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2020/12/27 18:30

1万円ちょいでジムでもゲームでも使える「完全ワイヤレス」が出た! NUARL「N6 sports」の魅力を徹底解剖

2020年もたくさんのブランドが左右独立型の完全ワイヤレスイヤホンを発売しました。みなさまはお気に入りの1台に巡り会うことはできましたか? 今回は日本のオーディオブランドNUARL(ヌアール)が発売した新製品「N6 sports」をご紹介します。

↑NUARLの完全ワイヤレスイヤホン「N6 sports」

 

外音が聞きやすいイヤーチップを同梱

N6 sportsはNUARLが独自に設計した「NUARL DRIVER [N6]v3」を搭載する“N6シリーズのスポーツモデル”として位置付けられるワイヤレスイヤホンです。価格が1万2100円と比較的手頃であることから、初めての完全ワイヤレスイヤホンにも最適。

 

ところで、名前に“スポーツ”と付けられている理由はどこにあるのでしょうか。

 

ひとつは、頑丈で軽いイヤホンの本体がIPX7相当の防水仕様であるということ。汗や雨濡れに強く、屋内外を問わずスポーツシーンで安心して使うことができます。その特徴はもちろんスポーツシーン以外にもキッチンで音楽を聴いたり、動画を見たい時にも真価を発揮します。ただし食器用の洗剤や石けん、シャンプーが付着してしまった場合は音響パーツの故障を招く原因にもなりかねないためすぐに拭き取ることをおすすめします。また充電ケースは防水仕様にはなっていないので気をつけて使いたいところです。

↑本体はIPX7相当の防水対応となっています

 

↑コンパクトな充電ケース。こちらは防水対応ではないので要注意です

 

スポーツや屋外でのウォーキングなど、体を動かしながら音楽を聴く際には外の環境音にも注意を向けながらイヤホンを使いたいもの。N6 sportsは右側面に搭載するボタンリモコンをトリプルクリックすると、音楽を聴きながら外部の環境音がモニタリングできる外音モードに素速く切り替わります。

 

本機がスポーツイヤホンとしての機能性を追求した部分として、もうひとつ注目したいのが付属するイヤーピースです。

 

商品のパッケージには2種類のシリコン製イヤーピースが付属します。「Block Ear+」は遮音性能が高く、抗菌コートを施したシリコンイヤーピース。ピタリと耳に吸い付くようなフィット感なので、着脱可能なウィング型のシリコン製スタビライザーと合わせて、スポーツで体を激しく動かしても耳元にしっかりと止まって外れることがありません。

↑傘の形状がフラットな「Block Ear+」イヤーピース

 

筆者もジムでランニングや筋トレをしながら試してみましたが、耳にイヤホンを着けていることを忘れるほどの軽さと、フィッティングバランスの良さは様々な完全ワイヤレスイヤホンの中でもかなりハイレベルだと感じました。

 

もうひとつのイヤーピースである「Track Ear+」はシリコン製の傘に細かな溝を付けた歯車のような形をしています。耳に装着すると肌とイヤーピースとの間に隙間ができるので、外の環境音が自然に聞こえてきます。

↑切り込みを入れて外の音が聞こえるように工夫した「Track Ear+」イヤーピース

 

外音取り込み機能と合わせて使うと、外の音にも注意を向けてさらに安心して音楽とスポーツを同時に楽しめるでしょう。耳の中が蒸れにくくなるメリットもあるので、例えば長時間のビデオ会議などで使えば快適さが持続します。ビジネスシーンにも活用したくなるワイヤレスイヤホンです。

↑「Track Ear+」イヤーピースを装着すると写真のようなイメージになります

 

音ズレを防ぐゲーミングモードを搭載

スポーツといえば、最近はスマホやタブレットで楽しむモバイルゲームの音声も心地よく楽しめるイヤホンにも注目が集まっています。

 

ワイヤレスイヤホンは通常、スマホなどゲーム機器とのBluetoothで接続すると音声信号の遅延が発生することが多く、ゲームの場合は入力操作に対して音声が聞こえてくるタイミングのズレが不快に感じられたり、ゲームの種類によっては勝敗にも影響が出るため不向き。有線接続のイヤホンがベターというのが常識でした。

 

N6 sportsは米クアルコムの独自技術である、Bluetooth接続環境における伝送遅延を低減するaptX Adaptiveという新しいオーディオコーデックに対応。同じaptX Adaptiveに対応するスマホなどの機器とペアリングした場合に、コンテンツの音声信号を可能な限り遅延を抑えた状態で接続してくれます。aptX AdaptiveによるBluetoothオーディオの伝送に対応するスマホは、ソニーのXperia 5 IIやシャープのAQUOS R5G、LGエレクトロニクスのLG VELVETなど徐々に機種が増えています。

 

クアルコムが発表した最新のモバイル向けプレミアムSoCである「Snapdragon 888 5G Platform」もaptX Adaptiveをサポートしており、2021年に発売されるスマホはさらにaptX Adaptiveを使える機種が増えそうです。

↑LGエレクトロニクスのLG VELVETもaptX Adaptiveによる音質・接続性能のメリットが活かせるスマートフォンです

 

aptX Adaptiveに対応していない、iPhoneなどのスマホでゲームを楽しむ際にも、コーデックに依存することなくイヤホンの側で可能な限りワイヤレス接続による伝送遅延を抑える機能をN6 sportsは持っています。それが「ゲーミングモード」です。

 

左側イヤホンのリモコンボタンをトリプルクリックすると、通常の音楽リスニングモードからゲーミングモードにすばやく切り替わります。動画のリップシンクは文句なしに改善され、口元の動きとズレることなく音声が聞こえてきます。iPhoneでサブスクリプション型ゲーム配信、Apple Arcadeからアクションゲームをいくつか見つけて試してみたところ、操作に対する音の遅れがほとんど気にならないレベルでした。

 

iOS標準の無料楽器演奏・作曲アプリ「ガレージバンド」で鍵盤楽器を弾いてみても、鍵盤をたたいた動作とほぼ同時にイヤホンから音が聞こえてきました。筆者が最近試したワイヤレスイヤホンのなかでは随一と言えるほどです。N6 sportsのゲーミングモードはワイヤレスイヤホンによるリスニング音声の遅延を実用レベルにまで解決できる魅力的な技術だと感じました。

↑iPhone 12 Pro Maxでガレージバンドを起動。「ゲーミングモード」を試してみました

 

優しく包まれるサウンド

N6 sportsには米クアルコムのBluetoothオーディオ向け最新ICチップが搭載されています。その恩恵は、スマホや音楽プレーヤー機器との接続時にはaptX AdaptiveやaptXといった音質にも優れるオーディオコーデックが使えるというだけではありません。iPhoneやクアルコムのチップを搭載していないスマホ、ポータブルオーディオプレーヤーと接続する際にも左右イヤホンへ同時に音楽信号を送り出し、音途切れやノイズの発生を防ぐ「Qualcomm TrueWireless Mirroring」という技術が効果を発揮します。街を移動しながら色々な場所で音切れが発生しないか試してみましたが、安定感抜群の接続性能を体感できました。

 

N6 sportsをaptX Adaptiveに対応するLG VELVETと、AACコーデック対応のiPhone 12 Pro Maxに接続して音を試聴しました。

 

中高域に豊かな厚みと広がりのあるサウンドがとても特徴的です。伸びやかなボーカル、色鮮やかな楽器のメロディをタイトでパンチの効いたベースが足下でしっかりと支えます。上位モデルのN6/N6 Proと同じ独自設計の「N6」ダイナミック型ドライバーに本機独自のカスタマイズを加えて、PEEK素材の表面にTPEとチタンを蒸着した3層被膜構造のPTT振動板を採用しています。

 

解像度が高く澄み切った落ち着きのあるN6 ProのHiFi系サウンド、力強く高揚感あふれる音楽を聴かせてくれるN6に対して、N6 sportsの音は熱量が高く、また優しく柔らい印象。ランニングなどで体を動かしながら使うと、音楽と一体になるような包み込まれる没入感が味わえました。誠実な描写力の高さはN6シリーズのDNAをしっかりと受け継いでいると感じます。

 

これほど多彩な機能を載せて、完成度を高く仕上げた完全ワイヤレスイヤホンが1万円台前半で買えるとは、良い時代になったものです。肉厚で活き活きとした音楽を、スポーツシーンを含むあらゆる場面で楽しみたい人にN6 sportsをプッシュしたいと思います。

 

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