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2016/10/3 8:00

【西田宗千佳連載】ソニー渾身の高画質テレビ「Z9D」はどこが違うのか

「週刊GetNavi」Vol.47-1

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8月30日、ソニーは同社のテレビ「ブラビア」シリーズの最上位機種にあたる「Z9D」シリーズを発表した。この製品のデモ機を見せられたとき、筆者は本当に驚いた。これまでの液晶とは一線を画す、きわめてクオリティの高い映像が実現されていたからだ。ソニーの技術者も「プロフィール・プロ以来、久々に満足できる製品ができた」と胸を張るほどだ。

 

プロフィール・プロとは、ソニーが1986年から90年代半ばまで発売していたブラウン管を採用したモニターであり、「画質のソニー」の代名詞だった。それに匹敵する、と技術者が言うのは並大抵のことではない。確かに、筆者も「時代がひとつ変わった」と感じている

 

液晶ディスプレイは、液晶の背後から光を当てて映像を表示する仕組みだが、このZ9Dシリーズには、「バックライト マスタードライブ(BMD)」という新しいバックライト技術が採用されている。これは、従来の液晶テレビのバックライトとは比べものにならないほど多数のLEDを敷き詰め、光るところ・そうでないところをより正確に再現できるようにすることで、画質を上げよう、という考え方の技術だ。今年1月、米国・ラスベガスで開かれた世界最大の家電見本市「CES」で技術展示が行われたのだが、そのときにもその画質の高さに驚いたものだ。

 

液晶の弱点は、明るいところと暗いところのコントラストが弱く、全体的に絵が「締まらない」ことだった。古くはプラズマ、現在は有機ELなどの「自発光型ディスプレイ」は、素子の自発光で映像を表示する仕組みで、発光を止めることで深い黒を表現できる。つまり、光る点・光らない点の差が明確になるので、絵に締まりがあった。

 

BMDを使ったシステムでは、その有機ELに勝るとも劣らないクオリティになっていた。なにしろ、色の情報などが一切ない「バックライトだけ」を点灯した映像を見ても、どんなシーンなのかがはっきりわかるほどなのだ。CESの段階では「製品化は先」とごまかされたが、当時から「今年の目玉」として開発が進んでいたのだろう。「やりたい放題に作った(ソニー技術者談)」というCESのデモ機(85V型)から最大サイズの100V型のモデルを開発。そこから、画面のサイズに応じてBMDに使うLEDの数を減らすなどの最適化を行い、65V型および75V型モデルを開発している。

 

では、コントラストだけがBMDの価値なのか? それは違う。現在のテレビの画質を決める「色」の部分で変化があったのが、Z9Dの価値である。他社の高画質製品も、アプローチこそ異なるが「色」に着目した開発を行っている。いまはコントラストまで含めた「発色の忠実さ」こそがテレビの差別化点だ。BMDも含め、いまの高画質テレビで重要になった「色」とは何なのか? 有機ELと液晶の戦いはどうなるのか?

 

そのあたりはVol.47-2以降で解説していく。

 

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