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2020/9/2 19:00

“機材シェア”でもっと手軽に!「Vlog」の楽しみ方とカメラの選び方

海外ではすでに多くの有名Vloggerを輩出している “Vlog”(ブイログ)。VlogとはVideo blogの略で、いわばブログを動画で撮影したもののこと。おうち時間が増えたことで、日本でも人気が加速してきています。配信されるVlogを観るのも楽しいけれど、撮る側になって発信してみたいと思う人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、動画撮影に必要な機材一式をレンタルできる新サービス「シェアカメ」に着目。東京カメラ機材レンタル株式会社 シェアカメ部を訪ね、Vlogの楽しみ方やおすすめのカメラについて教えてもらいました。

 

配信場所はYouTubeが優勢

これまでのSNSでは、今日どんなところへ行ったか、何を食べたか、友だちとどんな話をしたか……、それを文章でまとめたり、写真を掲載するのがブログのあり方でしたよね。それが、SNSでも長尺の動画配信ができるようになってきたことで、日常をVlogで表現する人が増えているのだとか。

 

「インスタグラムではIGTVというサービスがスタートし、フォロワー1万人以上の方は60分、一般の方でも15分までの動画が配信できるようになりました。今はYouTubeで配信している方が多いのですが、5Gになったことで動画配信に強いSNSが新たにできるかもしれませんし、IGTVがさらに使いやすくなるかもしれません。ストーリー機能でももっと長い動画をのせられるようになったら、Vlog人口はますます増えるでしょうね」(東京カメラ機材レンタル株式会社 シェアカメ部・浪岡拓也さん、以下同)

 

YouTubeは企画もの、Vlogは日常を伝えるためのもの

動画配信で人気を博しているYou Tuberとの違いは、その内容にあるそうです。

 

「You Tubeはかなり企画内容に特化していて、たとえば“○○をやってみた”というチャレンジ企画や、“○○をしたらどうなるか”という検証もの、お笑い番組のような企画ものの動画が多く上がっています。芸能人や有名人のコンテンツも多く、テレビの代わりに観られる新しいメディアという立ち位置です。タイトルにも奇抜な言葉が選ばれ、タイトルだけでバズらせる方法などもあるようですし、編集も上手です。

 

一方、Vlogはあくまで“ブログ”ですから、その人の日常を追えるような動画が人気です。編集も、テンポよく短くまとめるというより、時間の流れが感じられるような自然体のものが多いんです。たとえば近所のカフェまで散歩して行く動画や、旅行先で撮影した動画、カップルが家でまったりしている様子など、日常をありのままに映していきます。視聴者が笑えるとかためになるという軸ではなく、ただただその人の日常を垣間見て、“なんかこんな生活いいなあ”と思えるような、ほのぼのとしたコンテンツが多く見られます」

 

「日常をそのままに」が流行したのは“SNS疲れ”が原因

古くはmixiにはじまり、主に友人知人とのつながりを持つFacebook、まったく知らない人への情報拡散力が強いTwitter、共通の趣味や嗜好を持つ方とつながることができるInstagramと、これまでさまざまなSNSが生活に根づいてきました。

 

「なかでも若い世代に定着しているのがInstagramです。写真を加工することが当たり前になり、インスタ映えという流行語も生まれたように、非日常的な世界観を撮影したものが高く評価されています。ただ、現実とSNSに差があるわけですから、SNS疲れする方も多くなってきたんですね。そこで“ありのままの、なんでもない日常”を配信したり閲覧したりできるVlogが、“安心できる”“ほっとする”と人気になってきたのです」

 

外出自粛期間にVlog人気が急上昇した理由

日本でも、3月から自宅で過ごす時間が増えたことにより、Vlogはさらに成長を遂げました。Vloggerが撮影に割く時間が増えたことも要因のひとつですが、人と触れ合える機会が減ったことや外出ができなくなり、 “人が何をしているのか見たい”“バーチャルでも旅をしたい”と思う方が増えたことにあります。

 

「特に人気が高まったのは、地方に住んでいらっしゃる方の動画でしょうか。さまざまな地域で撮られた動画は旅の擬似体験ができて、楽しんでいた方が多かったように思います。また、これまでYou Tuberとして活躍していた方や芸能人がサブチャンネル的にVlogをはじめて、そこで日常生活を見せていく、という動きもありました。おうち時間をいかに充実させるか誰もが悩んでいた時期ですし、家での楽しみ方を工夫しているVloggerの動画は閲覧数が伸び、ダルゴナコーヒーに火がついたのも記憶に新しいですよね」

 

自分とは違う生活を覗き見して「擬似体験」できるのがVlogの魅力

企画ものではないVlogの中でも、あるテーマがトレンドになることがあります。そのひとつが「ルーティーン動画」。朝起きて出勤や通勤をするまでの家での過ごし方を追ったものや、夜帰宅してからの生活の様子を映したものです。

 

「ルーティーンで有名になったのは、『in living』さんでしょうか。すでに1年前に朝のルーティーン動画を上げていて、現在では36万人のチャンネル登録者がいます。また、チャンネル登録者数6万人の『とみいちゃんねる』のとみいさんは、歯科衛生士さんでいらっしゃるようです。そういう一般の方の日常生活を見て、自分もこういう生活がしたいなと思ったり、同じものを買ったりするんですよね。芸能人のようにまったく手が届かないわけではなく、同じ生活ができそうだなと感じる身近さを感じられるのが人気の理由でしょう」

in living https://www.youtube.com/c/inlivingjp/
とみいちゃんねる https://www.youtube.com/channel/UC5sFOdJgghgbtiqyYrTpqvg

 

「これとは反対に、こういう人ってどういう生活をしているんだろう? という興味から閲覧数が伸びるものもありますよ。芸能人の日常生活や、国際結婚をしたカップルのチャンネルが人気です。『Pizzangi Channel』は、日本人男性とイタリア人女性のカップルのVlogで、文化の違いや料理にまつわるコンテンツ、イタリア語講座などがあります。Vlogのおもしろいところは、豪華な生活をしている芸能人や著名な方だけでなく、ワンルームで生活している方の暮らしぶりもおもしろく見られるところ。自分との共通点でつながるのではなく、自分とは違う生き方をしている人の動画も楽しめるのがいいところだなと思っています」

Pizzangi Channel https://www.youtube.com/channel/UCDHr0JHqeJgR9yx5Mc04zTw

 

「カメラをシェアする」というシェアリングエコノミーの考え方

観るだけじゃなく自分で撮影してみたい! とVlogをはじめたい方におすすめなのが、カメラをレンタルできるサービス。東京カメラ機材レンタル株式会社が立ち上げた「シェアカメ」では、プロのカメラマンとしての目線を持ちながら、個人ユーザーが使いやすいカメラを中心に取り揃えています。

 

「20代〜30代前半の若い世代は、何かをシェアするということにとても長けています。カーシェアリング、シェアオフィス、シェアハウスなどをうまく活用して、自分のしたいことを低コストで実現しているんですよね。カメラは高価なものですし、すぐに買い換えるということもできないもの。それなのに、使いやすさや撮れる映像のクオリティーなどは使ってみないとわかりません。ですからまずはシェアカメでレンタルして、使ってみて買いたいものを決めていただいたり、旅行するときにだけ、あるいは作品撮りしたいときにだけカメラを借りて楽しんでもらえたらなあと思ってサービスを開始しました」

 

続いて、Vlogをはじめたい方に向けて、浪岡さんにカメラを選んでいただきました。

Vlogをはじめたい人におすすめの動画カメラ 3選

Vlogをはじめたい方に向けて、浪岡さんにカメラを選んでいただきました。スマートフォンでも動画は撮れますが、映像の美しさや撮れる範囲を考えると、やはり専用のカメラを持つことをオススメしたい、とのこと。

 

「スマートフォンで撮影したものは、どうしてもスマートフォンの域を超えないんですよね。試しに撮ってみてもいいとは思いますが、撮ったものを見返したときに、“こんなんじゃなかった”と、がっかりする可能性があります。最新のスマートフォンでも、背景のボケ感がいまいちだったり、歩きながら撮ったら手ブレが激しかったり……。いつも見ているVlogのように撮りたい!と思ったら、まずはカメラで撮影してみることをオススメします。きっと見返すのが楽しみになりますよ!」

 

1. 何を撮っても美しい! オールマイティーなSONYのVlog用カメラ

ソニー「VLOGCAM ZV-1G シューティンググリップキット」
シェアカメレンタル料9980円(税込/送料無料/2泊3日)

 

“VLOGCAM”という名称がつけられているとおり、まさにVlogを撮るために開発されたデジカメです。世界中のVloggerの声を集めただけあって、インカメ(自撮り)も商品撮影もなんでもオールマイティーに美しく撮影することができるよう、オート機能が充実しています。

 

「人物撮影のときには背景をぼかしたり、商品をカメラ前に出して紹介するときにはその商品にピントを合わせたり、まるでそこにカメラマンがいるかのようにカメラが感知して撮影してくれます。カメラ上部についているマイクは前に向かってついていますので、自撮りしていても声を鮮明に録音でき、車や風の音といった騒音はなるべく拾わず、声が聞き取りやすいのも特徴です」

↑「映像のきれいさは一眼レフやミラーレスには及びませんが、そのようなカメラは機能を理解して使いこなせるようになるのが難しいですよね。こちらは操作も簡単でわかりやすく、使い勝手も抜群です。グリップの部分を開くと三脚になるので、これ一台持っていけば何でも撮影できますよ」

 

2. 手ブレ知らずで広い画角が撮影できるアクションカメラ

GoPro「HERO8 Black」
シェアカメレンタル料7980円(税込/送料無料/2泊3日)
※初心者セット(アームや防水ケースつき)9000円

 

GoProは、探検撮影用のヘルメットカメラやウェアラブルカメラを開発している企業で、アクションシーンを撮るのに適したカメラを多く開発しています。

 

「GoPro社製のこのカメラは幅はわずか7cm弱、重さも126gと超軽量でありながら、画角が広く、腕を思い切り伸ばさなくても広い絵を撮ることができます。頑丈で防水効果も高く、身につけてスポーツしながら撮影したり、海や川など水のあるところに持っていったりするのも怖くありません。スマートフォンと比べても断然小さいので、カフェでお茶しているところや人が多いところでの撮影も仰々しくならず、人の目も気にならずに撮影できますよ」

↑「シェアカメでは、グリップや三脚として使えるアームや防水用ケースなども含めた初心者セットもレンタルできます。このままでは撮影している絵が見えないのですが、スマートフォンと連動させることで映像を確認することができるようになります。スマホでシャッターを押すなど、リモコンとしても使うことができますよ」

 

3. 2台目としてもオススメ! スマホより小さいから旅先にも

DJI「OSMO POCKET」
シェアカメレンタル料3480円(税込/送料無料/2泊3日)

 

ブレずにレンズをスムーズに回転させてくれるジンバルが、撮影したいものをしっかり捉えてくれる手持ちカメラです。

 

「とにかくこのジンバルが優秀で、歩く人を追いかけるだけの映像でも映画のような臨場感と安定感があります。ポケットサイズで立ち上がりも早く、“今!”と思ったときにすぐ取り出して撮影できる手軽さがあります。インカメにして自分を撮影するより歩きながら街を撮影したり、家族を追いかけて撮影したりするのに適しています。映像の質はやや下がりますが、このコンパクトさを気に入って2台目として使われている方も多いです。いくつかのカメラで撮影して編集したいときにもオススメです」

↑「スマートフォンをドッキングさせて、撮影している画像を確認することもできます。編集機能にも優れていて、テンプレートがあるので、初心者の方にもスムーズにお使いいただけますよ」

 

他にも「シェアカメ」では、一眼レフや写真用の撮影セットなどの取り扱いがあり、「動画配信セット」や「星空・夜景撮影セット」などと用途に合わせて一式レンタルできるのも魅力的です。そのなかでもVlogやブログに必要となりそうなアイテムを紹介します。

 

・スマホで撮影したい人はアクセサリーをレンタルしてクオリティアップ

DJI「OSMO MOBILE 2」
シェアカメレンタル料:3480円(税込/送料無料/2泊3日)

 

こちらは動画のブレを抑えて撮影することができるジンバル。スマートフォンで撮影したい方は、折り畳めるスマートフォンジンバルをレンタルするのがオススメです。485gと軽量なので、片手で持って自撮りをすることもできます。「手ブレが防げるだけでなく、アプリを導入すればタイムプラスやスローモーション撮影もできるんです。操作も簡単ですから、カメラの扱いに慣れていない方でも満足できる撮影ができると思いますよ」

 

・映像がキレイなカメラも使ってみたい! という人はやっぱり一眼レフ

パナソニック「LUMIX DC-GF10 標準&望遠レンズセット」
シェアカメレンタル料7500円(税込/送料無料/2泊3日)

 

しっかりとした絵が撮れて、さらにかわいいカメラでテンションを上げたい方には、こちらのLUMIXがオススメ。スマートフォンより小さくて、肩にかけてお出かけしても重さが気になりません。「風景や料理など、映像の美しさを追求したい方や、動画だけでなく写真も撮りたい方は、やはり一眼レフやミラーレスがよいでしょう。SNSにアップすると解像度が下がってしまうので、撮ったままの画質で載せることはできませんが、それでもやはり絵の美しさが際立ちます」

 

・作品や料理などの物撮りメインで写真の撮影をしたい人はセットで

「料理・趣味撮影セット」
シェアカメレンタル料1万6000円(税込/送料無料/2泊3日)

 

自宅ではなかなかできないのが、白い背景で物を撮影すること。このライトボックスを使えば白い背景で明るく撮影することができます。「ハンドメイドの作品を撮影する方や、料理などの仕上がりを撮影したい方に向けたセットです。物を美しく撮れるキヤノンEOS7Dに、薄型ビデオライトをセットしています。ストロボと違い、スイッチを入れればずっとつけておける照明なので、画面で明るさを確認しながら明暗を調整することができます。三脚は真俯瞰から撮れるよう直角にもセッティングできます」

 

何かおもしろい映像を、と思うと気後れしてしまいますが、日常をありのままに撮影するVlogなら気軽にチャレンジできそう。文章を書くのが苦手でブログやSNSを積極的にしていなかった人も、動画を撮影して発信する楽しみを知れば、いずれ人気Vloggerになれるかもしれません。

 

【Information】

東京カメラ機材レンタル シェアカメ部

https://s-came.jp/
https://www.instagram.com/sharecame_jp/
問い合わせ先=support@s-came.jp

9月より、撮影した写真を補正や合成をしてもらえる「写真・画像加工スタジオ」サービスもオープン。
https://s-came.jp/photo