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2021/1/12 18:30

ボーズの“スマート耳栓”が進化! 「Sleepbuds II」の睡眠以外の活用術レビュー

アメリカのオーディオブランド・ボーズが発売した耳に装着して使うウェアラブルデバイス「Bose Sleepbuds II」は不眠・寝不足の悩みを抱える方々を支援する超小型ハイテクイヤープラグ(耳栓)です。ユーザーでもある筆者が、眠る時だけでなく起きているあいだも含めてSleepbuds IIを1日中使い倒す方法を紹介していきましょう。

↑ボーズのスマートイヤープラグ「Bose Sleepbuds II」

 

睡眠品質向上のために開発されたSleepbudsシリーズ

Bose Sleepbudsシリーズは2018年に誕生した初代機「Bose noise-masking sleepbuds」に始まりました。オーディオメーカーのボーズが「イヤホンにそっくりなのに、音楽が聴けないスマートデバイス」を発売したことも話題を呼びました。初代機の製品概要については筆者が本サイトに体験レポートを寄せていますので合わせてご覧ください。

イヤホンなのに音楽が聴けない? ボーズが睡眠用イヤホン「Bose sleepbus」を発表

 

Bose Sleepbudsシリーズは睡眠の品質改善を支援するスマート耳栓です。耳に装着すると、眠りの妨げになる「いびき」や「ざわめく人の声」「交通騒音」など様々なノイズを相殺して聞こえなくするマスキングサウンドが再生されます。アクティブノイズキャンセリング機能ほどバッテリーを消費せずに、またリラックスできる音楽を聴きながら眠るよりも自然な入眠効果が得られるように、それぞれのマスキングサウンドにはボーズ独自の「科学」が注入されています。

↑一般的なワイヤレスイヤホンよりもサイズはコンパクト

 

↑スタビライザーと一体になった柔らかいイヤーチップを採用しています

 

初代モデルから改善されたポイントとは?

2020年に発売された新製品のBose Sleepbuds IIは初代機から販売価格を据え置き、シンプルな操作性をキープしながら使い勝手を大きく改善しています。

 

初代機と同様、iPhoneまたはAndroidスマホにBluetoothでペアリングして「Bose Sleep」アプリからマスキングサウンドを選択したり、アラームなど各種機能の設定を行います。

↑スマホとペアリングして「Bose Sleep」アプリから設定操作等を行います

 

新機種のデザインは初代機から大きく変わっていませんが、イヤープラグ本体のサイズが少し大きくなったことで筆者の場合は装着時のフィット感が向上しました。ハウジングの側面に特殊な摩擦防止コーティングが付いたので、マクラなど寝具とこすれて発生する不快な音も減りました。充電ケースがmicroUSBから汎用性の高いUSB Type-Cに端子を変更したことでチャージの手間も軽減されています。

↑左が最新機種。右が初代機の充電ケース。サイズは変わっていませんが、色がシルバーから少し赤みを帯びたカッパーに変更されました

 

↑左が新製品、右が初代機。耳にしっかりとフィットするデザインに変更されています

 

音を発生させる源のドライバーをブラッシュアップしたことで、Sleepbuds IIはサウンドによりメリハリが加わりました。ただ、いったん眠ってしまえば音質自体が気になる製品ではないところが音楽再生用のワイヤレスイヤホンとは違います。筆者は初代機の繊細なサウンドも、うとうとするのにちょうど良い塩梅で好みに合っていました。

↑内部の構造図。よりクリアな音が出せるドライバーに変更されています

 

気になる騒音の種類に合わせて選べるマスキングサウンドは、本稿を執筆している2021年1月時点で専用アプリの「サウンドライブラリ」に40種類を揃えています。初代機からバリエーションが一段と増えました。今後もアップデートにより追加を予定しているそうです。

↑約40種類の音源が選べます。今後新しい音源もソフトウェアアップデートにより追加予定

 

Bose Sleepアプリには本体を装着した状態で指定時刻に目覚ましアラームを鳴らせる機能や、スマホを起動してからアプリを立ち上げなくても、Sleepbuds IIを充電ケースから取り出してすぐに現在選択中のサウンドを再開する「Phone-Freeモード」が選択できます。

 

専用アプリでサウンドを試聴してから、選んだファイルをイヤホン側に転送します。音源ファイルのサイズはとても小さいのですが、初代機は転送処理にすごく時間がかかりました。Sleepbuds IIでは約1〜2分でファイル転送が完了します。転送したファイルはアプリの「マイサウンド」に、本体に内蔵するストレージの空き容量が許す限り追加可能。試聴しながら周囲のノイズを効果的に消せる最適なサウンドを選んで就寝します。

↑ファイルの転送にかかる時間が初代機よりもかなり短くなっています

 

Sleepbudsシリーズは入眠環境のノイズを解消することを目的としたデバイスなので、特に睡眠状態のトラッキングやスコア付けはしません。Sleepbudsシリーズを使うことによる睡眠品質への影響を調べるのであれば、別途スリープトラッキング機能を備えるガジェットやアプリを併用することをおすすめします。

 

安定感が増し就寝中も外れにくい

Sleepbuds IIの本来の使い方である入眠サポートは、初代機が既に高いレベルに到達していた音の聞こえ方、快適な装着感を引き継いでいます。外耳のくぼみに引っ掛けるスタビライザーを一体にした柔らかいシリコン製イヤーチップも、形状を見直したことから耳に装着した時の安定感が増しました。朝起きた時に本体が外れていることも少なくなったので、目覚ましアラームの設定が無駄になりません。

↑Sleepbuds IIは装着したまま眠れるサイズ感を実現しています

 

アプリには多彩なマスキングサウンドが収録されています。飛行機のジェットや風力発電機のタービン、雨音や滝の音など「ノイズを消すためのノイズ」も効果的だと思いますが、筆者は自然をテーマにした落ち着けるヒーリングサウンドの方をよく使っています。

 

スマート耳栓として目覚めている時間に使ってみた

Bose Sleepbudsシリーズはスマートな耳栓であるという原点に立ち返れば、“眠りたい時”以外にもユーザーの役に立つ場面が色々あります。

↑屋外でBose Sleepbuds IIを使ってみました

 

Sleepbuds IIではドライバーが強化されたことによりマスキングサウンドの力強さと明瞭度がアップしており、その効果は目覚めているあいだにも発揮されます。屋外でSleepbuds IIを装着してマスキングサウンドを再生してみたところ、ざわつく人の声や機械の動作音など様々なノイズが自然に消えました。ワイヤレス・ノイズキャンセリングイヤホンに近い使い方ができます。

 

とはいえ音楽再生用のイヤホンではないため、ノイズを消した状態で好きな音楽を聴くことはできません。けれどもその代わりにアプリからマスキングサウンドを再生する時間を決めれば、あとは本体のバッテリーが続く限り“かけっぱなし”にできます。マスキングサウンドはループ再生を続けるので、楽曲が途切れたら次に聴きたい曲を探して再生する手間がかかりません。音楽再生のように歌詞やメロディに集中を奪われることもないので、目の前の作業により深く没頭できる効果はSleepbudsシリーズの方が高いといえるかもしれません。

↑アプリからマスキングサウンドの再生時間を決めれば、バッテリー残量が許す限りループ再生ができます

 

コンパクトな本体はイヤーチップとともに耳にぴたりと密着するので、非常に高いパッシブな遮音効果が得られます。おかげでマスキングサウンドのボリュームを必要以上に大きくしなくてもよいので、長時間使い続けても耳に過度な負担がかかりません。マスキングサウンドにも疲れてきたら、再生を止めてもイヤーチップが環境ノイズを高レベルにブロックしてくれます。

 

ペアリングしているスマホに着信があると、Sleepbuds IIが音を鳴らして知らせてくれる機能もあります。電話の取り逃しが防げるので、一人での在宅・リモートワークも安心です。読書や模型を作ったり、集中を必要とする趣味を楽しむ時にも心置きなくSleepbuds IIが使えます。

↑ペアリングしたスマホに届いた着信を音で知らせてくれる機能もあります

 

本体は防滴仕様なので、汗や水滴への耐性も備えています。リラグゼーションサウンドを再生しながら室内トレーニング、ストレッチやヨガを楽しむ際にも最適でした。ただし、スポーツ用途を想定した耐久性は持たせていないので、取り扱いには十分注意が必要です。筆者は本機を歩きながら使ってみましたが、本体とイヤーチップが耳の肌に触れてこすれる音も少しするので、そこは割り切って使う必要があると感じました。

 

ボーズのSleepbuds IIは、ビジネスパーソンの睡眠ライフだけでなく在宅・リモートワークもサポートしてくれる強力なスマート耳栓です。製品のネーミングにとらわれることなく、自由にかつ積極的に色んな使い方をしてみると本機の真の価値が掘り起こせると思います。

 

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