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2021/8/25 18:30

これが2021年のスタンダード! 新進気鋭のブランド3eeの完全ワイヤレス「Alpha 01」はコスパよすぎ

2021年は5000円台で買える優秀な完全ワイヤレスイヤホンの“当たり年”かもしれません。同価格帯の注目製品の中から、今回は香港のオーディオブランド3ee(スリー)が発売した完全ワイヤレスイヤホン「Alpha 01」をレポートします。

↑3eeが発売した完全ワイヤレスイヤホン「Alpha 01」(実売価格5480円)

 

日本人のサウンドエンジニアが支える「3eeの高音質」

3eeは2020年に誕生したばかりの若いオーディオブランドで、日本人のサウンドエンジニアが監修したサウンドが高く評価され話題を呼んでいます。ユナイテッド・アローズ系のアパレルブランドであるBEAUTY&YOUTHとのコラボモデルとして、昨年末にはアクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載する完全ワイヤレスイヤホン「Delta 01 ANC」がヒットとなりました。

↑BEAUTY&YOUTHとコラボした「Delta 01 ANC」

 

同社のイヤホンは性別や年齢を超えた様々なユーザーが使いやすいユニバーサルデザインと、様々なジャンルの音楽と自然にフィットするサウンドなど、身近に感じられる要素が充実しています。どの製品も気軽に買って試せる価格であることも、デビューして間もない若いブランドの飛躍を後押ししたのだと思います。

 

今年は1万円台を切る、5000円前後の価格帯に良質な完全ワイヤレスイヤホンが出揃いました。同価格帯の最新完全ワイヤレスイヤホンを選ぶ時には、どんな点に注目するべきなのでしょうか。

 

ひとつは本体が小さく・軽く、可搬性能にも優れているイヤホンに注目すべきだと思います。最近はリスニング環境周囲のノイズを消せるアクティブノイズキャンセリング機能を搭載する完全ワイヤレスイヤホンも増えてきましたが、イヤホン本体かまたは充電ケースが大きく持ち運びづらいイヤホンもまだ多くあります。Alpha 01はイヤホンの質量が約6g、充電ケースを含めると全体で約33g。とてもコンパクトです。

↑Alpha 01はケースのサイズもコンパクト

 

Alpha 01はアクティブノイズキャンセリング機能を搭載していないぶん、本体の可搬性能が高いだけでなく、内蔵バッテリーのスタミナ性能も優れています。スペックではイヤホン単体で約10時間、充電ケースに入れてチャージしながら使えば、最長約25時間の連続使用ができるとされています。長時間に渡るリモート会議の通話用イヤホンとしても非常に頼もしい仕様だと思います。

↑Alpha 01はイヤホン単体で約10時間の連続音楽再生が可能。充電にはUSB-Cケーブルを使います

 

左右独立スタイルの完全ワイヤレスイヤホンは、スポーツをしながら音楽を聴きたい時にも使いたくなるものです。3eeは多くのユーザーからの期待に応えて、Alpha 01のイヤホンをIPX4相当の防滴対応としました。水滴に濡れた手で触れても壊れないので、キッチンなど水回りで作業をしたり、雨の日に屋外へ出なければならない場面でも本機を選んでおけば安心です。

 

ボーカル曲にもピッタリなサウンドチューニング

最近はマイク内蔵の完全ワイヤレスイヤホンをビデオ通話のコミュニケーション用ツールに活用するユーザーが増えたことから、「人の声」がより聞きやすいサウンドチューニングをうたうイヤホンが増えています。通話音声が明瞭に聞こえるイヤホンは、音楽再生時にはボーカルの再現力に富んでいる場合が多くあります。Alpha 01でボーカル系の楽曲を聴くと、人の声の肉付きがとてもふくよかで生々しく感じられました。9ミリ口径のグラフェンコート振動板を載せたダイナミック型ドライバーによる、正確性が高く力強い鳴りっぷりの良さにも惹かれるものがあります。

↑側面にタッチセンサーリモコンを内蔵。音量のアップダウンも操作できます

 

Alpha 01をGoogle Pixel 5に接続してAmazon Music HDで配信されている楽曲を中心に試聴してみました。Alpha 01が対応するBluetoothオーディオのコーデックはAACとSBC。Pixel 5をつなぐと自動的にAACコーデックが選択されました。

 

さらにボーカル系の楽曲をいくつか聴き込んでみましたが、声の力強さだけでなく質感のきめ細かな再現力と、余韻の爽やかな抜け味にも富むイヤホンであることが見えてきました。

↑Pixel 5に接続してAmazon Music HDの音源を試聴しました

 

ジャズボーカリストであるミズノマリのアルバム「mariage」から「恋をする」を再生すると、ボーカルの音像が中央の位置にとても立体的に定位します。張りがあって滑らかな声の質感は、まるでボーカリストが目の前で熱唱しているようなリアリティを感じさせてくれました。筆者は以前、先述の3eeによる完全ワイヤレスイヤホン「Delta 01 ANC」も聴いていますが、高音域の華やかさと透明感、広い音場の再現力はブランドの看板であり、音づくりを担当するサウンドエンジニアが最もこだわるポイントでもあるように感じられました。同価格帯の他社製イヤホンにはない「味」が、様々な楽曲を聴くほどにじみ出てきます。

 

上原ひろみ ザ・ピアノ・クインテットのアルバム「SILVER LINING SUITE」の「リベラ・デル・ドゥエロ」では、アコースティック楽器の演奏による躍動感、ライブ演奏を聴いているような熱量が肌に伝わってきました。Alpha 01はディティールの再現も丁寧です。ピアニストの指先が鍵盤の上を駆け巡る様子が目に浮かんでくるほどに音の鮮明がとても高く、メリハリも効いています。2台のバイオリン、ビオラとチェロによるハーモニーはそれぞれの楽器の音色が濃く、とても充実した力強さを感じました。

 

ネックバンドタイプのワイヤレスイヤホン「Lambda 01」

3eeがAlpha 01と同時期に発売したネックバンドタイプのワイヤレスイヤホン「Lambda 01」は、Alpha 01と同じく原音に忠実なサウンド。ボーカルやアコースティック楽器による演奏の彩りを誇張せず素直に再現します。本機もまた10ミリ口径の振動板にグラフェンコートを施したダイナミック型ドライバーを搭載。ゆったりと包み込んでくるような上品で柔らかなサウンドを特徴としています。

↑グラフェンコート振動板を採用する「Lambda 01」(実売価格2860円)

 

完全ワイヤレスイヤホンがここまで人気を集めるなかで、ネックバンドスタイルのワイヤレスイヤホンを選ぶ価値はどこにあるのだろうと思うかもしれません。いくつかの利点を説明したいと思います。

 

まず、音楽を聴いていないあいだ、Lambda 01はイヤホンの背中側に搭載するマグネットを吸着させて、ネックバンドをまるでペンダントのように首に掛けておくことができます。ちょっとしたときにすぐ耳から外して首にぶらさげておけるのは、完全ワイヤレスにはないメリットです。

 

また、本体はAlpha 01よりも防水性能がワンランク高いIPX5相当となっており、雨天の屋外や汗を掻くスポーツシーンでも使いやすいワイヤレスイヤホンだと思います。価格もお手ごろなAlpha 01よりもさらに安い3000円弱ということで、気軽に購入しやすくなっています。

 

誰でも手軽に楽しめるエントリー価格帯の完全ワイヤレスイヤホンに「音の良さ」を追求した3eeのAlpha 01と、より手軽な価格のLambda 01は、並みいるライバルたちのなかにあって個性的なモデルといえそう。今後も実力派のポータブルオーディオブランドとして3eeの名前をマークしておく必要がありそうです。

 

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