して、このレンズはややフワッとした甘口の描写が魅力です。
【作例】
2本目:現役の傑作レンズ「AI Nikkor 50mm F1.8S」
1980年にリトルNikonのキャッチフレーズで発売された「Nikon EM」の標準レンズとして設計されたのが、50mmのパンケーキレンズ「AI Nikkor 50mm F1.8S」。従来からあった50mmF2よりも薄くて明るいという画期的なレンズでした。
ガウスタイプと呼ばれる光学設計で、収差や歪みが少なく、開放では柔らかい描写と周辺光量落ちなどが得られます。何とこのレンズは現在もコーティングなどを変更して「AI AF NIKKOR 50mm F1.8D」(2万7500円)として販売されています。焦点距離は50mmなので、やや望遠レンズと考えればいいでしょう。最短撮影距離は45cm、フィルター径は52mm、重さ175gと小型軽量です。
【作例】
次回は20mmF2.8、85mmF2、SIGMA 24〜105mmF4が登場します。
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